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伝説の木の棒 後編  作者: 木の棒
第5章 世界樹
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第48話 祝福

 神が俺を持ち子供達を祝福した。




「なんだ?」


 リンランディアは己の身体を包む、聖なる力を感じた。


「これは、いったい何が起きている?」


 シュバルツも同じだ。

 自分を包む聖なる力……どこまで湧き上がる力を感じている。


「あなた! みて!」


 ミリアが叫ぶ。

 聖なる力は自分達だけではない。

 スプリガンや、天使達にも及んでいる。


「どうなっていやがる……剣がまったく通らないだと」


 シュバルツがスプリガンを大剣で斬ろうとしても、聖なる力がスプリガンを守る。

 逆に、スプリガンの巨大な斧の直撃を受けても、衝撃すら感じない。


「神殿で何かが起こっている……む?!」


 大地に亀裂が走る。

 ほとんど崩れかけていた聖樹王……神樹が崩壊していく。


「うおおお! 大地が壊れる! だめだ……落ちるぞ!!」


 神樹に支えられていた天界が地に落ちていく。

 裂け落ちる大地に必死にしがみつく人々。


 シュバルツはミリアを抱きしめる。


「世界が終わってしまうの?」


「分からない……だがラインハルト様達を信じよう。」



 既に戦闘を続ける者はいない。

 スプリガンも必死に大地にしがみつく。

 天使達も崩れ落ちる大地を見て呆然としている。


 リンランディアは氷の羽で飛びながら、遠くの神殿を見つめていた。




「始まった」


 ルシファーは楽しそうに神殿を見ている。


 ルシファーの側では、胸に穴が開いたオーディンをアマテラスが抱きしめていた。


「世界が終わるの?」


「1つの終り。そして1つの始まり」


「ルシファー……貴方、本当は神から何の意思を受けているの?“好きに遊べ”というは嘘でしょ」


「……嘘じゃないよ、本当さ。僕は遊んでいるだけ。世界を創ることを遊んでいるだけさ」


 聖なる力が2人を包む。

 いや、2人だけではない……オーディンとフェンリルも聖なる光に包まれている。


 ルシファーは聖なる光に包まれたフェンリルを抱きかかえる。

 フェンリルは子犬サイズに戻っていた。


「またね、アマテラス……オーディン」


 12枚の翼を広げて、彼は飛び去っていった。


 動かないオーディンの頬を、彼女の優しい指がなぞる。

 生命の力に溢れた彼の体温を感じることは出来ない。


 彼を強く強く抱きしめる。

 そして聖なる光に包まれながら、唇を重ねた。






 神がその言葉を唱えた瞬間、私には分かった。

 ルシラが戻ってきた!


 私はすぐに黒い木の棒を手に持つ。

 ルシラは私の魔力に応えて、雷神刀になった。


 でも……これはルシラ?

 力はルシラのものに違いない。


 無限に溢れてくる力……ルシラが何度も私を救ってくれた力だ。

 でも、何か違う。


 この雷神刀からルシラの力は感じても、ルシラの温もりは感じられない。

 まるで心がないルシラのようだ。


 理由はすぐに分かった。

 ニニさんが持っていた聖樹の木の棒と呼ばれている木の棒にも、力が宿っていた。


 ルシラと違う意思? ……一瞬そう思ったけど、その考えはすぐになくなった。

 私とニニさんが持つ木の棒には、神が持つ真っ白な木の棒から力が伝わってきていることが感じられたから。


 きっとルシラの心は、あの真っ白な木の棒にある。

 何らかの力で、私達の木の棒に力を与えてくれている!



 私が雷神刀で構えると、ベニちゃんとラミアが、アルフ王に牽制を仕掛ける。

 私はそれに合わせて動き出そうとした。


 でも、2人の攻撃はアルフ王にまったく届かなかった。

 また森羅万象? と思ったけど、そうじゃなかった。


 アルフ王の攻撃もまた、ベニちゃんとラミアに届かない。

 雷神刀に気を取られて気付くのが遅れたけど、私達を聖なる力が包んでいた。


 あのラインハルト王子が纏う聖属性とは比べものにならないほどの聖なる力。


 これがお互いを守っているの?

 これはルシラの力?

 それとも神の力?


 神の力だと思う。

 だってアルフ王まで守っているのだから。


 このまま戦いは終わりってこと?

 でも世界はどうなるの?


 そう疑問に思っていた時だ。

 いきなり地面が割れ、崩れ落ちていった。


「きゃあああ!」


 神殿が崩れ落ちる?

 世界の終りは止まっていない?


「ふむ……どうやら最後に神は争うことをお嫌いになったようですね。確かに私も愚かでした。世界の終りの時に争うなど。ただただ……静かに終わりを迎えるべきでしたね」


 アルフ王は崩れ落ちる様を見て、満面の笑みだ。


 止まっていない。

 世界の崩壊は止まっていない。

 ただ、争うことを止められただけ?

 静かに滅びを待てと?!


 違う……ルシラは絶対にそんなことしない!

 ルシラは世界を……そして私を絶対に死なせたりしない!



 斬れる。

 ルシラが私に与えてくれた雷神刀。

 

 光も闇も斬る。

 全てを斬る。


 聖なる力に守られるアルフ王だって……この雷神刀は斬れる!

 世界が滅ぶことを望むお前を、私は斬る!



「ニニさん」


「は、はい!」


「一瞬だけでいいから、アルフの手と脚を凍らせて欲しいの」


「で、でも、この聖なる力に守られて凍らせられない……」


「大丈夫。きっとニニさんなら出来るわ。私と同じ、ルシラに選ばれた貴方なら。木の棒から伝わる力を信じて」



 ニニさんは私の言葉に頷いてくれた。

 木の棒を握りしめ、無限に溢れる魔力を身に宿す。


 すごい……私の魔力総量の何倍?……いえ、何十倍の魔力を身に宿している。


 私も負けていられない。

 雷神刀にありったけの力を宿す。

 白銀の雷を刀と身体に纏う。



 アルフ王が自分の望んだ世界の終りを喜ぶかのように、両手を天に掲げる。

 私はニニさんに目で合図した。



「アブソリュートゼロ!!!!!」



 アルフ王の両手両脚が凍る。

 何が起こったのか理解出来ないといった表情だ。


 理解する必要なんてない。

 お前だけが滅べ!!!



「電光石火!!!!!」



 ルシラが与えてくれた私の力と共に、白銀の雷となって私は駆け抜けた。


 私の目の前には、ルシラの心を宿す真っ白な木の棒持った神が、私を見つめていた。


 そして私の後ろで……真っ二つに斬り裂かれたアルフ王が地に落ちた。


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