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伝説の木の棒 後編  作者: 木の棒
第4章 3つの世界
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第38話 新旧ヒロイン?

 アーシュは自分を見る視線に気づく。


 そこには1人の美しい女性が立っていた。

 人間とは思えない高い魔力を宿している女性……いや、人間?

 その女性からは人間以外の……自分達と同じ魔力を感じる。


 アマテラスとアーシュのもとに女王ティアがやってくる。



「いかがでしたか? 親の贔屓目抜きにして、人間として最強の名を持つ息子でございます」


「素晴らしいわ。貴方の導きが素晴らしかったのね」


「いえ、とんでもございません。全てはアマテラス様のおかげでございます。そしてこの聖樹の木の棒の導きです」


「あ、あの……その木の棒を少し見せて頂いてもいいですか?」



 アーシュが女王ティアが持つ、聖樹の木の棒を見つめながらお願いする。



「ええ、構いませんけど……あら、アーシュ様も木の棒をお持ちなんですね」



 女王ティアは笑顔で、聖樹の木の棒をアーシュに渡す。

 アーシュはそれを大事に受け取ると、木の棒を握り確かめるように見ていく。

 そして、自分の持つ黒い木の棒と見比べていく。



(やっぱりルシラを感じる。間違いないわ。この聖樹の木の棒にはルシラがいたんだ)



 ルシラのことを思ってしまうと、寂しさが心を支配してしまう。

 ルシラに逢いたい……感じたいと。


「10年前、この聖樹の木の棒の持ち手として彼女が私の前に現れたのです。そこから私達の未来は大きく変わっていったんだと確信しています」



 女王ティアが手招きすると、アーシュを遠くから見ていた美しい女性がやってきます。



「ご紹介します。聖樹の木の棒の最初の持ち手であり、最強の魔術師でもあり、そして私の息子ラインハルトの妻ニニでございます」


「ニニです。父がお世話になっております。母の分まで感謝申し上げます」


「お父様?」


「私の父はリンランディアと申します」


「ええ!!!!」



 アーシュ達3人娘は一斉に驚く。


 この目の前の女性が、氷王リンランディア様の娘だとは。

 それでこの魔力……ハーフならこの魔力の高さも納得がいく。



「こ、こちらこそ!リンランディア様には何度も助けて頂いて、馬鹿な私のお父様のフォローもして頂いて、こちらこそ感謝をしてもしきれません!」



 女王ティアから“聖樹の木の棒の最初の持ち手”と紹介された時は、正直良い気分では無かったアーシュであったが、既に結婚している事実、そしてリンランディア様の娘と分かれば、好意的に感じないわけがなかった。


 その夜、ニニはアーシュ達3人娘と一緒にいろんな話に花を咲かせた。


 お喋りに夢中になり、ニニがそのままアーシュ達の部屋で寝ていくことになったぐらいである。



 ニニは、父であるリンランディアの話をアーシュ達から聞けて幸せだった。

 父は自分の理想通りの父だったから。

 時には涙を浮かべて、時には大いに笑い、アーシュ達の話を聞いた。


 アーシュも、ニニから地上世界の話や、地上世界にいた頃のルシラの話を聞けて嬉しかった。

 一部聞き様によっては、ルシラを取り戻したら魔力で真意を問わなければいけないことがあるような気がしないでもないが、ルシラによって地上世界が救われたことを本当に嬉しく思った。


 さらに驚いたのが、あの女王ティアは聖樹の木の棒から“神託”を受けて意思疎通をしていたということ。


 これは明日、女王ティアに聞かなければ。


 ルシラと最も通じ合えていると自負している自分でさえ、ルシラの声を聞くことなんて出来ない。


 嫉妬はニニから女王ティアに移っていた。

 だが、その嫉妬の相手の魂が元42歳のおっさんであることをアーシュは知らない。



 アーシュ達が楽しい話をしている時、とある部屋では女王ティア、マリア、そしてアマテラスが集まっていた。



「アーシュ様は素直なお子様ですね。最初ニニに嫉妬していたかと思えば、すぐに仲良くなって」


「あの子のあの素直さは私に似たのか……彼に似てしまったのか。どちらにしても素直で良い子に育ってくれていると、親の贔屓目では思っているわ」


「きっとアマテラス様に似られたんですよ」


「うふふ♪ありがとうマリア。それにしても、こうして超魔法の使い手に再び会える日が来るとは思わなかったわ」


「全てのはこの日のために、神を超える大いなる意思……聖樹様の意思が導いてくれたと思っております」


「聖樹の意思か……その意思が天界にいまいるのも、何かの導きなのかもしれないわね」


「はい、我々が天界でアルフ王のもとまで辿り着けば、そこにはきっと聖樹様の意思がおられるはず。きっと私達を……この世界を救って下さるはずです」


「そうあって欲しいわね」


「天界を攻める上で、最も危惧すべき敵はやはりアルフ王でしょうか?」


「……そうね。そうなることは間違いないけど、アルフ王以外に2人。サタン……いいえ、天界で会うなら堕天使ルシファー。そしてフェンリルね」


「堕天使ルシファーにフェンリル。この2人を止める必要があるのですね」


「ええ、でも貴方達が気にする相手ではないわ」


「え?」


「ルシファーは私が、そしてフェンリルは……オーディンが戦うわ」


「アマテラス様とオーディン様が」


「だから、貴方達とアーシュ達3人は、真っすぐにアルフのいる神殿に向かって頂戴」


「アマテラス様やオーディン様抜きで、アルフ王に勝てるのでしょうか」


「アルフに勝つための条件は単なる強さではないわ。強さだけで彼に勝てる存在はいないのだから」


「私達は……世界は神に勝てるのでしょうか……」


「大丈夫よ。私達の“子供達”を信じましょう。私達の意思は全て子供達に……」



 アマテラスの言葉に頷く女王ティアとマリア。



「ところで明日、アーシュ達3人とちょっと試合をして欲しいのだけど」


「試合ですか。ラインハルトに相手にさせますか?」


「いいえ、3対3での試合よ。そうね……木の棒の持ち手新旧対決といったところかしら♪」



 そして次の日、「アーシュ、ベニ、ラミア」VS「ラインハルト、ニニ、マリア」での試合が行われることになった。


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