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伝説の木の棒 後編  作者: 木の棒
第3章 戦い
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第23話 天女

 オークとの戦いの後、私が目覚めた時には既に里に戻っていた。


 自分の部屋で眠っていた私のベットには、疲れてもたれかかるように眠るベニちゃんとラミアの姿があった。

 私のことを看病してくれていたんだと思う。


 そして、私の手にはしっかりとルシラが握られていた。

 私は胸がまだ痛むけど、オークとの戦いで受けた傷が治っていることに気付く。


 きっとルシラが私に、あの優しい魔力を流し続けてくれたんだ。


 いまはルシラから力が感じられない。

 眠ってしまったのかな?


 あの夢を見るようになってから、ルシラも眠るようになったんだと思う。

 だって、夢で私と逢っているから。


 だから、この時、私はルシラの異変にすぐに気づけなかった。





 数日の療養で、私はすっかり元気になった。


 ラミアの水で治療してもらって、茨で出来た傷跡はすっかり消えてなくなった。


 みんなもオークとの戦いでの武勇伝の話に花を咲かせて楽しそう。

 でも、私は笑顔でみんなに答えながらも、心は何一つ楽しんでいなかった。


 ルシラが……私の想いに応えてくれなくなったから。



 どうしてだろう、あの時、力を失ったのとは違う。

 ルシラが苦しんでいる様子もないし、混乱している様子もない。

 まるで自分の殻に閉じこもってしまったみたい。


 気にしてるの? 私は大丈夫だよ。


 私は何も気にしてないよ。


 だから私の想いに応えて……ルシラ。










 ベニとラミアに少し疲れたからと伝え、アーシュは1人、自分の部屋に戻ってきた。

 ルシラを握りしめて、机の前でぼ~っとしている。


 その時、部屋のドアが開いて一人の女性が入ってきた。


 美しい女性。

 天女という言葉が一番似合うかもしれない。


 そして、着ているのは着物。

 綺麗な黒髪に色白の女性は、アーシュを慈しみの目で見ている。



「お母様……」



 アーシュの口から出た言葉はお母様、この女性はアーシュのお母さんだ。



「久しぶりね、アーシュ。元気にしていた?」


「うん。元気……だよ」


「うふふ。表情ですぐに心が見えちゃうの変わってないわね。お母さんに嘘ついちゃだめでしょ」



 母は豊かな胸でアーシュを抱きしめる。


「強くなったわね。アーシュからとても大きな力を感じわ。」


「うん。私ちょっとだけ強くなったんだ。でも全然ダメ。全然ダメなんだよ。」


(私はルシラに頼ってばかり……)



 母は涙目のアーシュを優しく抱きしめて髪を撫でてあげる。



「大丈夫よ。アーシュの心は真っ直ぐに成長しているわ。だから自分を信じて。自分を信じられないと、他人を信じてあげることも出来ないわ」


「自分を……信じる」



「そうよ。それに……」 



 ムニュ~♪



 母は突然、アーシュの胸を揉む。



「きゃっ! ちょっとお母様!」


「うふふ、ごめんなさい。娘の成長をついつい確かめたくて。恋する女はすぐに成長しちゃうから。この小さくて可愛い感触もお母さんは好きだから、記念に覚えておきたかったのよ」


「別に小さくないもん!」


「大丈夫よ。アーシュはお母さん似だから、きっと大きくなるわ」



 母はその豊かな胸を娘に見せつけるように、胸を張る。



「お母様はどこに旅にいっていたの?」


「ちょっと旧友に会いに行ったのだけど、残念ながら会えなかったわ」


「そっか。またすぐに行っちゃうの?」


「ええ、すぐに発つわ。アーシュにいろいろ教えてあげたいけど、今はちょっとやらなくてはいけないことがあるの。」


「お父様とは会ったの?」



 母の眉がぴくりと動く。



「まだよ……でもちょっと今回は会っていくわ。出来れば顔も見たくないけど」


「またそんなこと言って。お父様のこと許してあげてよ。この前もお酒飲んで酔った時に、お母様のこと話していたよ」


「アーシュは私と同じようになったらだめよ。良い人を捕まえて、捕まえた後もちゃんと見ておくのよ」


「私はお母様とお父様の娘であることを、誇りに思っているからね」



 母は愛娘の頭を嬉しそうに撫でる。


 そして娘が大事に持って離さない棒を見つめる。



「アーシュ。ちょっとその棒貸してくれないかしら?」


「え……どうして」


「大丈夫。取ったりしないわ。アーシュの大切な棒に、ちょっとおまじないをするだけ」



 母はアーシュから棒を受け取ると、目をつぶり手に力を込める。






「持ち主が追加されました」






 なんだと? 追加された?


 アーシュの部屋に突然やってきた女性。

 日本の神話に出てくるような着物を着た、まるで天女のようなこの女性が俺を持った時、システム音が響いた。


 それは今まで聞いたことのない、「追加」という言葉だった。

 新たな持ち主が登録される時にいつも響いていた言葉とは違う。


 強制的に俺の持ち主になったのか?




ステータス

木の棒

状態:天女の木の棒

レベル:1

SP:1

スキル:無し




 天女は俺に魔力を流してくる。

 魔力スキルを取っていない俺は激痛を……感じなかった?


 え? どういうことだ?

 どうして激痛を感じない?




何処いずこよりこの木に宿りし大いなる御心よ。どうか娘の想いにその御心を向けてくださいませ。この木にかけられていた呪いは、私の力で祓いました。どうか、娘をお守りください)




 その女性が心で俺に伝えてきた言葉は日本語だった。

 転生者? 大ちゃんと同じなのか?


 スキル取得一覧を見ても、日本語スキルはない。

 俺からこの女性に話しかけることは出来ない。


 女性の言葉をただ聞くだけ。



(この子がこれから向かう先で大いなる試練が待っています。どうかこの子の側で、この子の想いに応えてやってください)



 試練? アーシュに試練が待っている?


 女性は俺をアーシュに戻すと、すぐに部屋を出て行った。


 俺は去っていく天女の後ろ姿をただただ呆然と見送った。






メモリー

1.ゴブリンロード(死亡)

2.ゴブリン□

3.ひょろひょろおじさん□

4.空飛ぶ少女☑

5.怪しい女王☑

6.聖女☑

7.優しい王子☑

8.   □

9.悪魔のゴブリンロード(死亡)

10.純粋なるオーク(死亡)

11.アーシュ☑

12.ベニちゃん☑

13.ラミア☑

14.天女☑


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