表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

無い袖は振れないんです


 放課後、僕は室井を避けるように逃げ帰る事となった。


 僕が居なくとも、あいつは彼女と一緒に帰る事が出来るだろう。うん、解ってる。寂しくなるのは僕だけだって解ってるぜクソッタレ。

 そんな状態で街をぶらついても面白くないので、出勤時間には早いのだが、さっさとバイト先へ向かったのだった。


「しかし、そろそろ外観を直した方が良いと思うんだけどな」


 僕は自分のバイト先を改めて眺め、唸ってみる。


 木造二階建ての店舗は全体的に古めかしく、外壁の塗装が色あせている。表面のへこんだ看板には「林檎書店」の文字が書かれているが、掠れていて主張に乏しい。角度も傾いていて、落ちてこないかと心配になる。


 一見すると潰れた駄菓子屋のようなその店は、店名から書店という事は読みとれるのだが、厳密には古書店となっている。新刊や雑誌も売るのだが、客層の関係で中古品が大きく幅を利かせている状態だ。

 業種の分類は「質屋」であるらしく、本以外にもレトロゲームや玩具、フィギュアなんかも買い取ってくれる。入口付近の本棚を抜ければ、そういう商品が陳列されたショーケースが整備されていて、どことなく秋葉原の匂いを漂わせている。

 このマニアックな雰囲気がウケていて、何気に固定客が少なくない。「わんだらけ」のような本格的なグッズ店は電車で遠出しないと行けないため、この町に住むオタ層は割と林檎書店を利用してくれる。大型チェーン店と違い、中古品の価値を正しく選定してくれることも嬉しいポイントだ。


 僕もその手の趣味は嗜む方で、レアグッズが入荷したときには自分用にキープしたりもする。勿論、適正金額を払わなければ持っていく事は出来ないが。

 店の奥まで進むとレジカウンターが有ったが、誰も店番をしていない。


「……おいおい、不用心だな」


 溜息をつきながら、足を横へと向けて進んでいく。

一階の隅には下り階段があり、僕はそこから地下へと降りて行く。踏み板が軋むが、さすがに底が抜ける事は無いだろう。


 地下フロアはより一層マニアックな空間となっていて、怪しげな壺や掛け軸、チェス盤だとか、見たことも無い古書などが並んでいる。一階とくらべて乱雑な空間であるそこは、倉庫も兼ねているそうだが、要は店主の趣味の品を並べているような場所だ。

 狭い隙間を通って最奥へ辿りつくと、椅子に座って本を読む女性の姿がある。


「ルキさん、また潜ってたんですね」


 声をかけると、その女性は気だるそうに頭を上げてくれた。


 基本的に美人の顔立ちだが、なんというか、自分を飾る事にあまり興味が無いのが全身から伝わって来るタイプ。芹香ともまた違い、磨いてない宝石という感じ。

 鴉のように真っ黒な長髪を一本の三つ編みに纏めているが、所々で跳ねた髪の毛がズボラな印象を抱かせる。黒ぶちの眼鏡は耳にかかる部分が紐になっていて、今どき珍しいデザインだ。見慣れたセーターの上から古ぼけたエプロンをつけた姿も、まったくいつもと代わり映えのしない服装だった。


「あれ、誠二くん。どうしたんだい、まだバイトの時間には早いけど」

「ちょっと暇になったんで、手伝いに来ました。案の定、レジを空にしてましたしね」


 ジト目で言ってやると、ルキさんは困ったように笑った。


 フルネームは金星瑠姫。きんじょうるき、と読む。


この林檎書店の店主で、僕にとってはお姉さんのような人だったりする。僕の爺さんにも何かと世話になったそうで、そういう縁でバイトをさせて貰っている。

見た目通りにマイペースな人で、この店が雑多な雰囲気になった要因は、彼女の性格によるものが大きい。だが、インターネットで遠方向けの通販を営んだりもしていて、何気に商才はあるという、ちぐはぐな人だ。


「いやはは、ちょっと整理しにきたら、読みふけっちゃう本があってね」

「上で万引きされちゃいますよ。良い客ばかりってわけじゃ無いんですから」

「うーん、それは困るなあ。仕方ない、上に戻るか」


 立ちあがったルキさんは右手に古書を抱えたままだったので、レジでも読みふける気なのだろう。難しそうな題名なので、僕はさっぱり興味を引かれない。


「しかし、誠二くんがこんな時間に来たからバイト代の催促かと思ったよ」

「ま、今日は給料日ですしね。僕も給料入らないとスッカラカンなもんで、はやく貰いたいのは確かです」

「無駄遣いは良くないよ? と、君に言っても無駄だろうね。まったく、即断即決な信条はお爺さんそっくりだ」


 それはそうだ。僕の人生観は爺さんから学んだ物が大きい。爺さんのくれた色々な言葉は今も僕の中に息づいている。例えば「買い物は一期一会」とか言っていたしね。


 この古書の山には、そんな爺さんが売った物も含まれているらしく、そういうのを発掘するのは結構楽しかったりする。ルキさんを通して、今は亡き爺さんの人柄に触れている感覚だ。

 ルキさんは階段を昇りながら、肩越しに振り返る。


「けど、時間前に来るのは本当に珍しいよね。いつもなら室井くんと適当に時間を潰して来るし、バイトの時も室井くん連れてきたりするじゃない」


 ルキさんにはこういう、妙に鋭い所もある。なので、話題はこちらから切り出さなくても向こうが察してくれる事が多い。僕は待ってましたとばかりに、目に涙を蓄えて訴えることにした。


「聞いてくださいよルキさぁーん……あいつ裏切りやがったんですよぉ、一人でちゃっかり男になってやがったんですよぉ……!」

「あー、まあ高校生だものね。彼女の一人くらいは出来るさ」

「僕は出来て無いンですよ! なんでですかね! なんで室井にまで先を越されなくちゃならないんですかね!」

「あっはっは、まあそう焦るな、少年。タイミングは個人差があるもんだよ」


 ルキさんはモフモフと僕の頭を撫でてくれた。年上のお姉さんからの優しさが目にしみる。たとえリア充じゃなくとも、ルキさんの撫で撫で中は充実した時間に他ならない。


「ま、そのうち誠二くんの良さを解ってくれる女の子が現れるさ」

「そうですかね! でも僕それ待ちきれないんで、ルキさんが僕と付き合いませんか⁉」

「君と対等な関係で付き合えってのは無理だね」

「うおおおおおおおおおおおん!」


 情けも何もなく切り捨てられた。もっとこう、ワンクッションとか有っても良いんじゃないだろうか。


「もおー、僕の周りの女子なんて芹香かルキさんしか居ないのに、二人に否定されたら選択肢が無いじゃないですかー!」

「……そ、想像以上に狭いな」


 ドン引きされた。女友達が二人のみってそんなにヤバいんですかね。二人居ればまだギリギリ一般人の範疇だと思うんですが。


「僕が欲深いのがそんな駄目なんですかね。今日も先生に言われましたよ、君は七つの大罪全部備えてるとかなんとか。逆にお得じゃないですか? コンプリート済みですよ?」

「マイナス要素ばかり掻き集めても駄目だろう」


 ああ、そうか……数より質なのか……。目からうろこが落ちそうだ。


「でも、暴食とか嫉妬とか色欲とか、そんなに駄目ですかね。人間なら当然の感情だと思うんですよ、そんなの」

「ふふっ、まあそういう意見を心根から言えちゃう辺りは、誠二くんの面白いとこだね」

「でしょう? でも神様は罪だって言ってる訳ですよね。だからですか? だから僕、神様に嫌われて彼女が出来ないんですか? 敵対されてるんですか?」

「神様っていうか女の子に嫌われてるんだろうけどね。でも……そうかもね。君みたいなタイプは、神様に嫌われるかもしれない」


 そう言うと、ルキさんは少しだけ考えるような顔をして、それから階段を逆に降り始めた。


「うわっ、る、ルキさん急にどうしたんですか」


僕の居る所を無理やり押しのけていくのでキツい。しかし、ルキさんの身体がエプロンごしに押しつけられるので、その何気に豊かな胸が僕の胸板に擦れて行くではないか。これは悪くない。悪くないぞ。いや、良いぞ。もっとやれ。


 だがルキさんはさっさと降りてしまうと、地下の奥にある本棚を目指して歩いて行く。

 少しばかりそこを漁ると、脇に大きめの本を抱えて戻って来た。


「誠二くん、ボーナス代わりってわけじゃないが、この本をあげようか」


 そう言って差し出されたのは、やたらと古びたハードカバーの本。


 青い表紙には、複雑だが星のような形を描くマークが描かれていて、日本語ではない文字でタイトルが記されている。

 それを受け取ってぺらぺらとめくってみたが、どれもこれも意味の解らない文字ばかりで、どうやら外国の古書であるようだ。


「なんですか、こりゃ」

「それはね、青のグリモワールと言う物だよ」


 その名に対し、僕は記憶の底で引っかかる物を感じた。

 なんだろう。こんな本、見たこと無い筈だけれど。


「その本は、君のお爺さんが貯蔵していた物なんだ」

「――っ!」


 ルキさんの言葉に、僕は思わず本を取り落としそうになった。

 爺さんが色々な古書を預けたのは解って居たが、それは昭和文学だったり古い実用書だったりが殆どだ。こういった洋書らしい本はあまり聞いた事が無い。


 けれど、ルキさんにそれを聞いて、僕の記憶が弾けるように浮かび上がって来る。


 グリモワール。


 僕は、その名を爺さんに聞いたんだ。


「グリモワールっていうのはね、魔導書と言う意味だ」

 ルキさんは、蘇った僕の記憶へ肉付けするように言葉を続けた。

「魔を導く書、と書くそうだよ。私もその本のことは、君のお爺さんに聞いた程度しか知らないけれど……詰まるところ、悪魔召喚の手引きって奴だ」

「あっ……悪魔……?」


いきなり現実味のない単語が飛び出してきた。

 なんだ、悪魔召喚って。爺さん、そんなオカルティックな趣味もあったワケ?


「まあ、私も信じこんでいる訳じゃないんだけどね。君のお爺さんが没する直前に、私にくれたのがこの本だった。家族に預けては処分されるかもしれないから、君が持っていてくれ、とね。お爺さんにとっては大切な本だったわけだ……なんだか、ワクワクするだろ?」

「……爺さんは、悪魔信仰でもしてたんですか?」

「そりゃ私も知らないよ。でもまあ……神様に嫌われる要素が満載な君だからね、案外、悪魔のほうが力になってくれるんじゃない?」


 どうにも侮辱的な言葉に聞こえるが、ルキさんはいつものニコニコ笑顔なので、別に悪意はないのだろう。

 むしろ、今もこの人に満ちているのは、好奇心。

 この本とガラクタの城を築きあげるに至った、ルキさんの根幹。興味、好奇、知識欲とか言う物が、その笑顔には込められている。


「……僕が悪魔を呼び出すかどうか、期待してるんですか」

「そうだね。成功してもしなくても、レポートが欲しいな」


 全く、悪びれるとか、申し訳ないとか、そう言う所が無い。というか、人格に対しての興味が薄いんだ、ルキさんは。僕の反応よりは、僕がこの本をどうするかという結果が気になるタイプの人なのだ。


 そういうルキさんの素直さが、僕は嫌いじゃ無い。


 それにしても、悪魔か。


 実際、悪魔に頼って彼女が出来るなら……僕は、やるだろうな。

 対価が有るのは覚悟するとしても、この調子で人生を終えるくらいなら、魂を売って好き勝手する方が絶対に楽しい。出来れば長生きしたいけど、質素な長生きと豪奢な短命なら後者を選ぶに決まってるじゃないか。

 本を閉じると、僕はそれを脇に抱える。


「ルキさん。これ、ありがたく貰って行きます」

 そう言うと、ルキさんは満足げに微笑んだ。


 やった。金銭の要求をされなかった。マジでくれるんだ。タダだ。ひゃっほう! タダで貰えるんなら悪魔だろうがなんだろうが貰うさ!

 ニヤニヤ笑いながら本棚の整理に入る僕を、ルキさんは生温かい目で眺めていた。


 その目線が何を考えているのか、ちょっと、明確には解らなかったけど。



          ◇



 家に帰った後、さっそく青のグリモワールを机に広げた。


 ページをめくれど、意味の理解できる文章は一つもなく、ところどころに妙な図形が刻まれているくらいしか解らない。


 ただ、明確に意味ありげなページを見つける事はできた。

 ちょうどページ数の半分ほどの位置に、大きな魔法陣らしきものが記されたページが存在する。円と方形を合わせたようなマークだ。

 その隣のページには、明らかに他よりも大きな字体で、注意書きのような赤文字が記してあった。


「悪魔を召喚するとしたら、このページからなんだろうなぁ……」


 とはいえ、実際、僕も悪魔とかいう物を心から信じているわけではない。常識的に考えて、そんなオカルトありえませんって話だ。テクノロジーが満ちる現代の世の中で、召喚とかちょっとどうかと思う。


 だが、これは爺さんが残した本だ。


 僕にとって、僕の爺さんは人生の師だった。小学生のころは、学校よりも爺さんの管理する動物園に行く方が楽しかったし、そこで教わることの方が勉強になった。

 商売人である爺さんからは、物の価値とか、それを手に入れるための対価とか、欲望を満たす相応の努力を教わった。爺さんも僕と同様に欲張りな人だったが、ルールとか契約には厳格な人で、決して道理の通らない事だけはしなかった。しかしながら、その破天荒さも相当な物で、時には常識では考えられないような発想や行動も飛び出す人だった。


 そんな爺さんが死ぬ前に残した、悪魔召喚の本。


 それが果たして、意味の無い偽物だったりするだろうか。


「……僕は、そうは思わないな」


 あの爺さんの事だ。悪魔くらい召喚していても違和感はないぞ。


 単なるコレクションにしたって、処分されると困るからってルキさんに預ける事は無い筈だ。爺さんは、この本にはそれだけの価値を見出していたと言うわけだ。


 悪魔は信じられなくても、爺さんの事なら信じても良い。


「それに、爺さんが預けるからには、この本を使えないまま渡したりしない筈だ。どこかに使い方のメモやら有ってもおかしく無いんだが……」


 全頁を調べてもそれらしい物は無かった。

 この文字を解読して、自力で方法を探すしかないんだろうか。だが、全く見知らぬ文化の文字を解読するのは何年かかるか解らない。なるべく時間と手間をかけず、核となる答え……カギとなる物を見つけ出したい所だ。


「……カギ?」


 脳内で呟いて、はっとした。


 爺さんが死ぬ前、ルキさんだけじゃなく、僕も貰った物があった。


 押し入れへと手を伸ばして、作って居ないプラモや古いゲームソフト等を掻きわけていくと、お菓子の空き箱が姿を見せる。

 蓋を開け、机の上に中身をぶちまけると、ビー球やコマ、バッジなど、子供のころに宝物としていた色々な小物が出て来た。

 その中に――。


「あった……」


 アンティークな外見の、古びたカギを拾い上げる。


 爺さんの死ぬ少し前、不意に僕にくれたものだ。爺さんが死んだ後、爺さんちの物置や金庫、職場だった動物園の扉など、色々と試したがどこにも合わなかった。


 それを握って、再び青のグリモワールを手に取り、魔法陣の記されたページを開く。


 その図形を良く見ると、複雑な文字やラインが絡みあっては居るが、それらが合わさって一つの形を作り上げていると解る。


「……間違いない、カギ穴だ。この図形は、カギ穴の形をしてるんだ」


 いざ意識すれば、もうカギ穴にしか見えなかった。

 悪魔を召喚するのに必要な物が、呪文であるとは限らない。このカギはこの図形に対して使うアイテムではなかろうか。


「とはいっても……カギ穴にしちゃ、このカギに対して大きいし、だいいち本に描かれたカギ穴にカギを差してもなあ」


 唸りながら、僕は何気なくそのカギを、魔法陣へと押しつけてみた。

 やっぱりサイズも合わない。馬鹿な事をしただろうか。

 そう思った瞬間だった。




『――――魔に魅せられたか、人の子よ』




 本から、声が響いた。

それを理解した瞬間に、あらゆる本能と全身の筋肉が、僕の身体を固めた。


「…………えっ?」


 間抜けにも声を上げる。


 目を見開き、本のページを凝視したまま、僕の手はカギを握った状態で魔法陣から離れようとしない。予想だにしない事態に、上手く身体が動かせないのだ。


『この世に呼び出されるのは、いつ以来の事か。科学の光が魔の闇を照らす時代に、未だ我らの力を求める者が居たか』


 間違いない。語りかけているのは、この本だ。


 しかも、その声は普通に響いてくるのではない。まるで浴室で大声を上げた時のように、籠った音が反響する形で、鼓膜へと無遠慮に染み込んで来る。

 驚きが恐怖に代わるにつれて、僕は後ずさろうとするが、カギは本から離れない。

 なんとかカギから手を離して下がって行くと、本が淡い輝きを放ち始める。


『喜ばしい事だ。人はどれほど叡智を食み、文明を貪ろうと、決して満足する事は無い。あの月へすら届く世になろうと、我らの好む闇を持つ』


 本からの光が、みるみる内に激しくなっていく。

 青白い光の帯が、螺旋を描いて縦に昇る。魔法陣の図形が浮かび上がり、それが僕の机一杯に広がって、回転を始める。


「なっ、な、ななななっ……!」


 驚き過ぎて、まともに言葉も喋れない。


 まさか、本当に悪魔が出てくるのか? というか、既に常識とか科学とかそういう物を越えた現象が起こっている訳で、どう考えても説明のつかない事実を目撃している。

 やがて、禍々しい威圧感を放つ人型の影が、水面から上がるような形で、魔法陣の中から浮かび上がって来る。この世界へとその身を捻じ込むように、空間がバチバチと悲鳴を上げて割れていく。


『人の子よ、姿を見せよう。この呪われし躰、闇より造られし我が命を視よ。畏れ、慄くが良い。汝の呼んだ物が、如何なる存在かを知れ!』


 言葉を終えたその瞬間、溢れ出て居た光が弾けるように膨らみ、破裂する。その中から人影が、僕の目の前へと触れられる形で、ついに姿を現した。


 その派手な登場演出に気を惹かれ、僕は否応にも、初めて遭遇する悪魔の姿を、強く瞳に焼きつける事となった。


 悪魔は、腕を組んで立っていた。


 闇のように黒いドレスが、白くすらりとした肢体を上品に包んでいる。


 蝙蝠のような翼が広がり、威嚇するかの如くそのシルエットを膨らませる。


 長い銀色の髪は二本に束ねられ、縦に巻かれてゆらゆらと揺れている。


 その上に黒い角がやはり二本備えられ、間に小ぶりな王冠が乗っている。


 そして、その瞳はさながらサファイアのように、澄み渡った碧眼だった。






「……って、あれ?」


 僕は悪魔の姿をじっくりと、目線を引いて眺めなおした。


「………………」

「ふっ。どうした、人の子よ。我が身より溢れる瘴気に、威圧されて声も出ぬか?」

「あ、いや……なんていうかさ」


 僕は悪魔を指さして、頭からつま先、またつま先から頭、と指を動かしながら見つめて言った。


「なんか、割と可愛らしいんじゃない?」


「なっ…………!」


 そう、この悪魔、どう見ても羽と角が生えただけの女の子だった。


 いや、羽と角は十分に悪魔のパーツなのだけど、なんかこう……迫力不足と言うか、威厳が無いと言うか、むしろ可愛い系でしかない。

 僕の想像していた悪魔のイメージとは、かなりかけ離れている。


「いや、僕さ。悪魔ってもっとデカくて怖くて、山羊頭の怪物だったりするもんだと思ってたんだけど、なんか君普通に人型だし……第一、ちっちゃいよね」

「な、な、なっ……」

「っていうか僕って男子の中でも小さい方で、女子にも背が負けたりするんだけど、君は僕よりちっちゃいよね。中学生くらい?」

「き、き、貴様っ……こ、このっ、無礼物がぁあああああああああああっ!」


 悪魔の少女は顔を真っ赤にして激昂すると、机の上からこちらへと飛びかかって来た。


「うわ危ねえっ!」

「へぶしっ⁉」


 僕は動体視力は良い方なので、とっさに悪魔の特攻をかわす事が出来た。結果、悪魔は変な声を上げて壁にキスする形となる。あ、鼻血出てる。すげえ痛そう。


「ぐふっ……か、かわすとは何事じゃ! 痛いじゃろうがッ!」

「かわさないと僕が痛いだろうが。ほれ、鼻血を拭け、鼻血を」


 ティッシュを差し出すと、ひったくるように奪われた。ぐしぐしと鼻血を拭うが、ぶつけたために鼻の頭が赤くなっている。防御力弱すぎるだろ、悪魔。


「ええい……人の子め。呼び出して早々、敬意のかけらも無い無礼っぷり……これが科学文明に溺れた者の姿か。ゆとり世代と言う奴か」

「おじょうちゃん、鼻血垂れてきてるからティッシュ詰めたほうが良いよ」

「誰がおじょうちゃんじゃゴラァッ! おま、お前、わしゃこれでも二千年以上の時を生きとるんじゃ! 年上を敬わんか、年上をっ!」

「え、じゃあ何。外見は子供だけどババアなの?」

「ババッ…………⁉」


 あ、絶句してる。いや、でも二千年も生きてたらババアだよね。だって僕十六年しか生きてないもんよ。でも、二千歳ってところはなかなか悪魔っぽいぞ。


「人の子ぉ……お前、どうやら命が惜しく無いようじゃの……」

「命が惜しかったら悪魔なんて呼び出さないと思うんだよ。寿命でも魂でもなんでもやるからさっさと願いとか聞いてくれよ」

「軽いなお前! 命投げ捨てすぎじゃろ⁉ もっと親から貰った身体を大事にするべきじゃろ!」


 なんかドン引きされてる。悪魔の癖に命の大切さを語るとか役作り不足も良い所だと思うんだけど、その辺どうなんだろう。


「ええい、まあ良いわ。契約に前向きであるのなら、わしとしても話がスムーズで助かる」


 そういうと、悪魔は咳払いをして大物的な態度を取り戻そうとする。ジト目で僕の方を睨み、契約の話へと移って行く。


「して、人の子よ。悪魔に魂を売り渡してまで、何を望む?」

「何をって……自由に言って良いの?」

「ああ、言うてみい言うてみい。人の欲望に戸は立てられぬ。どうせ、お前は既にわしの眼力に捉えられておる……謙虚にしようにも、素直に欲望を話してしまうわ」


 悪魔はそこでにやりと笑って人差し指を立てる。


「じゃから、お前は願いに嘘をついてはいかんぞ? 今のわしには、お主の嘘が解るようになっているからの……。もしお前が心から望まぬ事を悪魔に願った場合……即ち、悪魔を欺いた場合、お主の魂はその瞬間にわしの物となるぞ」

「願いに嘘……って、そんな奴いるの? 望んでいない事を願っても意味ないじゃん」

「ふん、悪魔と人間との契約は対等でなければならんのじゃ。もし悪魔が人間の願いを叶えても、人間がその願いに満足しなければ、悪魔は契約失敗となりペナルティを負う。嘘の願いを述べられると、叶えても人間は満足せんじゃろ?」

「なるほど……悪魔も筋は通すんだなあ」


 ちょっと感心してしまった。デメリットまでしっかり説明してくれている。

 なるほど、爺さんが悪魔契約に頼ったとしたら、それは悪魔の契約が筋の通った物だからだろう。魂と願い。対価を支払ってこそ、人間と悪魔の双方に対等な契約が成立する。


「さあ、お前が望むことを言ってみろ。金か? 名か? 女か? お前のような小童の望み如きなら、なんなりと叶えてやろうぞ」

「なんなりと? なんでも良いのか?」

「ああ、遠慮せずに、お前の一番の願いを言ってみるが良い。お前の欲が深ければ深いほど、対価としての魂もたっぷりと奪えるからのう」

「じゃあ宇宙をすべて僕の物にしてくれ」

「ふん、なるほど、宇宙……う、うちゅっ、うちゅう⁉」


 尊大な態度で腕組していた悪魔が、焦ったように二度見してきた。声も裏返っている。キャラが崩れるの早いなあ、こいつ。


「いやいやいやいや、欲深すぎるじゃろ⁉ お前この世の全てを支配するつもりか⁉」

「うん。どうせなら夢はでっかく持てって爺さんが言ってた」

「た、たわけっ! 無理に決まっておるじゃろ! もうすこし謙虚な事を言え!」

「ええー……? そっちが促したのにさあ……」


 一度言ったことには責任を持ってほしいもんだ。

 仕方がないから、遠慮して二番目の願いを告げる事にする。


「じゃあ、世界征服がしたいんだけど」

「話聞いてた⁉ 謙虚になれよ! お前どんだけ強欲なんじゃよ⁉」

「謙虚になったろ! 宇宙全体から惑星一つまで妥協したんだぞ⁉ 割合で言うと小数点以下のパーセンテージだぞ⁉」

「アホンダラァァァァッ! 冷静に考えろボケ! お前一人の魂売ったくらいで地球の全部が手に入るわけないじゃろうが!」


 む、そう言われれば確かにそうだ。世界征服ってことは六十億人以上の人間も僕の支配に置かれるって事だから、一人ぶんの魂じゃ割に合わないと言うのも頷ける。


「えーっと、じゃあ千兆円欲しいとかもだめなの?」

「国がいくつも動くじゃろうが! 小学生みたいな単位を言うんじゃない!」

「そうなると、僕はどの程度の願いなら叶うんだよ」

「まあ、お前一人が一生努力してやっと手に入る、くらいの物ならさっさと実現可能じゃろうな。良いか、魂には価値がある。自分の魂を払って得られる価値を考えるのじゃ」

「うーん……」


 僕が一生努力してやっと、か。まあ、一生努力しなければ得られない物がこの場で手に入ると考えれば、悪魔契約は破格の手段だと言えるだろう。


 そうなると、僕が一生分の努力をしてでも手に入れたい物って何だろう。

 悪魔との契約が何回も使えるとは思えない。願って後悔のない物を考えるべきだ。


「……よし、決めた」

「お、今度は結構考えて決めたようじゃの。よし、言ってみい。まあ初っ端に宇宙が欲しいと抜かしたお前じゃから、また分不相応な物を言っても驚かんがな」

「おっぱいが揉みたいんだ」

「そうか、おっぱ………………お、お、おぱ⁉ おおおおおっ、お、おっぱい⁉」

「ああ、僕の欲望は数え切れないほど有るけど、やっぱ三大欲求には逆らえないかなって。飯は食える。眠たきゃ眠れる。でも、おっぱいは自力じゃ駄目なんだ」

「えっ、マジで⁉ マジでおっぱい⁉ なんで⁉ お前それで魂売るの⁉」

「ああ。おっぱいを合法的に揉むなんて彼女でも居なきゃ無理だが、僕はモテない。周りの女子は愛情よりも先に殺意を向けて来る奴ばっかりだ。このままでは、一生かけても揉めるかどうか……それなら今一度、おっぱい揉んで死んでも良いかなって……」

「そ、そうか……」


 悪魔が複雑そうに眉をひそめた。憐れみとか、困惑とか、いろいろと混ざり合ったような顔をしている。まあ、悪魔には解らないかもしれないな。まして女の子だし。

 少しの間悩んでいたが、やがて、悪魔は意を決したように顔を上げた。


「……まぁー、ええじゃろ。うん、そのくらいならこっちも楽じゃしな。対価として、どのくらいの魂を奪えるかは解らんが……良かろう、揉ませてしんぜよう」

「マジすか⁉ マジでおっぱい揉めるんですか! さっすが悪魔だ、人間に出来ない事を平然とやってのける!」


 ぼくは思わず両手を組んで、悪魔へとお祈りポーズをとってしまう。

 だが、なぜ悪魔は顔を赤くしているのだろうか。目線もちらちらと宙を泳いでいる。


「よ、良いか? 揉ませるだけじゃからな? それ以上はいかんぞ?」

「うん、解った。その感触を胸に刻みこめばもう悔いとか無いと思う」

「凄いのうお前……ま、まあ、願いは承諾した。では……」


 悪魔が僕の手を取った。悪魔は女の子だからか、白く細くて、綺麗な手だ。そういえば女の子の手に触れるのも随分と久しぶりな気がする。


 そのまま、悪魔が手を引っ張ると、僕の掌がゆっくりと、悪魔へと近づけられていく。数度の深呼吸を経て、悪魔はぎゅっと目を瞑る。



「……えいっ!」



 ぎゅうっ、と僕の掌が、悪魔の胸元に触れさせられた。

 ドレスの生地は滑らかで、手触りが良い。


「……ど、どうじゃ、これがお前の願いじゃろ……?」

「えっ…………あ、うーん……」

「な、なんじゃその反応……ひうっ⁉」 


 僕は指を動かしつつ、掌を胸に押しつけてみる。そのまま、服の上から撫でるように手を動かしていく。


「あっ、やっ……お、おま、少しは遠慮して……」

「…………」

「ん、な、なんじゃ? お前、なんでそんな不満げな顔をしておるのじゃ?」

「いや……あのさ」


 僕は顔を上げ、首をかしげて、悪魔に聞いてみた。


「おっぱいはどこ?」

「……………………は?」

「どこ? おっぱいどこ? どこ?」

「いや、おまっ、今お前が掴んで――」

「悪いが、これはおっぱいじゃないよ。揉めないし、掴めない。夢が無い」


 僕は起伏に乏しい胸元を、ぽんぽんと叩いてみせる。凹凸なし。柔らかくなし。むしろ骨格に触れるのが解るレベル。よって、僕には「おっぱいを揉む」という願いを達成したとは認識できない。


「あのね、おっぱいってのはね、もっと大きくて柔らかいものなんだよ」

「ばっ、馬鹿ものがっ! 大きさは関係ないじゃろ! 大きかろうが小さかろうが、胸は胸じゃろ!」

「ああ、胸だな。だが、これはおっぱいじゃなくて、ちっぱいだ」


 僕の言い放った言葉に、悪魔は目を丸くして固まった。

 理解できないといった様子だ。どうやら、脳の処理キャパシティを超えたらしい。


「ち、ちっぱい……?」

「そうだ。僕はおっぱいとちっぱいを区別している。お前が触らせたのはおっぱいじゃなくて、ちっぱいだ」


 二度言ってやった。そう、僕はその二つに貴賎があるとは思っていない。ちっぱいもちっぱいで良い物だと考えるが、区別はしているのだ。


 爺さんも言っていた。「おっぱいとは柔らかく、夢の詰まった大きな物」と。


 しばし目を皿のようにしていた悪魔は、次第に顔を赤くして震えだし、涙を浮かべながら僕を睨み始めた。まあ、胸を触られた上にこれはおっぱいじゃないとか言われたらそりゃ怒るだろう。だが僕は自分の気持ちに嘘はつかない主義だ。

 しばし震えていたが、悪魔は背筋を伸ばすと、無理やりに尊大な笑顔を作って僕を指さしてくる。


「ふ、ふふっ、ふはははっ、ふはははははははははははははははははは! お前、そんな訳の解らんことを言って、悪魔を謀ろうとしたな⁉」

「いや、別に謀ってはいないけど」

「やかましいっ! おっぱいだちっぱいだと、妙な難癖をつけおって! そうやって悪魔との契約に不正を行った物がどうなるか、その身に教えてやるわっ!」


 そう言うと、悪魔は目を輝かせて、手の中に小さな円形の物を出現させた。見れば、古びた懐中時計……いや、方位磁石だ。アンティークなデザインのコンパスだ。


「これは『真偽の羅針盤』……お前の心のやましさを暴く針、契約の公平さを判断するアイテムじゃ! お前はおっぱいを揉みたいと願い、わしは揉ませた! その上でお前が難癖をつけるのなら、この針がお前の不正を暴くじゃろう!」


 良く見ると、本来なら南北を示すはずの磁石には「○」「×」の記号が刻まれている。


「さあ、羅針盤よ。奴の嘘を暴け! おっぱいを揉んだのに、揉んでいないと主張する、不届きな人間の嘘を示すのじゃ!」


 そう言うと、悪魔の手の中でコンパスがぐるぐると回り出した。やがてその針はピタリと止まり、僕へと真偽の判定を下す。



 が、僕の方を向いたのは「○」の側だった。



「なっ……なぜじゃ⁉ 真偽の羅針盤に、狂うことなど無い筈っ……」



 悪魔は涙声で驚いている。どうやら、よほどこの判定がショックだったらしい。声もちょっと高くなって、見た目相応の幼い響きを聴かせる。


「ま、まさか、この人間……本当におっぱいとちっぱいを区別しておるのか? 本気の本気で、ちっぱいはおっぱいじゃない等と言っているのか……⁉ あかん、あり得ん! こやつは狂っておる! やべえ奴じゃ!」

「やれやれ……だから、最初からそう言ってるじゃないか」


 僕は肩をすくめると、今度は逆に悪魔へと指を向ける。


「それに、たとえおっぱいの大小判定が無効だったとしても、僕は『おっぱいが揉みたい』と願ったんだ。お前の胸では揉む事は出来ない。なにせ、ボリュームが無いからな」

「ぐ、ぐぬっ、ぬぅっ……」

「お前は僕の願いを聞いて、自分が女であるのを良い事に、近場で願いを済ませようとした。面倒がらずに、別の巨乳のお姉さんでも用意するべきだったんだ」


 悪魔は頭を押さえて唸りだした。もはや身体を支えても居られないのだろう、へなへなとその場に座り込み、力なく項垂れる。


「悪魔と人間の契約は絶対。そこに不公平が有ってはならない。なのに、お前は手早さに目がくらんで、願いを雑に扱った。僕の願いは、叶えられなかった。なのに僕に難癖をつけるなんて、そっちの方がよっぽどタチが悪いな!」


 人差し指を悪魔へと向けたまま、僕は毅然とした態度で言い放った。




「お前は願いを叶えるのに失敗したんだ!」




 そう言った瞬間、真偽の羅針盤が輝き始めた。


 何事かと驚いている僕を余所に、掌サイズだった羅針盤が大きく膨らんで、悪魔の首へと飛びついていく。


「なっ、ま、まさか……くそっ! や、やめろ、やめるんじゃっ!」


 悪魔はもがき苦しむが、その動きを振り払う事が出来ない。羅針盤はぐるぐると回ると光と成ってその首に巻きつき、やがて、首輪へと姿を変えた。


 同時に、僕の右手の薬指が輝いて、そこに指輪が出現する。どちらも黒く禍々しい意匠のもので、目立つ位置にカギ穴が設けられている。


「な、なんだこれ」

「……そんな……こ、これは、ソロモンの首輪と、指輪か……?」


 悪魔が一人で足をばたばたとさせ、青ざめている。表情がもの凄い絶望感に染まっているが、僕には何のことやら解らない。


「おい、これは何だ? 契約と何か関係が有るのか?」


 聞いてみても、悪魔はショックで参って居るのか、僕の言葉に気付いていないようだ。


「ちょっと、こういうのを教えないのも不公平だぞ。ちゃんと僕にもこれが何なのか教えろよ」


 そう言いながら悪魔の肩に手を置くと、指輪が突然輝き出す。同時に、悪魔についた首輪が同じく輝き、弾かれるように頭をあげて、悪魔が二つの輪について喋り始める。


「こ、これはその、ソロモンの指環と言って、悪魔が契約に失敗すると出現するのじゃ。断るならともかく、願いを引き受けた上で失敗すると、これがつけられるのじゃ」

「へえ……で、どういうアイテムなのさ」

「これは契約で背負うリスク、罰のような物で……その、悪魔を使役するための拘束具なのじゃよ……」

「……そいつは、興味深いな」


 それを聞いて、僕はこれでもかと悪そうに笑ったと思う。


 なるほど。だからこいつ、そんな不利な情報を僕にすんなり話したのか。今触った時に指輪が発動したから、僕の命令に応えたわけだ。

 悪魔も相手にいちゃもんをつけると罰がある。対等な取引じゃないか。


「つまり、君は僕の命令に逆らえなくなったんだな」

「……ううっ、なんで乳まで触られてこんな事にっ……あんまりじゃ……!」


爺さん、これか。こいつが、僕の望みへの近道なのか。

僕はゆっくりと悪魔へ歩み寄り、その顎を支えて視線を上げさせる。きっと、長い付き合いになるだろう。僕の欲望が尽きない限りは、ずっと。


「君、名前は?」


 悪魔は悔しそうに唇を引き締めていたが、やがて震える声で、僕に名乗った。


「……マモン。人間には、そう呼ばれておる」


 これが、僕と悪魔の初めての邂逅。



 マモンとの出会いであり……悪魔の世界へと足を踏み入れた瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ