第5話 「俺は小学生と密接しても興奮したりしない」
若菜と風呂、就寝編の第5話、いっけー、マグナム。
若菜の過去を聞いてから数十分後、葵が風呂から出てきた。
「ふぅ、いいお湯だった。…何見てんだよ変態」
お前…、さっきまでの俺の感動の涙を返せよ。
それに別に見るつもりもないのに俺の視線の先に自分から入ってきて変態呼ばわりは無いと思うが。
確かにバスタオル一枚で幼女体系な少女が立ってたら、ロリコンなら発狂ものだけどな。賢二とか。
「誰がお前の裸になんか興味あるんだよ。実の兄貴を変態呼ばわりとはいい度胸だな」
だが仮にも実の兄貴で、お前の裸なんて見慣れてる俺にとってはまったくどうでもいい。
それでも変態扱いとはどういうことか。
「まったく若菜を見習え。俺と一緒に風呂に入るとまで言い出してんだぞ」
コイツの場合は親の温もりを知らないから、というのもあるが。
「若菜はまだ小学生だし。何?小学生にまで反応すんのかロリコン」
こ…、この野郎、事情を知らないからっていい気になりやがって。
俺は震える握りこぶしを抑えながら、大人の対応で返す。
「違うわ。義妹をそんな目でみるわけねーだろ」
「はん、どうだか」
否定の文句はいいからとりあえずお前は早く着替えろ。そんな格好だと見てくれと言わんばかりだぞ。
「……お兄ちゃん…」
そんなやり取りをしていると若菜が声をかけてきた。
「ん?ああごめんな。こんなやつと会話する前に風呂に入るか」
目の前で葵がわなわな震えているのは気にしない。
この後葵から鉄拳制裁を加えられることになるが気にしない。
「ふぅ、やれやれ。葵もあんなこと言いながらバスタオル一枚で俺の前に出てくるなっつの…」
先ほどの鉄拳制裁の後、なんとか生存した俺は風呂に入る準備をするため着替えを取り出していた。
ちなみに俺の風呂上りの姿兼寝間着兼部屋着は甚平と決まっている。そのため、部屋には大量の甚平ストックがある。
「よし、これで準備OK」
全ての準備を終えた俺は若菜を呼び出した。
「若菜ー、風呂入るぞー」
その言葉を聞きつけると、俺と同じく風呂に入る準備を終えた若菜が駆け寄ってくる。
その姿は動物園にいる小動物を彷彿とさせる。実に可愛らしい。
「……」
若菜は駆け寄ってくるなり無言で俺のズボンの裾をつかんだ。実に可愛らしい。
おっと危ない。俺はロリコンではないのに若菜を危ない目でみていたらしい、なんと破壊力のある態度なんだろうか。俺の精神はまだ健全。うん、大丈夫だ、問題ない。
「よ、よーし、じゃあまず若菜を脱がすぞー」
これだけ聞くと変態発言に捉えられるかも知らんが仕方ない。ほかになんと言えというのか。
俺は決意を決め、若菜の服を脱がす。その前にまず髪留めを取る。ツインテールなので髪留めを取ると金色のサラサラした髪が舞う。その次に上着、次にスカート、そしてパンツ。
……うん、平然に言ってるつもりだけど内心緊張感ハンパないっす。
やはりこの年になると小学生相手でも邪念が現れるというのか、ぐぬぬ……。
しかも若菜さん、顔赤くして上目遣いとか止めてください。マジ死にます。やめてください。
やめろ、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
「う、う~んこれで終わったな。じゃ、じゃあ次俺が脱いじゃうから先に風呂入ってな」
俺のいう事を聞くと、若菜は無言で頷いて風呂場へ入っていった。
「くそ、確かに俺はロリコンでもシスコンでもないがこれは困るな…」
そう呟いて自分の上着を脱ぐ、俺の体はそれほど鍛えられていないのでお腹の方は若干タプタプしている。まぁね!高校生の間全然運動してないしね!
「賢二がいたら若菜は風呂がトラウマになるかもしれん…」
そんなことを考えながらズボンを下ろす。あとは下着を脱ぐだけなんだが…。
「なぜそんなところから覗いているか聞こうか、秋好」
さっきから妙な視線がすると思ったから小学生を狙う変質ストーカーかと思ったら…。
「え~、だって久々に光司にぃと一緒にお風呂入りたいなぁと思って~」
「誰が一緒に入るんだよ、高校生と」
洗面場の窓から姿を見せたレッドブラウンの色の髪を肩まで降ろした女性は、斎宮 秋好。変わった名前の女で、俺の幼馴染…だと思う、多分。
多分というのは俺はこんなストーカーまがいの女性と幼馴染になった覚えはないからである。
「えぇ~、ひどいな~。昔は一緒に入ってくれたじゃん、光司にぃ」
そりゃお前が小さいころだからな。今お前確か高校3年生だろ?そんなやつと一緒に入ったら俺が葵に殺されるわ。
「お前自分の歳考えて言ってる?」
「うん。このナイスバディで光司にぃを悩殺しようかとおもって♪」
よーしそうか、全然わかってないなお前。まぁ確かにお前は家にいる女よりスタイルはいいけどさぁ…。主に胸とか胸とか胸とか。先月会ったときはDカップだということを自慢したしな。それは認める。
だがひとつお前には残念なことがある。
「お前自分の身長見てみろ。それでナイスバディとはよく言えるわ」
そう、こいつもまた家にいる妹たちレベルに背が低いのである、今年の身体測定では150cmあるかないかだったとか。なので当然体重もそれなりである。
「えぇ~、スタイルが良ければ身長なんて関係ないでしょ光司にぃ~」
「うるさい、そんな身体で一緒に風呂に入ってみろ。俺が牢屋に入れられるわ」
という訳で秋好さんにはご退場願いましょう。若菜も風呂で待ってるしな。
「もぉ~しょうがないな~。じゃあまた明日来るからね、光司にぃ!」
もう二度と来るなよと思いつつ秋好をきちんと玄関から見送った。
鬱陶しいと思いつつも可愛らしいというのが幼馴染属性だと思うが、奴にはそういう可愛らしい一面がない。やはり幼馴染と恋に落ちるというのもギャルゲーだけか…。
秋好とそんなやり取りをしたあと風呂場に戻ると、洗面上で若菜が涙目で待っていた。
自分が何かやらかしたかと思ってしまったので、話を聞いてみることにした。
「ど…どうした…?俺がなんかやったか?」
「…どこ行ってたの…?」
あぁ、若菜は俺が秋好と話してた間も風呂に入ってたんだもんな。
「さっきちょっと友達が来ちゃってな。今追い払ったところだ」
「…いなくなったかと思った…」
そうか、寂しくなっちゃったんだな。ごめんな…。あんだけ守るとか言っといて…、自責の念に駆られながら俺は若菜をまた抱きしめる。もとい、抱きしめてしまった。
「あ…、お兄ちゃん…」
ん?どうした?と思って若菜の顔を見る、すると顔を赤くしながら俺から離れようとしていた。
そういえばさっきからなんだか俺の手が柔らかい感じのもの物を掴んで…、
「あ」
見ると、若菜はまだ裸だった。
「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!」
当然のごとく俺は断末魔をあげることになった。
い、いやいやいやいやいやいや。別に小学生を裸で抱きしめたことに後悔があるというかそういうことじゃなくむしろ嬉しく…いやいや、嬉しくない!嬉しくないけどなんだかいい気持ちというか女性って小学生のころから体柔らかいんですねとかそういうことじゃなくて!!!
「おぉぉぉぉぉ…………」
まだ身体がプルプル震えている。当然というか必然だろ。偶然とはいえ自分の義妹の裸を拝んどいて抱きしめるとか兄としてでも正気の沙汰じゃない。自責の念しかわかねーよ。ボケが。
「ご、ごごごごごごめんな…」
謝って許される問題でもない気がするが、こういうときは謝らないと話が進展しないというのを俺は知っている。葵で十分学んだことだ。
「ん……」
若菜は若菜で顔をまだ赤く染めながら頷いている。そんな顔で頷かれても罪悪感しか湧かないんですが。
ま、まぁ許してもらえたようだからよしとしよう。落ち着け俺。仮にも兄なんだから。
「よ、よし…、じゃあ今度こそ風呂に入るからな。先入ってろ」
若菜をもう一度風呂場に返し、自分の下着を脱ぐ。パンツの下から粗末なものが見えるのはもう慣れた。
男なんて一物の大きさだけで決まるもんじゃねーんだよ。
そのブツの上から腰にタオルを巻き、風呂場に入る。若菜も女性なので気を使ってのことだ。
風呂に入る扉を開けると、浴槽に若菜が入っていた。体育座りで入っている。さっきの罪を許されそうなほど可愛い。罪を犯したのは俺だが。
「俺が洗い終わったらお前洗ってやるから待ってな」
そう言うと俺はさっさと顔、体、頭と洗い終えた。俺の体を洗う描写は省略する。だれが喜ぶんだ自分の身体を洗うことを実況なんて。喜ぶ人の言葉を聞きたくもないが。
「よし、終わった…っと。若菜、来いよ。洗ってやるから」
「う…うん…」
そう言うと若菜は浴槽から出てきて俺の前に立った。
い…今から洗うぞぉ…。身体から洗うぞぉ…。くそ!賢二!悲しいながらに今少しお前の気持ちが分かってしまった気がする…!泣きてぇ…。
しょうがなく決意を決めて若菜の身体にスポンジを持った手を伸ばす。そしてまずは背中にスポンジを付けて洗う。
「……」
若菜は終始無言。俺が今洗っているのは背中なので若菜の表情は見えない。
そのため逆に少し緊張してしまう。そして背中という事は当然尻も洗うことになるという事だが、これは意外と簡単にクリアできた。慣れって怖い。
「ふぅ~…、よし、次は正面だ」
息を吸いながら俺が言うと、若菜は正面をこちらに向けた。女性の身体の正面というと、もうそりゃ色々とアレなモノがある方向ですよ。俺もこれ見たときは本当に手を伸ばしていいか悩んださ。あぁ悩んださ。だがこれでは兄としての名が廃る!と謎の決意を固め、正面に手をかけた。
「……ん……」
…………。いや、大丈夫だ。俺は清純だ。思考は汚れてなどいない。
胸ぐらいならまだ洗える、まだ洗える……。
「んん……」
………………。落ち着け俺。相手は義妹だ小学生だ。俺はロリコンでもシスコンでもない。
静まれ、股を洗うのがなんだというのだ。洗えと言われたから洗っているだけだ。やましい考えなど少しもない。
「んっ……」
!……………………。バカヤロー何考えてんだ俺。その脳味噌はピンク色の妄想しかできねーのか。
違うだろ、足を洗うだけでそんな妄想できないだろ?だから落ち着こうぜ?な?
「ぐはっ…、はぁ、はぁ…」
吐血レベルのイベントを潜り抜け、若菜の身体を流す。静まれ俺、あとは髪の毛だけだ。
もう大丈夫なんだ。そう思いながら今度はシャンプーを手に取り、若菜の頭につけて泡立てる。ちなみに家のシャンプーはリンスINなのでめんどくさいことをしなくてもいいのだ。
「大丈夫か、痛くないか?痒いとこあるか?」
洗うのが頭になっただけで急にしゃべれるようになるとは、俺は人間としてどうなのだろうか。
いやこれが正しいはずだ。仮にも俺は20歳の大学2年生。女の子とお風呂イベントなんてギャルゲーでしかやったことねーんだよ。そう考えりゃまっとうな反応だろ。
「ん…、ない…」
よしよし、と若菜の頭を洗い終えたので流す。女の子がどれくらい髪の毛を念入りに洗うか知らんが少なくとも全体的にくまなく洗ったつもりだ。若菜がそういうのを気にする体質だとも思わないし。
「そうか、んじゃ、これでOKだ」
その後、俺は若菜の髪を乾かしたり、歯を磨いたり、そんなことしてたら葵から「ロリコンキモい死ね」とか罵られたりと、とりあえずあの後も色々なことがあった。
が、そんなことも数千年も前に感じられるかのようなことが起こった。
「一緒に…寝よ…」
なんとなく言葉の感じで分かると思うが、このセリフを言ったのは若菜である。
今の若菜はピンク色の布に可愛らしいうさぎのイラストがたくさん描いてあるパジャマを着ている。
その格好で小さなうさぎのぬいぐるみを持って立っている。
ちなみに俺は当然のごとく甚平。上下紺色のな。
それはともかくとして問題なのはこのセリフである。「一緒に寝よう」だとよ。全国のシスコン諸君ならこのセリフを待ち望んでいる人も多いのではなかろうかと思うが、少なくとも俺はシスコンではないので興奮しない。
でも若菜の場合、親と寝たことがないのかもしれないのでしょうがない。
俺は若菜と一緒に寝る決意をした。
俺は若菜と一緒に自分の部屋に入った。どうでもいいことを解説すると俺の部屋は八畳間で、カーペットの色は青。部屋の中には本棚やCD、DVD、ゲームソフトを入れる棚。PCのデスクトップ。テレビ。洋服棚にベッドがある。
壁にはカレンダーが掛けてあるぐらいでポスター等はない。オタクといっても俺はライトな方だからだ。
ちなみにエロ本やオ〇ホール、エロゲなどもない。なぜかというと、ことごとく葵に捨てられるからである。
そんな中にあるベッドに俺はまず若菜を入れて奥に詰めさせる。その後俺が入れば一緒に寝れるってわけだ。
なぜか俺たちはお互いに顔を向け合ったまま寝ている。若菜がまだ小学生だというのもあるかもしれないが、俺的には恥ずかしい。
「じ…じゃあなんだ…。おやすみ…?」
「…ん…、おやすみ…」
少しぐらい会話をするかと思ったが、若菜はさっさと寝てしまった。
やっぱりこんな気持ち悪い大学生と寝るのは無理があるんだろうか。そう思って俺もさっさと眠りにつく。明日も俺は大学が休みだ。
「ふぁああ…。よし、寝るか…」
独り言をつぶやきながら俺も瞼を閉じる。すると、なにやら暖かいものが近づいてきた。
―――ギュ
なんということでしょう。20歳を迎えた大学生に10歳の小学生が抱き着いてきたのです。
しかも自ら近づいてきて。若菜は目を閉じながらそんなことをしているが、俺としてはかなり気恥ずかしい。葵に見られたら自殺ものだ。
と、恥ずかしさを感じながらも俺は眠りについた…。
(急に義妹が家に来るって…、ギャルゲーだけの出来事かと思ってたわ…。実際に来られてみると意外と大変でゲームみたいにはうまくいかなくて…。でもまぁ…、つまらなくはないよな…。よし、明日も頑張るとするか!……何をかは知らんけどな!――――)
少しだけ登場した新キャラ。秋好の解説。
・斎宮 秋好
光司とは幼馴染で18歳の高校3年生。光司の家のすぐ近くに住む。昔は天然系だったが、今は若干お色気系である。幼馴染として、やたら光司にすり寄る。
Dカップであることが自慢であるものの、身長150cmと低身長である。しかし本人はあまり気にしていない。体重は不明(乳自慢ばかりするので、中々明かさない)。髪は肩までぐらいあり、色はレッドブラウン。
え?女キャラの3サイズはまだかって?そのうちまとめて出します。
実はまだ女キャラ出きってないんよ…。
次回は光司と若菜、家に二人だけでどうなる!?
という感じのお話。お楽しみに。