表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第3話 「俺は妹にも義妹にも喧嘩をしてほしくない」

第3話です。新キャラ登場と同時になにやら若菜に影が…。

俺たちが住んでる町は若干田舎だ。名前を雲隠くもがくれ町という。

その名の通り、地図を見てもどこにあるんだか分からない町だ。関東地方で東京に近いことは分かる。

恐らく千葉あたりだろうが、なにせ俺は自分の住んでる町のことをどうとも思っていないので具体的な位置までは覚えていない。

そして今、そんな町にある俺の家から近くにあるスーパーに俺はいる。


はぁ…………。

なんだか色々疲れた気がする。まさか妹が本当に一人増えたなんてなー、と今更ながら実感する。

「まぁいいや、同居人が一人増えた記念だ。今日は豪勢に行くか!」

と気合を入れて材料探しに取り組むことにした。だがここで一つ問題が発生した。

「あの子…、若菜は何が好きなんだろう…。やっぱり子供だからグラタンとかかな…?」

食べたいもの聞いてくりゃ良かった。少し後悔する。

「えぇーと、次はキャベツっと…」

頭の中で適当に献立を決め、材料探しに専念する。と、そんなときに俺の近くから声が聞こえてきた。

「あれー!?そこにいるのは中2のかわぁうぃい妹さんを持つ光司くんじゃないかー!?」

見ると、俺の目線の少し右あたりにジーパンで黒いシャツを着た男が立っていた。

「うるせぇな、なんでお前は俺の妹推しなんだよ」

目の前にいる男の名は「さかき 賢二けんじ」。大学での数少ない俺の親友である。背はそれなりに高く、顔は俺より断然イケメンのくせにロリコンというダメ人間である。ちなみにこいつもオタクだ。とはいっても、コイツの興味があるのは幼女だけだが。

「だって本当に可愛いじゃねぇか、お前の妹。中2なのにあの美貌は反則だろ!俺の妹と交換してくれ」

なにが美貌だ。お前の場合は美貌=ロリフェイスだろ。あと交換は無理だ、お前と俺が捕まる。

「無理に決まってんだろ。お前に葵を渡したら何されるか分からん」

「何をするって!?そりゃもちろん襲…」

「ストレートすぎるんだよお前はぁ!!」

はぁはぁ…。まったく相変わらず思考回路が常軌を逸脱している…ッ!まったく洒落ならんぞ…。

「で、お前は今日もそんな妹ちゃんのパシリか?」

違うわ。なぜそんな俺は葵にパシられているイメージがついてんだよお前には。

「違う。俺の家に新しく義妹ができたからな。パーティーでもしようと思って」

「なにぃ!?それは聞き捨てならんなぁ!年は!?外見は!?」

しまった!この話題にするべきではなかった…!賢二の食いつきようがマスコミレベルだ…!だがしょうがない、聞かれたからには答えてやろう。

すぅーーーーーっと息を吸い、真顔になって素早く答える。

「年は10歳。はっきり言うと幼女スタイル」

「ホームステイを所望す「だが断る」」

馬鹿野郎。お前なんか家に泊めたら絶対その翌日にお前が警察にステイすることになるわ。

あとお前家の中散らかすからだめだ。

「クソッ…!だが俺は諦めん!必ずいつかお前の家に第二第三の俺が「早く帰れ」」

そういうと賢二はバックステップしながら俺の視界から姿を消した。まったく…、本当にどうしようもないやつだな…。て、俺何してたんだっけ…あぁそうか、買い出し買い出しっと…。



そういやあいつら、家で二人きりだけど本当に大丈夫だろうな。



視点は葵へと移る。

「腹減った…」

あたしは自分の部屋のベッドの上で寝ていた。近くにある目覚まし時計を見ると、もう4時だ。昼飯は食ったけど、腹は減る。不思議なもんだ。

「しょうがない、おやつ棚でも漁るか…」

何もなかったら兄貴に作ってもらおう、と思いつつあたしは自分の部屋からリビングにやってきた。

テレビの音がする方に目をやると、義妹とやらが小さなうさぎのぬいぐるみを持ちつつテレビを見ていた。

とそんなことは放っておきつつ、おやつ棚を漁る。何かないか何かないか。

「何もないし…。補給しとけよあいつ、使えねぇな…」

本当に何もなかった。しょうがないな、兄貴に何か間食を作ってもらうように頼もう。

「兄貴ー!兄貴ー!?」

大声で呼んでみるが返事がない。いつもは大声が飛んでくるのに…。どうしたんだろう、と思っているとテレビの方から声がした。

「お兄ちゃんなら…」

声がする方へ振り返ってみると、義妹がこちらを見て何か言っている。兄貴がどうかしたんだろうか。

「夕食の買い出しに…」

なーんだそうか。てっきり家出でもしたかと思った、するはずないけど。ていうか私この子の名前いまだに覚えてないな…。仮にも今日から一緒に住むんだから名前覚えとかなきゃ。姉と妹のスキンシップだーと思って話しかける。

「ねぇ…、あんた名前なんて言ったっけ?」

さっき兄貴といるときは怒鳴っちゃったので、優しく話しかけながら肩に手をやる。

「…っ!え…えと…、若菜…です…」

なんで肩に手を置いたら嫌がられるのか分からないけど…とそのまま若菜の足元に視線を下す。

見ると、スナック菓子の袋が置いてある。まさかこいつ、勝手に人の物を…。

「あ!そこに置いてあるの、私のスナックじゃねーか!!」

「…ひっ!」

あ、また怒鳴っちゃった。で、でも人の物勝手に食べるのも悪いものね。姉としてここは叱らなくては。

「こういうのは人に許可を取ってから食べなさい!分かった!?」

これで少しは懲りたかなーと思いつつ、視線を若菜へと落とす。

「う…、うわぁぁぁん!!」

え!?わ!?泣いちゃった!?ど…どうしよう…。




再び光司視点。

というわけであれから店内で度々賢二と遭遇しつつも買い物を済ませた俺は自分の家の前に来ていた。

「よーし、頑張ってパーティーやるぞー」

大量に買い出しを終え、気も十分になった俺は買い物袋でふさがった両手を使ってなんとか玄関のドアを開ける。と同時に誰かが猛ダッシュで近づいてきた。

「あ…兄貴!助けて!!」

案の定葵だった。なんだなんだ、ゴキブリでも出たのか。それならお前普通に潰せるはずだろ。

というかリビングから聞こえる叫び声は何だ。

「なんだよ急に」

「あ…、若菜が、その、泣いちゃって…」

なんだと貴様。早速若菜に手を挙げたのか。なんという鬼の所業。

お前が暴力をふるうのは俺だけじゃないってか、ヤロー。

「お前、あいつがビビりだって分かってんだろ!」

やや声を荒げつつも、とりあえず若菜のいるリビングへと向かう。

「うえぇぇぇっ…!!」

おい、すげー泣いてるじゃねーか!?どういうこった。とりあえず買い物袋を急いでその場に置き、若菜の頭を撫でてやる。あ、撫でるのも怖いんだっけか。

「うっ…、えぇっ…、うぇっ…」

意外に大丈夫だな。一安心だ、撫でるのに慣れてくれればこれぐらいの年ごろの女子はすぐなだめられる。そしてそのまま抱きしめる。決してロリコン行為ではない。

「うっ…、ぐすっ…、うっ…」

よしよし、泣きやんできたな。抱きしめながら頭を軽く撫でる。決してロリコン行為ではない。

「あのお姉ちゃん…、怖いよぉ…」

涙目で訴えかけてきた。このバカ妹め、今日来たばかりの義妹になんてことを。こいつは兄として叱らざるを得ないようだな。

「おい、葵!どうしてこんなことしたんだよ!!」

久しぶりに怒鳴る。さすがに義妹をこんなに泣かされて許す兄はいないだろう、こいつも妹だけど。

いつも身近にいるやつなので叱る声にも気がこもる。

「え…!だ、だって…、あたしのお菓子勝手に食べるから叱ろうとしたんだよ!悪いかボケ兄貴!!」

おお?こいつ、まさかの逆切れかよ。お前この言い争い終わらせる気ないだろ、とこっちも葵よりさらに大声で怒ろうとする。しかもお菓子って…、下らな…あっ!

「おい、それってもしかしてここらへんに落ちてたスナック菓子のことか…?」

「え…、あぁ…そうだよ…。そ、それをこいつが勝手に食ってたから叱ったんだよ!」

「あぁ、それ食ったの俺」

ヘーイ、カミングアーウツ。そうです僕が食いました。だがお前その程度の事で怒るとは、低血圧なのでは?と思ったら修羅の顔で葵が突進してきた。

「てめえぇぇぇ!!」

ぐふっ。胸倉思いっきり掴まれて…ない!葵の背が低すぎて俺の胸倉に届いていない。

いやー、こういうときは俺と妹の背の差をよかったと思うなー、外出の時とかは困るけど。

「くっ…くそっ!」

ハッハッハッハッハ!悔しいならもう少し背を伸ばすんだな妹よ!まぁそれはいい。それより説教続行だ。

「お菓子ならいつだって買ってきてやるから、いちいちこんなことで若菜と喧嘩すんなよ!分かったか!?」

よし、これでこいつも納得して謝るだろ…て、あれ?なにプルプル震えてんだこいつは、顔まで赤いぞ。少し嫌な予感が湧いてまいりました。俺がお菓子食ったのがそんなに嫌だったか。

「なんだよ…、兄貴はあたしのことなんか何も知らないだろ!偉そうなこと言うな!!」

そういいながら葵はダッシュで自分の部屋に閉じこもってしまった。

…やべぇな…、これからどうするか…。




「…なんだかなぁ、やっぱり難しい年頃なのかなぁ…」

と自分の怒り方に少し反省していると、今度は俺の脚に抱きついていた若菜が震えていた。

「…………」

「どうした、大丈夫か?」

多分さっきの俺と葵の口喧嘩を聞いて怖くなったんだろう。小学生だし、さっきのやり取りを聞いて怖くなったんだろう。

「私は…、ここにいていいの…?」

「え?」

どういうことだ。今日からここが家だと言ったばかりのはずだけども。それともあまりの空気の重さに耐えきれなくなったんだろうか。

「だって…、お兄ちゃんとお姉ちゃん、喧嘩してた…。だから私、追い出される…」

何?また意味深な発言だけども…。いや待て、おかしい。いくら喧嘩したとしてもこんな小さな子供が追い出されるなんて普通考えないだろ…。それにさっきまでの態度もだ。頭を撫でようとすると怖がる。自分の部屋があると驚く。

…………!待てよ、まさか若菜は……!!

思いついてはいけないことを閃いたが、だけどそれなら俺はこの子に優しく接しないとだめだ。

「大丈夫だ。追い出したりしない。この家にはそんなやついなから安心しろ」

とりあえず諭そう。母さんに連絡を取るのもそれからだ…。

「うっ…、ひくっ…」

若菜はまた泣きそうなので、抱いて落ち着かせる。



それにしても、こんなことが…。母さん、下手すると俺はあんたを憎むかもしれないな―――

あんたがそんなにひどい奴だったらな…。

というわけで今回は新たに登場した賢二くんの解説です。


さかき 賢二けんじ

光司の同級生で親友の20歳。自分にも実の妹がいるくせに極度のロリコン。光司とつるむ理由も基本的に彼の妹を狙うためである。光司の影響で若干オタクだが、二次元においてもロリコンであるという変態。そんな性格なので彼女なし。

身長は172cm。体重は57㎏。光司に比べればかなりのイケメン。

髪型は短髪。ワックス等で若干上に持ち上げ気味。メガネなし。



ちなみに彼の妹も後々登場予定。

次回は光司と葵の和解回になりそうな予感。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ