2.子猫探しの始まり
「ああっ! そういえば! ねえ、手袋。あの子の使い魔のこと、ワタシったらすっかり忘れてたわ! どうしましょう……」
わたくしの優雅な昼下がりに、ご主人は慌ててわたくしへ話しかけてきました。ときどき抜けてますよね、ご主人は。
「ご主人のご友人やお知り合いに、最近生まれた子猫がいないか、お聞きになられては?」
「そうねぇ。そうしましょう。エリンとルカに伝書を飛ばして……あとは村の方でも聞いてみましょう」
ご主人は机に向かい、数少ないご友人へ手紙を書き始めました。書き終わり次第、魔法で手紙を送るのです。たいへん便利ですが、宛先は魔女「友」限定なのです。
村人には魔女である事はなるべく隠しているので、村へは徒歩で向かわれます。村の近くまで箒にまたがって飛んでいけばいいじゃないですって? めちゃくちゃ目立つじゃないですか、やだー。村の隣人として生活していくには、細心の注意が必要なんです。
「いい返事が来ますように……。っと、いってらっしゃーい!」
無事、魔法を使って手紙は送れたようです。手紙が鳥のように物理的に飛んでいく様は、いつ見てもシュールです。
なにぶん急なことなので、返事はすぐには返ってこないだろうと、待っている間にご主人は、ヘーゼルを連れて村に行くようです。まだ村へ行ったことがないヘーゼルは、大喜びで出かける支度をしていました。
この村は元ヘーゼルが住んでいた村ではありませんが、「情報」というものは口伝てに、ひとりでに伝わるものです。サンドラに弟子入りした娘の情報も、話好きの人びとによって伝わっていくでしょう。
まあ、こんな事もあろうかと、ご主人はヘーゼルの姿を変えたのですし、これからは彼女一人で村や街へ、お使いに行かされる事もしばしばあるでしょう。こそこそとすることなく堂々と。
ご主人もお出かけ用の服に着替えて準備されてました。
わたくしは留守番ですが、ご主人とは心話でお話出来たり、視覚など共有出来るので、また優雅に日向ぼっこです。
いってらっしゃいませ。むにゃむにゃ……。




