第7話「転・マスターフォームⅡ」★✕4
エレメンタルワールドⅡ、今現在歴2029年11月2日〈金〉。
翌日、次の行動へ皆が移ろうと思ったところでアナウンスがあった。
何も無かったステータス画面に新たに何かの条件を達成したのか、テキストウインドが表示された。
《習得条件を達成しました! 信条戦空、湘南桃花、真城和季、天上院咲は〈マスターフォームⅡ〉へ究極進化しました!》
《習得条件、①エレメンタルワールドⅠをクリア。②少女は異世界ゲームで名を揚げる。をクリア。③各ギルドでランキングトップを維持する。④エレメンタルワールドⅡの地図を拡張した。》
さらっと習得条件を書いているが、その難易度は他の参加プレイヤー達にとって、過去最大級な〈無茶振り〉である。
「究極進化ってのがすげー良い響きじゃな」
GM姫が感慨深そうな声色を発する。
咲は個人的な感想を言う。
「まあ、ほぼ皆初期衣装のままだったし。見た目的な印象? 雰囲気としては上がっても良い時期かもね」
桃花は嬉しいような〈いらん……〉という感情がどちらも両面有る。
「え、見た目が変わるのは良いけどスペックとかどうなるの?」
桃花にとっては特性やスペックが上がるとむしろ逆効果になってしまう。
何も特殊能力が無いから桃花は良さが引き立つのであって、有ったら超人になってしまう。
和季も似たような意見だった。
「これ以上能力上がらねえぞ……」
「え、てことは見た目だけ変わるのか?」
戦空はパワーアップしたいので残念がる。
GM姫が今後の進行を考える……。
「んーそれじゃ他の人に示しがつかなから位とか、階級が上がるみたいなニュアンスかな。スキルだったら全ての所持スキルの優先度が1段上がるとか。モンスターではない、神だ! みたいな次元が一段上がるみたいな。通常の技量や能力、ステータスは変わらないが本当に優先度と見た目が1段上がる、とかそんな感じだと思う。まだEWⅡの序盤だし……」
咲は単純明快に姫に言った。
「つまり威厳が1段増した?」
「うーん、まあそうじゃな」
つまり今回の目玉は戦闘面ではなく衣装のバージョンアップがメインということになる。それでも優先度が1段上がる、は戦況によっては破格だとは思うが。うま味が薄いかもしれない。
「……じゃ、着替えるか」
桃花が新衣装へと3人を誘導する。
「まあ俺の服地味だったからな……」
和季はプロから依頼して貰っていた服装だったのでちょっと名残惜しい。
「そういえば私、マジで初期装備のままだったな~~……」
何回か衣装チェンジはしたが、ここまで大々的な衣装チェンジは始めてな咲。
「ウチは毎回不完全燃焼感が否めない……」
まともに活躍したのは1回だけでここまでのし上がってしまったので、豪運が何故か申し訳なく感じる戦空。
と言うわけで、お着替えタイムと入り、1ターン休みへと場面は移った……。
GM姫は悩む。桃花は「どうしたの?」と尋ねる。
「いや、数値的スペックいるかな~? と思ってさ」
姫が気にしていたのは、このマスターフォームⅡの全長、質量、速さ、エネルギーの事である。少し考えたが頭がこんがらがってきた。
特に質量が難しい。
「質量は少なくとも、時間経過とエネルギーを消費して生み出される重量だと思うんだけど……。少なくとも時間が長くかかり、エネルギーも長く消費してるのなら、上質な質量を形成すると思うが、その分速さは遅くなるはずである……とか……」
GM姫の気苦労もわかるが、桃花先生はバッサリと切り捨てる。
「細かすぎて伝わらないネタになると思うから、今の進行に影響出るなら他の人に任せたほうが良いよ。あんたは〈質量が多ければ、時間経過とエネルギーを消費し、その質量分、スピードは遅くなるはずである〉と、定義するだけでいいよ」
細かな数値は他の人に任せて、自分たちはメインの執筆に専念する。そのほうが良いと桃花先生は言った。
「……それもそうじゃな。流石にその定義は今までの経験上変わらないと思うからEWの法則に入れるわ。【質量が多ければ、時間経過とエネルギーを消費し、その質量分、スピードは遅くなるはずである】これじゃな」
これにGM姫も大いに同意する。
湘南桃花は次の行動方針を決める。つまり、桃花自身が〈外側のドア〉を開ける事となる。
「んじゃ、まずは自由解放軍の所に行くから。私は西から東へ移動するよ?」
桃花が移動するということは自動的にオーバーリミッツもついて行く。
GM姫が考える。
「ん~今回は東と西チームに別れよう。東チームは湘南桃花、オーバーリミッツ、信条戦空、日曜双矢。西リームは天上院咲、天上院姫、真城和季、不動武……かな」
今回は危険な場所は避けて移動するので比較的安全だと思われる、だが未知の領域は目と鼻の先というのは変わらない。
「じゃ、開けまーす!」
そう言って、桃花は西側の扉をギイィ……と開けた。
◇◇◇
豆知識
エレメンタルワールドの今までの法則。
ほとんど世界観による物理法則、特殊法則の記載なので。滅多なことでは変わることはない1つの指針になっている。
ドアの世界 第19話
【99%真実】
・姫が〈おわるせかい〉の魔法に対して咲に説明した法則。
【EWの法則はEWの物理法則と特殊法則を合わせた意味となる。更に、EWの法則は隅付き括弧で表現される。】
【EWの法則は、地球上では観測や応用の対象となりうるが、地球の法体系や道徳的責任をEWの住人に適用することはできない。】
ドアの世界 第28話
【ザ・ユニティ戦で眠りについているのは秘十席群であり、湘南桃花は目覚めている】
ドアの世界 第41話
【零時迷子の法則性はキャラクターの感情や物語内の倫理を無視して強制的に行うと都合の良い設定が世界の歪みを引き起こす】
ドアの世界 第52話
【難解な科学装置を扱える人物なのかどうかの事前提示はいる】
ドアの世界 第57話
【風の精霊ヒルドは変わらない、変態うさぎが幻想入りは変わる】
【機械サイドと紙面サイドでは、別々の法則性が働いている】
少女は異世界ゲームで名を揚げる。 第736話、その後すぐに解除。
【今現在歴2025年10月31日〈金〉から2026年10月〈土〉まで、1つの駅ビルと1つの出版社の売り上げと因果関係を平等にする】
EWⅡ 第7話
【質量が多ければ、時間経過とエネルギーを消費し、その質量分、スピードは遅くなるはずである】




