第6話「承・食うか食われるか」★
後方チーム、日曜双矢、京学文美、秘十席群、アリス。危険モンスターの駆除。
まず、後方チームはあまり進まず、ドアの世界周辺にいる大型武装狸と言語が通じるので接触・交流をするところから始めた。
流石に解らに事が多すぎるので慎重に行動する。
危険じゃなければ駆除する必要が無いからである。
日曜双矢がボスっぽいモンスターと交渉を開始する。
「ちょっといいか狸さん」
「あー? なんじゃワレぇ? 俺に話しかけたきゃしっかり強くなってからにしーや。半端に話しかけたら火傷するで? ワシは雑草食うので忙しいんじゃ」
「えっとー……そういうわけにはいかない、ウチの所の縄張りがすぐ近くにあるんだ、お前さんが安全かどうか確かめたい」
双矢は一応狸モンスターの声のトーンで話を返した。
「なんじゃあ? あんさんわしらの縄張りにマーキングしたんか? したら話は違うなあ? どこの組じゃ? ちゃんと仁義通したんか?」
何故か仁義という言葉が出てきた、口調もそうだし、ということは結構強面系の自然環境なのだろうか?
「ところで、あんさんらのあの黒い箱が縄張りってことかい?」
大狸は双矢達がやってきた、横に長く大きな黒い箱の扉から出てきた所ははっきり見ている。が、大した存在に見えなかったのだろう。無視して雑草を食べていた。
「転移門を潜ってきたのは何度もあった、1度や5度じゃない、もう慣れとるんじゃ」
おそらく、第8の街、全王の世界オールに転移門が張られていた事もあり。何度か挑戦者や冒険家が居たのだろう。その全員が返り討ちにあっている事になる。
よく見たら、ただの草原の石だと思っていたそれは、陣地を築いた壁のなれの果てにも見えなくもない。ぶっ壊されたということだ、つまり舐められている。
「わしらにしてみら、餌が増えた程度の認識じゃ。先に食おうが後に食おうがわしらの勝手じゃろ?」
「てことはいつかは食うという事か……なるほど……」
京学文美が双矢に聞いてみる。
「どうするの? 外敵ならやっちゃう?」
「待て、食料があれば共存できる可能性がある。強面だが話がよくが通じる、頭が良い、敵意もない、ここはメシを渡して情報を貰おう。俺等ここの土地の事何も知らなすぎる、原住民に聞くのが一番手っ取り早い」
秘十席群とアリスは交互に確認する。
「じゃあ俺達はEWⅠへ一回戻って、食料持ってくるよ」
「手伝いますよ、群さん」
大狸は感心する。
「ほう、金じゃなくてメシの準備かぁ、あんさんら判ってるじゃねーか」
まずお金の概念があることに対して動揺する双矢だが、それは表に出さない。
「なら俺達はメシをやる、あんたは情報をくれる、それで取引しよう」
「はん、ええで、タダメシは大好きじゃ」
なんとかこの場は丸く治まっている。
◇
前方チーム、自由行動。
陸竜と海竜と空竜を3人とGMで相手にしていた、他のチームと違って、こちらはもう国家に喧嘩をふっかけている。
「なんじゃあ!? 人間が動物を食うのが合法で、動物が人間を食うのが違法だ!? ソッチのほうがイカレてんじゃねーのか!?」
「でかい猿の惑星かよ、勘弁してくれ」
GM姫はそう言うが、自由の悪神にとってはゾクゾクするほど内心楽しかった。
どうやらこの世界、というか土地では人間は食料で合法らしい。そりゃ体質が怪物で動物なら、人間も当然肉のついた食料ということになるのだろう。
食うか食われるか、だ。
「どうせお前ら、言語を喋れねー下等生物を餌として食ってるんだろ?」
「喋れねーことを良いことに、好き勝手に食う! 愚か者のすることだ!」
「違げえねえ! ワッハッハ! とんだ腰抜け種族じゃねーか! 話にならねえ!」
道徳的倫理観がまるで違う。
「やめようぜ! 共食いも出来ねえ奴らと決闘でもしたら、俺らの品格まで落ちちまう!」
「そうだな、他の種族に腰抜け扱いの笑いものにされちまう、一族の恥だ!」
「小物共! 俺達と同じ土俵に上がりたきゃ、まず同族を食えるようになってから出直して来な! でなきゃ相手にもされねえぜ! マナーだマナー道徳的マナー! ハッハッハ! 笑える!」
咲はその言葉に対して、ブチギレる。メシの事となると尚更ブチギレる。
「誰が! あんた達がこっちの土俵に上がって来なさいよ! 胸糞悪い!」
陸竜は嘲笑うかのように忠告する。
「ああ、竜王国に来るなら言っておくぜ。俺達の階級は伯爵だ。まずは男爵と子爵を相手にまともに戦えるようになってから出直して来い!」
そう言って、3竜は空高く舞い上がり、どこかへ飛んでいった。関わると汚名を被る、だから相手にしない。という選択肢を彼らは取った。
「逃がすかこの野郎!」
空を飛ぶ! 戦空が怒りのグーパンチを陸竜の顔面に食らわせた!
「ク! この野郎!」
「やめろ! こんな奴を相手に反撃してみろ! 同じ領域竜種に笑われるぞ! 耐えるんだ! 無視しろ〈嫌なら観るな〉だぜ?」
空竜に言われて、陸竜は耐える事を選んだ。こんな小物すぐに倒せる。それよりも領域竜種の誇りがそれを許さない。眼中にない、を強要されている。
「帰って報告だ!」
そう言って3竜は飛んで見えなくなった。
危機は去ったが、雰囲気だけは悪かった。
「なになんなのあいつらフザケてる!?」
夜鈴がカンカンに怒る。
「いやー知識マウントおもしれーなー!」
GM姫はどっちの味方なのか判らない言い方をするが、どちらかというと未知の常識を面白がっている風だった。
「……向こうも帰ったし、こっちも戻りましょう」
咲が自由行動チームを元の場所へ戻るように誘導する。
こうして地下100階分ぐらい上昇してから、4人は拠点へ戻って行った。
◇
今現在歴2025年11月1日〈土〉15時00分。
ドアの世界、0000号室、扉の大広間コネクトハブ。
まず不動武と不動文がが流水として大量の水と、キノコなどの食料の塊を回収してきたのでそれを保存する部屋が必要になる。貯水室と食料庫だ。
「部屋の拡張は始めてだな~、間違えやすくなるし連番にするか」
GM姫がさっきのおふざけとは別の顔に切り替えて、涼しい顔をする。
0101号室が貯水室、0102号室が食料庫にした。ちなみに0103号室が咲の世界である。
食料を保管してからまずはそれぞれの情報共有とする。
「皆どうだった?」
「治安悪い」
「土地の位置関係も良くない」
「道徳倫理観が終わってる」
など評価は良くない。
「人間側の国境線あったよ」
「お金と仁義の概念はあるようだ」
「電波あるので無線は通じるけどステータス画面が繋がらない」
で、最後にとどめ。
「合法武装国家に喧嘩売ってきた」
『は?!』
そこで湘南桃花が寝起きながら起き上がった。
「……んじゃ、簡易地図作りますか……」
桃花は地図制作を開始した。
数分後、EWⅡの簡易地図が出来上がったので、それを広げる。
「ふむ、この感じだとまず自由解放軍とコンタクトを取った方が良さそうだな」
「だね~、あと安全なのは雨森か……」
と、そこでGM姫から個人的な提案。
「ちょっといいか? 今動いてる暦は、今現在歴2025年11月1日だけど、運営上の都合により今現在歴2029年にしたいんだだが変更問題ないか? EWⅠとⅡでは何も影響的変化は無いものとする」
湘南桃花が「姫の好きにやればいいよ」と推薦する。
「この状況下で指図するような輩がいればそっちのほうが問題だから、自由でいいよ」
と言ったので運営権限により2025年から2029年に変更。
あとはレジェンドマンが自分たちの正義を確実に実行できるように東西南北の記載を要求する。
「で、磁場の状況はどうなっている? せっかく地図を作るのなら方位を書いてくれないか?」
GM姫は、真北と磁北をどうするか考える。
「んー北極星の知識が少ないから今回は磁場、磁北を探すか……?」
湘南桃花が良かれと思って言う。
「いや、結構難しい分野だから小手先でやらないほうが良い、真面目に単純で良いよ。普通に東西南北で今回はやる」
GM姫も、ここでは悪戯心は抑えてちゃんと進行することにした。
「解った、今回はちゃんとやろう」
といわけで地図が完成した。




