第27話「転・アカシックレコードと天気予報」
GM姫はギルド四重奏の信条戦空に、まだテスト期間中のツールを3種類ステータス越しに渡した。
「これは?」
「これは試作途中の〈アカシックレコード・文章版と画像版〉だ、そしてこっちは〈天気予報〉ツール、名前はまだ無い」
天気予報の方は未来を〈予測〉するツールだからあとで話すが。
アカシックレコードと言う名のステータスツールは天上院姫が〈ガチでプログラミングコードで設計した〉正真正銘の便利ツールである。なお試作品なのでまだまだ粗は多いが、文章版の方はほぼ実戦レベルで使えるほど調整が入っていた。
「簡単に言うと辞書や辞典だ。流石に100万文字も書いてたら、他の有料ツールの善し悪し。何が必要で何がいらないか解るからな……。時間はかかるかもしれないが試行錯誤が終わった後は無料配布する予定だぞ。四重奏はブランク多いから、これで専門用語とか調べて覚えてほしい」
咲や和季や桃花が暴れ回っていたせいで、双矢、文美、戦空、夜鈴のギルド『四重奏』が情報量的に置いてきぼりになっている所は否めないので、簡単に言うとバカ長い攻略本である。
特にこのツールは〈検索機能〉にかなりのこだわりを持っており、詳細は省くが色んな検索方法が付属されている。デフォルトのPC操作では出来ないほど検索機能が強化されている。ザックリ言うと、指定したフォルダを支点とした全文検索、ファイルだけのタイトルで検索するファイル検索、もちろんログの中の細かい本文を検索ヒットさせるフォルダ検索、そしてタグを自分でカスタマイズして検索出来るタグ検索。
100万文字のログを超えてからと言うもの、暗記だけではどうしようもなくなってしまったので「絶対に特定の単語を見つけてやる!」という執念が窺える。
「まあこれ読んで勉強してくれって事だな」
別の異世界物語なら〈原作知識でチート無双!〉とかタイトルが入ってもおかしくない代物だが、元の世界である〈創世原種〉には、その恩恵はあまりない。
無料配布を目的としているがあくまでおまけで、今は正真正銘、GM姫の一品物のツールである、つまり世界で1つしか無い非売品である。
「で、こっちは名前も決めていない〈天気予報〉というツール。私達の今までのデータを元にして、次の展開を天気予報のように〈予測する〉ツールだな、これは出来上がるか解らんけども……これに関してはAI積んでるし……」
一品物というより姫が作ったツールじゃないと言いたいのだろう。
このツールは、今の情報〈と言っても100万文字を超えたらところてん式でデータを忘れてしまうが〉を元にAIが次の展開を3パターン、4展開を週間天気予報形式で〈予測〉するという代物。
GM姫はこの予測を元に「じゃあこうしようかな」とか予定を立てられるし、他の無数のプレイヤーに対しても「じゃあこうしようかな」と〈準備が出来る〉、運営側にとってもプレイヤー側にとってもウインウインな関係だったので採用することにした。名前はまだ無いが……。
「……じゃ、さっそく使って見るか!」
言って、戦空はその〈天気予報〉を使ってみた。
詳細は長すぎたので省力するが概要はこんな感じだった。
〈パターンA〉
戦空が「アカシックレコード」の検索機能を使い、マナギア鉱石の「確定沸きポイント」を検索。 過去ログ〈咲の記憶〉にある「一番効率の良い採掘場」へ直行し、「工程最大5の法則」と合わせて爆速で素材を集める、ストレスフリーな無双展開。
〈パターンB〉
戦空が〈天気予報〉ツールを見ると、ある方角だけ「予報データがありません(404 Not Found)」と表示される。 そこは地図上の〈極秘エラー〉海域。
AIが予測を拒絶するその場所へ、好奇心〈または事故〉で近づいてしまい、システム外の恐怖に直面する。
〈パターンC〉
「検索機能」が優秀すぎて、どうでもいい情報(黒歴史)までヒットしてしまうコメディ回。 「戦空」で検索したら過去の恥ずかしいセリフが出てきたり、未来予報が「明日の夕飯はカレー」などの小ネタばかり拾ったりして、肝心の冒険が進まない。
その予測を見て戦空は姫に直感で言う。
「へー、結構ちゃんとしてるじゃん」
「まあまだ単行本1冊分、10万文字前後しか記憶してないから、流石に予測精度は咲の方が鋭いよ」
咲は最長文学少女なので、100万文字の情報量を超えているためところてん式で情報が吹き飛んでしまう。もうその時点で今のAIでは完璧な予測は不可能という事の表れだった。
更にもう一つ付け加えると、湘南桃花の画像データの枚数も軽く300枚は超えているので、こちらもAIにデータを全て読み込ませて理解させようとなると、課金してたとしても〈オーバーロード〉してしまう。
故に、今の所のバージョンでは。AIより、GM姫が作った試作品用のツールにはデータ上限がほぼ無いので。このアカシックレコード、文章・画像版の方が情報量では勝つ可能性が長い目で見れば高い。ハルシネーション〈嘘〉も起こらないし。
咲は天気予報の予測のBにツッコミを入れる。
「とりあえずBは嫌だな、ロマン展開やミステリーは好きだけど、ホラー展開はゴメンですね……」
「この中で確立高そうなのはCか……????」
などと、新技術にはしゃいでいた。




