第23話「転・舞台裏のノリ」
天上院姫が湘南桃花に雑談を持ちかけてきた。
「桃花ー雑談しようぜー、こんだけ部屋があるなら舞台裏も表舞台でやっても大丈夫だろ~」
桃花はそれに対してツッコミを入れる。
「いや本編でやるなよ! いや、まぁこのドアの世界セキュリティ性能メッチャ高いから余裕で外部隠蔽工作へちゃらみたいな空気醸し出してるけどさ……」
このドアの世界は〈シュレディンガーの猫〉と〈ウィグナー友人〉という内側と外側の両方のセキュリティーが万全なのでよ、ほどの事がない限り真相看破には至らないという自信はあった。
第0123番号室〈舞台裏部屋〉
GM姫は、ただの個人的な姫としてただの人間、桃花に相談する。
「でさー、マジもんの為替について相談したいんだけどさ~」
「あーよく裏でやってるタブー視されてるリアルよりな話ね……」
「ぶっちゃけゆうちょ○銀行の積立貯金よりFXのドル円で5万円積立貯金したほうが金利あるよね? レバレッジ1倍でもさ。5年とかやれば」
「いやー解るんだけど、でも間接的に良いこと起こってないよね? そのタイミングで出来た新NISAもなんか怪しいよね、胡散臭いというか、おじちゃんにも自分で勉強しろって言われたし……」
「まあやりたいのは山々何だけど、やったとしてもお金が増えるだけで、作品とは関係ないし、それやるならカク○ムとかで作家に投資したほうがある意味利益あるよね? 作品の供給という意味ではさ。有意義と言うか」
「結果的にお金は減ってるがサブスクなら微々たるものだし、有効活用するという意味ではそっちのほうが合ってる。何より作家としてはその方が正しいお金の使い方だよね。」
そこまで話し終わって、桃花はGM姫として、彼女にこの部屋の結界の定義を再確認した。
「……このドアの世界ってさ、簡単に言うと今は内側だろうと外側だろうと現象が確定しない結界って認識で合ってる?」
GM姫は声のトーンを1段落とし、真面目に答える。
「この結界は、量子力学の解釈を採用し、ハイゼンベルクの切れ目をどこに設定しているかは曖昧にしている。したがって内側も外側も曖昧だし、その境界線もどこに設定するかも曖昧になっている。したがって、内側も外側も境界線も〈重ね合わせ〉になっているファンタジー世界だ。もちろん、結界を解除すればちゃんと事象は確定するし、そのコントロールも今は出来る」
出来なかった時期があるというのが微妙に怖いところだが、今は制御できているならヨシとしよう。
と、同時に知らない単語がでてきた。
「ハイゼンベルクの切れ目って何?」
「簡単に言うと。観測状態の〈フワフワ〉から〈カチッと確定〉に切り替わる瞬間と場所の名前の理論だな」
「……はー厳重だねー……」
「まあ今まで無意識だっただけだしな」
「そこまでして守りたいものはなんなの?」
「まあ、しいてあげるなら〈夢〉? 可能性とか空想の余地とかを自分で作り上げて想像できる余地を作る行為だよな。謎を作る作業とか。間違っても政治家達の時間稼ぎのための道具じゃない、先延ばしをしたい訳じゃない。答えられません、じゃなく、与えられた情報の中でどこまで仮定や憶測、想像力を働かせられ、その中で最悪の状況に対処するのが政治家の役目だよな。だから、重ね合わせの状態なので曖昧にしていいので思考放棄しながら答弁を長々と反唱する、というのは間違っている、工夫が無いんだよ、それがムカつく」
姫にとって、そこは誤算であったのだろう。議論が進まないのは流石に望んでいない。
政府側に必要なのは憶測ではなく、確実な真実、だから赤き真実などが発展したのだろうと憶測は出来る。いわゆる、この真実の確定というのは人間側の武器だ。
つまり政府側が欲しいのは、不確実な憶測ではなく、確実な情報だ。
「あー、じゃあ人間側の武器が今の所、EWの法則しか無いのか。じゃあいっぱい言ったほうが良いのか」
「まあ議論の余地がないというのはそうなんだけど、こちら側も確実に確定できない事は隅付き括弧で言うべきじゃないよ」
GM姫はEWの法則としてどう組み込むか考える。
「じゃあこれは言えるな。【ドアの世界は量子力学の、内側は〈シュレディンガーの猫〉、外側は〈ウィグナー友人〉、境界線は〈ハイゼンベルクの切れ目〉を採用してセキュリティ面を強化している】こうかな?」
ただ、これは異世界であるEWの物理法則を指しているのであって、問答無用の政治側が円滑に議論を進める為の、〈確定した保証〉ではない。
赤き真実は〈嘘じゃない真実〉として働いているが、それは人間による証言にのみ絞っている。
これでは政治側は、地政学などの物理法則しか言えない。
「ん~、じゃあもう一つ要るな……人間側が円滑に議論するための正確な情報、嘘のない真実。プラスを挟むとかかな? +このプラスは人間側が空想に挑む為の確定した真実の保証である+、こんな感じか?」
と、GM姫は新たにプラス記号を付けて表現した。桃花はもうちょっと情報が欲しいと追求する。
「もうちょっと確定した保証は無いわけ? まだ言えるでしょ?」
「ふーん、そうじゃな真実の保証じゃろ? 空想じゃなくとなると~ん~。桃花何か聞きたいこと無い……? 思いつかない」
桃花は皆が知りたがっている確定して欲しい事象を探し考える。
「いや、真実も何も全部知ってるしな……、つまり改めて真実である保証が欲しい言質でしょ? しかも国会の議論が円滑に進むようにするやつ……ん~じゃあ米か……心氣についての真実の保証を1つ下さい」
「あー心氣ね解った。+心氣に米が入っている理由は、アメリカと米の漢字の力をかけている、何より作品でご飯を食べるという信念が強くにじみ出ている+……こんな所か?」
桃花にとってはわかりきっていることだったが、改めてGM姫の言葉で反唱してもらうことにより、言質を取った意味合いが強い。その為の真実の保証である。
「うん、とりあえず今回はそれでいいと思う」
お互いそのプラスで合意した。
桃花がその名称を求める。
「そのプラスってさ、正式名称何て言うの? あと略称。確定した真実? プラス保証? 議論を円滑に進めるための確実な情報?」
「じゃあ、正式名称は〈確定した真実のプラス保証〉で、略称は〈プラス保証〉で行こう。観た目的にもプラスが使われてるし、色はないけど赤き真実と似ている使い方ができる。注意点としては空想の余地が少しあるかもしれない、という点だな」
「例えば?」
「例えばデリケートだけど、プラス保証で〈湘南桃花と秘十席群は表裏一体で同一人物である。これらは2人共、人格が被っていて主観である〉とは言えない。これは空想上の理想であり、もし、国会で議論する嘘のない真実だとしたら、両生類じゃないとおかしいという議論になる、それが現実世界の真実だということは望んでいない。とか」
本当にデリケートなところを付いてきた。つまり、嘘でも真実でもない曖昧な境界線上の上に立っている事になる。そして同時に、どちらか一方に確定することは無いという表れだった。
桃花も解っている上で言う。
「まあ、それは私も望んでないしね。私は実は男女です! 何て国会や裁判所で真実を言う気は無い。ここは想像や空想の世界だもん」
「まあその上で、言える範囲で〈確定した真実のプラス保証〉を使えば、少しは議論が円滑に進むって事だろ?」
その上で、折角なのでもう一つプラス保証を言うことにしたGM姫。
「他にあるとしたら。+シャフランは暴走や発狂はしたことがあるが、障害者的な情緒不安定な描写はしたことが無い、アレはただの怒りだ+……まあコレぐらいだったら言えるかな」
桃花はもうちょいプラス保証が欲しい。
「他に何か言えることある? 例えば咲ちゃんの件とか」
「どこの部分だよ? あいつ多すぎて解らんぞ?」
「せっかくの舞台裏だから。旧統一教会のこととかどうよ?」
これまたデリケートな所を突いてきた。
「……まあ例の銃撃事件の事はさっぱり解らんが。……えっと言える事としたら。+天上院咲が集団結婚式が起こっていた事実については観てもいないし、もちろん知ることは無かった+ これかな? 特に吸血鬼大戦の頃、2010年前後には完全に見ていない、よって天上院咲に関係性があるという論法は全く通用しない」
桃花ももちろんそのことについては解っている。改めて言われているだけだ。
「じゃあ、台湾問題は?」
「これはもうはっきりしている。+台湾問題とエレメンタルワールドとの因果関係は今でもゲームマスターである天上院姫は解っていない+ うん、これは言える。行ったことも無いし、テレビ以外で観たことも無いし、昔作中で描写した記憶も無い。作品とは最近までほぼ無関係であることは明確に語れる」
記憶の範囲では台湾を舞台にしたことは無い、描写したことは無いと確実に言える。最近になって解った事実としては〈千と千尋の〇隠し〉の舞台背景の中に台湾が混じっているということだけで、その背景を描写した覚えはない。
つまり作品とは完全に無関係である。作品で勝負していないのでこれは論外。
姫は桃花に確認を取る。
「まあこんなもんか? 今回は?」
「そうだね、こんなもんでしょう、どうせ舞台裏だし。これだけ危ない話を舞台裏で結構やっているということだけ示せれば問題ない」
と言うわけで、この部屋を一度出て、誰もいない第0123番号室〈舞台裏部屋〉に鍵をかけ閉めた……。
「ちなみにこの扉ってオートロック式なの? 手動なの? メリット・デメリットとかある?」
「オートロックはセキュリティがより強化されてるけど、第0119番号室〈鍵保管室〉は、指紋認証付きのロックだからな……。普通の部屋はコントロールをちゃんとやったという意味で手動の方が良いだろう」
「おっけー解った」
そう言うと、2人は第0000番号室〈中央広場〉へ戻っていった。




