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エレメンタルワールドⅡ  作者: ゆめみじ18
第1章「ニューフロンティア」今現在歴2029年11月1日〈木〉

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第13話「起・その目は誰の目なのか」

 エレメンタルワールドⅡ、今現在歴2029年11月2日〈金〉13時00分の少し前。

 ボス戦に入る少し前、湘南桃花は当然ついてくるオーバーリミッツに質問した。

「……えっと、あのさ。普通、目で見て自分で考えて行動に移す方が正しいよね……? え、違うの? 何も視ない方が正義な世の中なの?」


 この問題は〈闇の目〉や〈眠る目〉についての話であり、その話に、昔に絵や話が引っ張られる現象についての相談だ。

 簡単に言うと、皆が〈闇の目〉や〈眠る目〉を乱用する事によって、それに釣られて本体も真似してしまうという現象である。その元ネタの重要性が本体には解らないから余計に気になってしまうのだろう。


 リミッツは現状を正確に理解して、理解者、以心伝心者としてあるがまま、ありのままに伝える。

「うーん、漫画は漫画、小説は小説、作品は作品、政治は政治の目で見るのが正しいんじゃないかな? 今の桃花は場外乱闘が日常化して境界線が曖昧になってる。舞台脚本と漫画の脚本が違うように、別のジャンルに首を突っ込んでもロクな事はないかな……と」


 そのあたりは昔っからそう思っていたし、むしろ元が変換されて世に公開されている現象が日常化していてマヒしてきたのかもしれない。その上でリミッツは。

「そうだね……、桃花の場合は真実とか現実で観た目より〈元となったものを見つめ直す目〉の方が重要なんじゃないかな? つまり〈自分を見つめ直す目〉の方が必要かなと」


 リミッツが言いたいのは、他者により変換されて小説やら漫画やらテレビやら特撮やら国会になったものを〈目で見てしまう〉よりも。元ネタを見つめ直して自分の心を落ち着かせる、心を落とす作業が必要なんじゃ無いかと悟す。

 確かに変換された元ネタは実像があり、魅力的で、眩しくて、綺麗で、時には残酷な一面も存在する。


 〈目移り〉するのはしょうがないにしても、世界を照らす光は1つで、求めるものが目の前にあるとするならば。〈目移り〉した目を〈元の視線〉に戻す作業が必要になる。まあ要するに、テーブルの上に〈元ネタ〉を読みなおす癖を付ければ解決する話なのだが……。


 現状、一度作った元ネタはよほどのことが無い限り見直していない、つまり見つめ直していない。前へ前へ進む。それが帰って、変換された後ろを見る、または立ち止まっての思考へと進んで訳が解らず混乱してしまう。そんな所だろう。


「ふむ、……元に戻す目か……なるほど、やってみる」

 リミッツからのアドバイスを受けた桃花はGM姫と共に次のゲーム進行にこのネタを生かす方法を考え始めた。


「あ、危なくなったらすぐにドアの世界を展開するからね」

 リミッツは過保護だった。


 ◇


 13時00分、人間牧場、ボス戦開始。


《領域竜種子爵、ヤマタノオロチと戦闘を開始しました!》

《結証の駒を生成、消費しました、只今よりヤマタノオロチへダメージが通ります!》


《ヤマタノオロチが能力を発動、『視界変換』を行いました、自身の視界が自然動物、または日本政府の視界に変換されます、これは目を瞑っても発動し続けます》


 4人の視界が、大自然の鳥だったり、機械衛星の地図視点だったり、内閣総理大臣の視界にジャックされた。


 奪われたのは視界だけで、最初こそ大混乱した4人だったが声と耳は大丈夫だったので落ち着いて桃花が指示を発声で出す。

「落ち着いて、まず〈元の光の視点〉に戻す力をイメージして!」


 煙幕でも無ければ、視界が闇になるわけでもなく、別の視点に突然切り替わる。当然本体の自分の体は見えないし、視覚以外の5感と接合性が取れなくなり当然パニックになる。

 ほぼマインドコントロールに近い作用に感じるかもしれないが、観ている者が現実であるというのがこの現象の厄介なところである。政治エネルギーなんて事実と真実しか言わない。

 

 流石にマスターフォームⅡの状態の4人は、元の光を理解しているので。〈自分を見つめ直す目〉をイメージして元に戻す。


「ほほう、この領地に乗り込んでくるだけの事はあるな。並みの熟練者であっても今ので簡単に殺せるのにな……!」

 ヤマタノオロチの難易度が異常だが、立ち塞がるのなら叩き潰すしかない。


「和季!」

 桃花が和季に連携技を提案する。

「ほいよ! 多少の能力者じゃ俺には聞かねえぞ? 能力召喚! 『絶対法則の英雄(リアルヒーロー)』。自身の体に触れた能力を無力化し相手に勝てる可能性が出現する!」


 和季はまず、自身の顔に右手を当てて〈元に戻す〉、次いで他の3人も右手で触れて〈目を元に戻す〉、おまけに世界に愛される主人公補正付きのギフトまで届いた。


 人間の五感の情報量は、視覚約80%、聴覚約10%、嗅覚約3%、触覚約1%、味覚約1%である。

 その視覚80%が幻覚では無く〈別の現実・真実を視界に捕らえる〉という誤情報による混乱は凄まじいものが有る。


 だがこれは、ヤマタノオロチにとってはただの威嚇に過ぎない。

 このドラゴンは天候に擬態する、それはどういう意味か。国防の自衛隊なら生物なら倒せるが相手が自然現象の災害、例えば地震や台風では人の手で倒せないのだ。つまり人間では倒せない。


「体質が自然なら環境で攻撃が通るよ! 全員環境エネルギーで体を纏って!」

 咲が指示を出したところで、4人に環境型のオーラを噴出。


 すると、戦空がジャンプして飛ぶ。

「じゃいっただきまーす! ビックバンバースト!」


 轟音とともに炸裂する環境エネルギーが自然体質ドラゴン、ヤマタノオロチにクリーンヒットする!

「ぐわー! 痛え!? なんだコレ!? てめえ何しやがった!?」

 まさか大自然に擬態した領域竜種に攻撃が当たると思っていなかったのだろう、ヤマタノオロチは目の色を変える。


「まさか、タイプ相性の事を知らない……?」

「知らないなら好都合だ、知らぬまま死んでもらおう」

「相手も強いけど異文化交流様々ね! 戦空! そのまま畳み掛けろ!」


「おう! ビバビバビバビバ!」

 接近戦によるインファイトが環境のオーラにより効果抜群で効いている。


「こ、攻撃が痛え!? 何故痛い!? アイテ!? やめ!? 許して!?」

 大自然に攻撃が当たっていること事態が予想外ないのだろう、晴れだろうが曇りだろうが雨だろうが問答無用で環境のダメージが入る事に驚くヤマタノオロチ。


「最初の視界ジャックの方が厄介だったぜ! まずはワンダウンだ!」

 ドゴン! と轟く音と共にヤマタノオロチは地面に倒れ伏した。

 ヤマタノオロチはピクピクと、死にかけのゴキブリのように痙攣している。


「……案外楽勝?」

「最初の結証の駒が難解なだけだな」

「まあ所詮、領域竜種子爵でしょ? 最下位の爵位だし」

「あー、こいうマジでダメな存在ってどうやって倒せば良いか判らないからさ。オーバーリミッツ後片付け出来ない?」


 リミッツは「しょうがないなあ」という表情で〈断罪〉の浄化の炎を日本刀に宿す。

 ヤマタノオロチはその存在の炎に己の死を直感した。


「やめ!? 解った!この人間牧場から身を引く! 政治的進退た! 辞任だ辞任! 全責任を持って辞任する! これで俺は関係ないだろ?!」

 皆思った。


「良いわけ無いだろ! ――断罪――!」

 浄化の炎、聖なる炎で悪しき存在を灰も残さず、存在ごとこの竜は消えた。

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