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エレメンタルワールドⅡ  作者: ゆめみじ18
第1章「ニューフロンティア」今現在歴2029年11月1日〈木〉

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第10話「承・ドアの世界」

 西チーム、雨森に辿り着く。


 雨と霧と森林で視界は悪いがここに拠点を展開することにする、定期的に拠点を展開しないと迷子になる可能性がサバイバル大陸では多いからだ。

 

 咲と姫の愚痴大会は、話せば永遠と長くなるので「ある程度吐き出したら辞めといて」と不動武に釘を刺された。


 言わないのも良くないが、言い過ぎても毒である。貯め込むのはもっと猛毒だが。そこら辺で仕舞いにして本編に戻ってきて欲しい所である。

「そうだな、まず敵らしきものは居るか……?」

 真城和季が咲に確認する。


 咲が主観でもって視線を配ると。

「ん~居ないかな……静かな雨音だけですよ」

 あたりは静寂が出迎えてくれたようである。このあたりでは珍しい、中々のイージーモードである。

 が、ここから北と南はともかく、更に西へ進むとなると、引き続き未知の領域である。何がベースで、何があって、何が無いかもさっぱり解らない。


 まず、木々の間に。分裂したコンパクトサイズのドアの世界を展開し、そこを拠点とする。


 このコンパクトサイズのドアの世界は、元が無限の部屋を内包する空間を引きちぎって増やした、アメーバーみたいな形状をしている。

 ゆえに、無限の部屋を引きちぎったら、無限の部屋の空間がまた1つ増殖する。

 つまり元が∞部屋1だったら、コンパクトサイズのコレは∞部屋2だ。これは東チームも所持している。ちぎっては無限になり、またちぎっては無限の部屋に分裂する。


 拡大・縮小も思いのまま。大きな部屋もあるし小さな部屋もある。部屋の材質も木材から鋼まで様々で。簡単に言うとポケットディメンションを持ち運びしているようなものである。


 アメーバみたいな形状なので、もう一度くっ付けて空間を最初の状態に元に戻す事も可能。更に主観と客観による量子論も応用して言うので。物理的に硬いというよりは、特殊方面で滅茶苦茶硬い、という言い方になるだろう。


「結界の定義としてはどうなってるんだ? 結界にも様々な種類があるだろ」

 真城和季がGM姫にこのドアの定義を聞く。ドアの世界を外側から観た場合の定義が謎のままだったからである。


「幻想郷で徹底的に痛い目にあったので、今回は徹底的に視える化はしている。つまり敵にも味方にも目視で確認出来る」

 つまり常識と非常識の境界を逆転させるという発想ではないらしい。


「あと、因果孤立空間とも違う。あれは外部隠蔽工作に特化した構成じゃが……、何て言うかな。無限に色んな空間を増えたり減ったり出来る扉、みたいな印象?」


 咲が上手く言語化する。

「つまり、無限のドアと部屋が、無限の種類あって、無限の可能性がある。みたいな感じかな、更に無限の内側と外側があって、無限の主観者と観測者によって高いセキュリティーを維持している、そんな超特殊型の世界」


 和季がドアの世界の輪郭を感じる。

「ふむ、鉄壁と言うより、万能の部屋か……」


 武が注意深く、だけど無敵な建造物はこの世に無いはず、と質問する。

「弱点は無いのですが?」


 GM姫も弱点の無いゲームは作りたくないので、流石にそこはわきまえる。

「うーん、そうだな。部屋の空間がバカ広すぎるせいで、時間経過に対応出来ないところが欠点と言えば欠点かな? つまり部屋の中で時間経過はほぼしない。基本的に全部の物体の時間経過が停止する」


 武が単純明快にまとめる。

「つまり、ドアの世界にリンゴを保存したら腐らない?」


「うん、時間経過による変化を処理出来るほど情報処理ソースが無い。全部空間拡張に特化してるから時系列に対応出来ない。とかそんな感じ」

 GM姫はそのように答える。


 武が興味本意で聞く。

「その部屋に居たら不老長寿になるんですか?」

「うーん、なるな。だがその部屋の空間に属している間だけ体の経過時間が止まるのであって、決して本人が完全に不老不死になったわけじゃ無い。体内が不老長寿になった訳じゃ無く、体外が不老長寿に一時的になった。という言い方の方が正しいかもしれない」


 真城和季はセキュリティー面は聞いたが、本当に突破されないかを聞く。

「外側からの攻撃面ではどれくらい耐久力があるんだ?」


「よほどの事が無い限り突破は不可能だよ……ただまあ、〈確率操作〉だけはちょっと無理かもしれないな。逆に言えばそれくらいしか突破口は無いはずじゃ。普通のタイプ属性じゃビクともしない」

 つまり逆に言えば、そこを突かれたら終わりという意味でもある。


 真城和季は不動武に向かって言う。

「……そこは俺達最果ての軍勢でフォローするか。警備って名目で」

「そうですね、外側の世界は確率論に関する超能力者で補強して守りを固めましょう」

 そういう事で、一回、ドアの世界で休むことにした。


 確率を操る外敵となると、相当頭脳の良いモンスターじゃないと理解もされないはずなので、そこら辺に居る野生の雑魚モンスターでは歯が立たないと思って良いだろう。注意すべきなのは賢術タイプぐらいだ。つまりまともに計算されると隠れている部屋を特定される。


「もし、因果律や事象の発生確率を書き換えるタイプの敵により外部が突破された場合。内部での戦闘になったらお手上げですね、敵が内部に侵入したら不老不死になります、長期戦になればなるほど不利です、内部からの自滅も注意です」

 武は軍事的に最悪の状況を想定する。


「そうだな、突破されたら〈無限の持久戦〉になってしまう、短期決戦で侵入者を排除するしかない」

 和季もその意見に同意する。


 ◇


 咲はおもむろにステータス画面の掲示板を開いて東チームとの連絡を始めた。


 EWⅡ掲示板。


 1、放課後クラブ、天上院咲。

 〈咲です、東チームはどうなっていますか? こちらは雨森まで到着しました〉


 2、非理法権天、湘南桃花。

 〈桃花です、歩いて早々カプセルドアを設置されました。国境線の中あたりで止まってます、まだ人間に出会えていません。とうぶん出られそうにありません〉


 3、最果ての軍勢、不動武。

 〈何があったんだろう……?〉


 4、非理法権天、オーバーリミッツ。

 〈私が桃花の心神を案じて展開しました、少し遅れます〉


 5、最果ての軍勢、真城和季。

 〈そっか、じゃあこっちの方で調べ物は、ある程度終わらせておくよ〉


 6、非理法権天、湘南桃花。

 〈たすかる~〉


 お互い連絡出来るありがたみを感じながら、それぞれステータス画面の掲示板を閉じた。

 


 ◇◇◇


 名前◇カプセルドアの世界

 希少◇SR

 分類◇ドアの世界_小型化_持ち運び可能

 解説◇元となるドアの世界をちぎって増やした無限の空間。咲いわく、無限のドアと部屋が、無限の種類あって、無限の可能性がある。みたいな感じ。更に無限の内側と外側があって、無限の主観者と観測者によって高いセキュリティーを維持している、そんな超特殊型の世界。部屋番号を設定しておかないと室内でも迷う。弱点は確率操作。

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