16話 知識溢れる賢人島
旅行から帰ると、少しだけどみんなが勉強している姿を見るようになった。
「最近みんな勉強ブームらしい」
「そうなんだね」
旅行後からノービィンと二人っきりが落ち着かない。
「明日あの子にお菓子を送る」
「手作りお菓子でも喜ぶのかな?」
「甘いものは好きだから喜ぶと思う」
そう言われて、帰ってすぐにお菓子作りをした。ついでにみんなにもお菓子を贈ろうかな。
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お菓子を持ってマークルの昔の家に行く。初めての探索の家なんだけどやっぱりマークルの家だったんだって。
危険な場所は行かせられない。けど、探索したいという私の希望を叶えたい。考えた結果探索気分が味わえるという理由でここを選んだらしい。
「お菓子みんなにも作ってきたんだ」
「おお、アチェ手作りお菓子だ。ありがとう」
「お菓子は作れるんだ」
師匠とマークルには渡せたけど、ノービィンに渡すのだけ緊張する。
「ノービィンも受け取って」
「ありがとう」
渡せた。他二人に渡した時より嬉しい。
「アチェ、今日も勉強教える」
「うん」
「この前、旅行で知った事ノートにまとめられていたの綺麗だった」
褒められると嬉しい。その声でもっと褒めて欲しい。喜んで貰えると嬉しいけど、渡すのには緊張する。一緒にいたくても二人っきりだと落ち着かない。
これはなんなんだろう。今まで勉強してきた中にはこんなのなかった。
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勉強が終わると解散してマークルの家に向かった。私の家、この前大雨降って雨漏りからの崩壊。しばらくはマークルの家に泊まる事になったんだ。
「アチェちゃん、これアチェちゃんの本を見て自分なりに考えてみたんだけど見てくれるかい?」
「うん」
最近こういう事が増えてきた。
知識で溢れる賢人島。少しは戻ってきたのかな。
「アチェ、帰って早々だが話がある」
「うん」
「この姿は仮の姿。本来は別の姿クマ」
「クマ真面目に喋れ」
「……種族柄言い寄られる事が多くてこの姿にしていたけどクマじゃ何もできないから元の姿に戻る事にする」
イケメンらしいけど本当にそうなのか興味はある。占いを信じてないわけじゃないけど。
「心の準備はできているか?」
「ええ」
マークルが元の姿に戻った。
「えぇぇぇぇぇ‼︎」