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子々孫々語られてたって、すごいもんだ

 赤地に金色の刺繍でドラゴンと剣の紋章を掲げていたのは自分が知る限りは勇者の奴だ。

 確か、ドラゴンを従えた時に国から褒賞として貴族になったとか言ってたな。

 その時に、いいのが思いつかないからって聞かれたんだよな。 自分もその、安直にドラゴンと剣で良いんじゃないかと言ったらそれに決まっちゃったんだよな。

 デブの配下だった奴らも抵抗する事なく次々に武装解除を行っていく。

 そこそこに強い兵士が何人も。 起きてから久しぶりに魔素(マナ)も良い状態で身体に纏ってる者に出会えたな。 さすがに勇者と比べたら天と地の差だけれどね。

 みんな帯刀してるな。 筒状のモノは持っていないのか。

 おぉ、あのでかい甲冑も制圧しちゃうんだ。 魔素(マナ)でしっかり強化してるんだな。

 全部で、三十四人が整列すると船が着陸した。

 あれは、エルフの司祭かな? だいぶ魔素(マナ)を抑えているようにも見える。 本来の実力は隠してるタイプなんでしょうねぇ。

 年齢は、フラウス中尉よりも上だろうか。 おっと、年齢の事考えたからか悪寒が。 危ない危ない。

 女性に年齢を聞くのは失礼だもんね、変に動くと余計な事になるのもいやだから。

 様子を見ていると彼女と目が合った。 少女のようにあどけない表情で昂揚しているのか、頬を染めている。

 まるで、恋する相手に出会った時の様子だ。 恋なんてしたことないから、勇者から借りた漫画で見た表情だなぁ。

 おっ、宙兵隊(マリンコ)も整列した様だ。

 うんうん、自分を無事に連れてきたことを褒められてるみたいだ。 無事? 見渡す限り、ちょっとした運動しちゃったけれども。 

 身体を改めて見回しても、怪我なんてしてないしな。

 服が無いから、毛布を羽織って見えちゃいけないところを隠してるだけですがね。 まぁ、無事なのは間違いない。

 おっと、自分をチラッと見る中尉が、無事だった兵士を集めて気絶したり負傷している兵士を救助する様子だ。 離れていた部下も合流した様子である。

 さて、さっきから、ジーッと見てくる彼女だがどうしたものかなぁ。

 まるで壁ですよと言わんばかりで、背中を此方に見せて周囲をグルッと囲む彼女の部下もちょっと怖い。

 何も言わないし、こっちを見ようとしないんだもんな。

 意を決したのか、口を開くらしい。


 「お会いしたいと願っておりました、イナト様」


 ここは騒がしいですからと、自分の手を握ると彼女に引っ張られ船へと向かう。

 後続の部隊も到着し、駐屯地はしばらく騒がしいからだと言うがやりすぎたかな。

 このまま、船に乗った途端に「はい、封印です」なんて言われたら逃げれば良いか。

 船に乗ると、乗員が女性しか見当たらない。 案内されたのは、豪華な部屋だった。質の良い豪華なソファがあり、座るように促される。

 おぉ、柔らかい。 まぁ、柔らかすぎて逆に気になっちゃうけれど。

 彼女は正面へと座る。 護衛だろうか、扉の側に一人立っている。 さっき下には居なかったな。 かなりの手練れの佇まいをしている。

 改めてみると、まつ毛は長いし、翡翠色の瞳はキラキラと輝いていて美しい。

 髪の毛も、魔素(マナ)を豊富に含んでいてこれまた綺麗な翡翠色に輝いている様子だ。

 体型は、これからに期待だな。

 あどけない表情は、まだ子供っぽさもあるか。 あ、あれだ。 勇者がドラゴンの事語ったり、楽しそうにしている時の表情に似てるんだ。

 年齢の割に、ちょっと子供っぽさあったもんなぁ。

 うん、考えてみたら似てる気がする。


 「イナト様、改めまして自己紹介を。 私の名前は、イーリアスと申します」


 勇者教三十六代聖女。

 勇者教なんて、聞いたこともないぞ?

 自分が封印されてすぐ、貴族も国も当時の国教は腐敗し信仰を忘れていると勇者に告発され新たに生まれたのが勇者教らしい。

 魔王がいなくなった世界はすぐに平和になった訳ではないらしい。 それはそうだ。 そもそも、魔王なんて勝手に呼ばれていただけで、何かしようとしたわけじゃない。

 しばらくは治安の回復や、腐敗した貴族や教会を平定したりと大変だったとか。


 「しかし、勇者教はそもそもそれが目的ではございません」


 勇者の血筋の一つ、当時の聖女もまた勇者教へ改宗したらしく色々あったそうだが肝心の目的。 それは自分らしい。


 「いつか、勇者の施した封印が解けた後に魔王イナト……。 いいえ、イナト様のお力添えをする為の組織です」


 魔王イナトが封印されてから、基金が設立され教会が広がっていった。

 世界中の国家が魔王イナトに全ての憎悪を集めて、魔王のせいにした事で、魔王を討ち倒せという風潮になった。

 その責任を全て押し付けた個人が強すぎた。

 強力な力を恐れた人類は自分(イナト)を倒すべく別の世界から一人の男を召喚し勇者として魔王にぶつける。

 帰りたくてももう帰れない、自暴自棄に突っ込んできた勇者(アイツ)を思い出して笑ってしまった。

 何度も話して、仲良くなって。 それでも、時間はやってきて。 葛藤していた勇者(アイツ)に、やりたい事も無くなった自分一人で済むならと進んで封印してくれよと言ったんだよなぁ。

 殺す事が出来ないんならと言って。 ノンビリ寝るのも悪くないさなんてね。

 それでも、勇者は色々考えておくって言ってたな。

 いつか起きたら、お前がビックリするような事準備しておくって。

 あの、宙賊(パイレーツ)とかのせいで全部無くなったと思っていたけれど。 まさかねぇと、目の前の少女を見る。

 全てはいつか解けるイナト様を一人残す勇者様からの約束の一つだ。 それが直径の家族、血を分け与えた幾つもの家族だけに伝えられているらしい。

 今日、この場にいる勇者教団の騎士達もまた勇者の血を引く者たちだと。

 ほんと、ほんとあいつは。 ハーレムみんなに手を出してるんか! まぁ、よくよく思い出してみたら、あの当時に話を聞いていた感じだと女性陣の中でも協定?が結ばれていて誰がいつ、誰がどうするとか決まってたらしいもんなぁ。 一夫多妻、一妻多夫も出来る世の中じゃなかったら修羅場だったっけ。

 よく、うちに来る時間を作れたもんだ。

 おっと、思い出に浸ってたらつい聞き逃してしまったけれど。 それ以外では、勇者と魔王は御伽話の中で起きた出来事だと広まっているのだそうだ。


 「私たちは、イナト様がこれからやりたい事を支持し手伝う様にと」


 「この世界を滅ぼす、ですとか、そういった事のお手伝いは出来ませんが。 勇者様の願いに反してしまいます」

 「いやいや、いいよ。 だって、もう自由なんだよね?」


 魔王、なんて肩書きももういらないし勇者ももう居ない。

 宇宙、って言うんだっけか。 勇者の言葉で言えば。

 そんな想像していた世界に起きたんだ。 しばらくは自由に色々挑戦してみたいじゃないか。


 「もしよろしければ色々と入用でしょうし、せめて、今を不自由なく過ごせるようお手伝いをさせて頂きたいのです」

 「それは助かるよ」


 まずは、色々知らない事を教えてもらって。

 もし、出来るなら自分の船を持ってみたいよな。 何しようか。

 そうか、こんなワクワクするの。 久しぶりだなぁ。


 

 初めまして。

 色々挑戦したく投稿しました。

 続きが気になる方はぜひブックマークと評価、感想頂けましたら幸いです。

 よろしくお願いします。

 モチベーションの繋がります。

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