さぁて、準備運動だな〜
ひとつ、ふたつと、ほいほい、ほいっと。
さぁて、無色透明な魔素で球体を幾つか浮かせておこう。 今は触れても感知できない程度だけれど、見る人によっては、この周囲が陽炎の様に揺らいでるんじゃなかろうか。
このあたりの魔素は、普通にあるから助かるな。
実際、彼らの装備がどの程度のものか判らない現時点としては、しないでおこう。
とりあえず痛いのは嫌だし、とりあえずもう少しだけ強化しておこう。
「対等な条件で話せたらいいんだが」
「なんだその、反抗的な態度は! そこを動くんじゃないぞ、貴様を拘束する!」
おっと、無害ですよ〜。 話し合いがしたいと両手を上げただけなんだが。
そういえば、手錠外したっけ。 外してたな。だって壊れるんだもん。 気をつけたんだけれど、結局全部壊しちゃったなぁ。
あの将軍? まぁ、ここを仕切ってる誰か、デブは何してるんだ?? 横にいるポッドに細工してるのか?
宙賊と裏で実は繋がって私腹を肥やしていた典型的な小悪党なんじゃないか?
あの宙賊が沈む前に、どこかに急いで連絡していた様子だったんだよなぁ。
まさかの逆恨みだったら、笑っちゃうよ。
おぉ、重そうな鎧の割には動きが軽快だ。 オーガが鎧を着てるのかと思ったが、魔素の反応では普通のヒューマンだな? 魔素らしき反応が鎧からも感じたから勘違いだったな。 動かす動力になってるんだな。
へぇー、と感心しているうちに三人が周りを囲んで、一人が拘束しようとしているらしい。
ずいぶん手荒なんだな。 普通に鷲掴みされると思わなかった。
流石に手錠みたいに壊れる事は無いか。
うんうん、良い感じで魔素で強化出来ている様だ。
痛がるそぶりをしない自分を見て、変に思ったのか。
訝しんでいるようだな。 なんも抵抗してませんよ。 痛いのが嫌なだけ。
「あの、これって横暴じゃないんですか?」
「命令だからな、大人しくしろ」
ちょっと言い淀んでる。 悪い上司が居るだけで、命令に従ってるだけなんだな。
「自分としては、対等に話が出来ればそれでいいなと思うんだ。 これは、犯罪者とかそういう扱いに思えるんだよね」
手錠もされたし、と少しだけ怒っているアピールをすると何を感じ取ったのか展開していたあの機械が何かを飛ばしてきた。
電流とは違う、何か物理的な攻撃だったようだ。
強化した自分を傷付ける事は出来ていないらしい。
「だ、誰が撃った!!」
フラウス中尉が怒鳴っている。 そうそう、そこの奴だったよ。 もう、破壊したけれどね。 さぁて、どうやって壊したんでしょうね〜。 焦ってる焦ってる。
浮いてる魔素から、小石程度だけ分離して飛ばしたんだけれど、当てただけで壊れたよ。 貫通したよね。
まぁ、森ではやり過ぎたかと思ったけれど。 この程度でいいのか。
発砲許可はあのデブが出してるの聞こえたけれどね。
デブ、焦ってるな〜。 宙兵隊も、全員がどうするか判断が付いていないんだろう。 同じ味方なんだろうし。
「な、何をやった! 敵対行為を確認したぞ! 大尉、そいつを無力化しろ!!」
デブが怒鳴って、自分を掴む甲冑の腕に力が入った様だ。
んー、この程度なら痛くも無いな。 煙出てますよ、大丈夫ですか?
「無能?な上司を持つと苦労しますなぁ」
笑いながら締め付けられたままでも良いんだけれど、それはそれでなぁ。 よし、離してもらおうか。
甲冑の拘束を振り解くと、掴んでいた腕の部分が酷い音を立てて壊れた。 煙出てた時点で離すべきだったかもね。
自分は腕を広げただけですよ、貴方に対して攻撃したわけじゃ無いですからね〜。
周りを囲んでいた三体も手に持った筒を向けている。
イタタ、さっきより痛いって。 残念、やっぱり強化した身体にはダメージは通らない様です。
中のヒューマンには傷付けたく無いんだよ。 今、敵では無いんだから。
ひとつ、ふたつ、みっつっと。 どの程度の強度だろうか。 ポッドを貫通した勢いはダメだから、板みたいに広げてぶつける。 中のヒューマンは全員気絶してるな。
よしよしってイテテテテ!?
それ、みんな持ってるけれど武器なんだなやっぱり。
自分の後ろに宙兵隊、フラウス中尉達がいるの忘れてませんか?
あ、そこの大きい筒はちょっと危ないな。 悪いけれど、先に潰すね。
ヒューマン乗ってないもんね。
魔素を一つ丸々ぶつけると、引火したのか盛大に吹き飛んだ。
爆発に巻き込まれて怪我した? 死んでなければ、あとでなんとかするよ。
とりあえず、先に手を出したのはそっちですから。
正当防衛正当防衛……、そう言えば正当防衛のやり過ぎで魔王とか言われちゃったんだっけ?
足元に落ちた大小様々な豆みたいな物を拾う。 あの筒状の物で、これを飛ばしているわけか。
どの程度の威力なのか。 気にならない訳では無いが、やめておこう。
いつまでもやられっぱなしも煩わしいよね。
とりあえず、全員眠らせるか?
「即刻戦闘を停止せよ!!」
魔素レーダーで捉えていた新たな集団が到着した様だ。
降下艇と違う船が到着したらしい。
転移魔法の様に空中に現れた為、衝撃が凄まじい。
見覚えのある紋章を掲げた船を見上げる。 どうなっちゃうのかなぁ。 今度こそ、ちゃんと話せたら良いんだけれど。
お、なんか宙兵隊に似た様なヒューマンやあれ、ドワーフじゃないか? おぉー、デブ拘束してるな。
あの件、バレたんじゃないか? 自分にも筒抜けだったもんな〜。 バレるほど、焦ってたんだろうな。
側にあった、箱に座ってことの成り行きを見守るのだった。
初めまして。
色々挑戦したく投稿しました。
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