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さて、困ったなぁ

 一旦作業を中断していてたが、またここに戻って来るのも時間がかかってしまうかもしれない。

 思い立ったが吉日だろう。

 自分が生まれた故郷の近くにこんな不安定で物騒なモノがこのままあるのも気持ち悪い。

 実際に、被害も出てその後もこの宙域では良くない事も起きている。

 魔素(マナ)が、これ以上負のエネルギーを溜め込んでしまうとどんな事が起こるのか想像もしたくない。


 「とりあえず、犠牲者の遺体についてはもうここへ運んでいるから」


 そう言って、転移門(ゲート)がある場所を指差す。

 捻れて断たれた船が此方へと近付いていた。

 だいぶ此方側に近付いたからなのか、イーリアスとアサの二人にも船が見えているらしい。

 牽引は勇者教の船で牽引出来るので、なんとかなる。

 遺体はこのまま格納庫へと安置しておく事にした。

 魔素(マナ)の濃度が濃すぎて、最低限の装備でしか来ていない勇者教の人員ではすぐ対応出来ないと言う。

 魔素(マナ)を使って、この濃度が外へ漏れ出さないようにはしないといけないなと処理をしているとイーリアスが目を輝かせている。

 アサもソワソワしているが、やったことと言っても魔素(マナ)を集めて作った腕があって、それを操作して丁重に収容していったと説明する。

 それを聞いた二人はやっぱり!と興奮している様子だ。


 「まさか、不可視の腕(インビジブルアーム)ですか?」

 「ん? 不可視の腕(インビジブルアーム)?」


 どうも、自分の御伽話の中で見えない腕を操ると言った話があるらしい。

 自分で言った覚えは……、あるな。

 勇者(アイツ)と悪ふざけして幾つか試したものの中に、あった気がする。

 使い勝手が良すぎて、良く使用していたがその度に技名だとか言って叫んでたな。

 あの頃の自分を張り倒したい気恥ずかしさもあるが、間違いなくこれ以外にもある。

 ……思い出せないから、また後で間違いなく恥ずかしくなるやつだ。

 考えても仕方ない。


 「とにかく、このまま転移門(ゲート)をそのままにして置けないのは間違いないんだね?」

 「それはそうです。 照会しましたら確かに転移門(ゲート)の事故が起きた際に失われた船と一致したそうです」


 それはそうだ。 実際に引っ張ってきたのだから。

 転移門(ゲート)の制御をとりあえず戻さなきゃならない。

 イーリアスから、機密扱いである為すぐに情報へのアクセスが出来ない、時間がかかる事を説明されてしまう。

 魔素(マナ)の状況を見る限り、近いうちにさらに暴走して被害が広がる可能性があるんだよなぁ。

 それを説明しても、証明出来なければ承認が下りない可能性まであると言われてしまった。

 こう言うのがあるから、人の世は面倒臭い。


 「イーリアス、これから転移門(ゲート)の暴走を止める」

 「え?」

 「は?」

 「こういうしがらみとか、余計なもののせいで色々嫌な思いもしててな」


 要は、転移門(ゲート)魔素(マナ)が膨大になって出力が抑えられなくなっただけである。

 簡単に言ってしまえばだが。

 それを安定させれば良いわけだから、これだけ巨大な魔素(マナ)を制御した事も無いわけではない。

 やってしまおう。

 転移門(ゲート)と一緒だ。 さらにそれ以上の魔法陣を展開していく。

 魔素(マナ)が一気に膨れ上がる為、自分以外にいる人をしっかり保護するのを忘れない。

 威圧に近い力で押さえつけているから、気絶したり震えたりと見ている余裕が無くて申し訳ないな。

 まずは、転移門(ゲート)から溢れ出している魔素(マナ)が荒ぶっているから穏やかになるように緩やかに広げていく。

 いつまで経っても収まらない荒波のようなものだ。

 これを乱しているのが、転移門(ゲート)の制御なんだが、気付くべきでは無かったかもしれん。

 どう考えても、手が加えられている気がする。

 そこを修正してやれば、あら不思議。

 転移門(ゲート)へ供給される魔素(マナ)が安定していく。

 溢れ出して余剰になっていた魔素(マナ)は、もらっておこう。


 「はい、終わったよ」


 成り行きを見守っていた二人に声をかける。

 あまりの事に、呆然としていた様子だ。 しっかりと見届けたのかもしれない。


 「イナト様、あなたは一体??」


 イーリアスが汗を流しながら震える声で聞いてきた。

 自分が自分なんだけれどなぁ。 やることはやったし、帰ろうと声を掛ける。

 倒れた人も救助されて安心したからだと勘違いしているらしいので、謝ろうとしたが逆に感謝されてしまうので複雑である。

 ハクバには救助した人達をみんな乗せる事ができないからと勇者教の船へ乗船してもらう。

 帰りは勇者教の船団と一緒であれば、怖いもの無しだ。

 むしろ、自分が怖がられているのではと心配になるくらいである。

 宙賊(パイレーツ)に誘拐された被害者達はこの後はどうなるのだろうか。

 子供達も、きっと彼等知り合いと一緒にいる方がいいだろう。

 帰る場所がある、待っている家族がいるのなら自分の人生を歩んでいくなりしてほしかった。

 むしろ、子供達もそのまま一緒に着いていくとか保証人になるので引き取っていくとなってほしかったのだが……。


 「イーリアスさん? あの人達は一体?」

 「照会も済ませております」


 アレクセイへ帰って数日はハクバの整備もあり、時間に余裕が出来てしまった。

 自分でも何か出来るかと整備のスタッフを捕まえては色々と教えてもらっている間に世間では色々な事が起きていたらしい。

 勇者教の教会で行動していて、ハクバの整備が楽しすぎて外の世界の情報を見ていなかったのである。

 それが今こうして、困った事になってしまった。

 全員が、自分の保護下になってしまったのだ。

 

 初めまして。

 色々挑戦したく投稿しました。

 続きが気になる方はぜひブックマークと評価、感想頂けましたら幸いです。

 よろしくお願いします。

 モチベーションの繋がります。

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