トラブルに殴り込みに行く2
子供達六人には学習装置で勉強させている。その間に船は進む。
生存者がいれば救出したいんだが、ハクバだと宙賊のセンサー類に補足されてしまう気がするんだよなぁ。
ハクバと状況を想定し、ああでも無いこうでも無いとシミュレートしてみているのだが宙賊の動きによって色々変わっていきそうな気がする。
もし、集団が幾つかに別れて動いているならお互いに連絡されてしまう可能性もあるか、とか。
生存者を人質にしてくる可能性もあるのだ。
ハクバと言う大事な相棒をおざなりにしたい訳ではないのだが、仕方ない。
何より、ハクバが危険に晒されるとなったら子供達はどうなる?
理由はどうあれ、自分が保護したのだからこれ以上は危険な目に遭わせるわけにはいかない。 自分の目が届くうちはと考えてしまう。
「ハクバ、この船を上手く隠すことはできる?」
「どういった想定でしょうか?」
「可能であれば、センサー類も騙せるくらいが良いんだが」
「可能です」
「よし! それなら、さらに追加だ。 宙賊に発見されないのが第一条件。 万が一発見された場合、もしくはそれ以上どんな状況になってもこの船が無事にアレクセイのステーションに帰還する事。 子供たち六人も無事に怪我なく」
「船長の命令であれば確実にやり遂げます」
ハクバ、なんていい子なんでしょう。
「よし! 決まりだな、あの漂流物を回収してくれ」
「デブリをですか?」
船に取り付けられた補助腕で捕まえて引き寄せる。
その間に自分はさっさとスーツとヘルメットを着用し、船の外へ出た。
何をしているのかとハクバから通信が入るが、いいから目的地の方へ投げろと伝えるとハクバが文句を言ってくるのだが、黙らせた。
ちょうどこの付近なら、ハクバが身を隠せる漂流物も多いし、ここから向こうへ幾分にも流れてきたんだろうって見逃されるだろう。
一つだけではなく、あたかもぶつかり合って軌道が逸れた漂流物の一つとして行くわけだ。
「ハクバ、こちらから無線を送らない限りは一切の無線を禁止する。 それを拾われるかもしれないしからな」
「了解致しました。 では、これ以降無線封鎖します」
ゆっくりとした動作で補助腕が自分が捕まった漂流物を含めて幾つかを押し出す。
すると、崩壊した転移門の力場に捕まったのか徐々に加速して進んで行った。
振り返ると、周囲の漂流物を船体へと引き寄せて周りと同化していくハクバが見える。
それも、段々と小さくなっていき目に前には宙賊が潜む漂流物帯へと到着した。
魔素レーダーー!!
口には出さない、無詠唱ってやつだ。
前もやったら、今の機械類では検知出来てない様子だったからな。
巧妙に隠されてはいるが稼働している施設があるようだ。
宙賊の船も、あるな。
こんな大掛かりな物が良く今まで隠されていたものだ。
あー、アレクセイⅢの軍の上層部がどうとかニュース出てたな。
多分、そう言うことなのだろう。
勇者がやってたゲームって奴の中にある潜入ミッションだな。
魔素レーダーのお陰で、どういった存在が何処にいて何してるかまで見えるのはチートって奴だろうが、多勢に無勢。
さもありなん。
全然警戒もしていない宙賊の後ろに立つなんて造作もなくそのまま首をへし折る。
うーん、面倒臭いな。 触りたくもない。
スーツだけ着てきたから、武器も持ってないし音が出て警戒されるのもなぁ。
魔素の濃度を濃くしていく。
これで、宙賊も無線連絡が出来なくなっているはずだ。
調べても、転移門の影響で魔素が濃くなってるとか気にも留めないだろう。 そうであってほしい。
一人ずつ一人ずつ宙賊を仕留めていく。
魔素による針の様にした魔法で音も無くだ。
しかし、当時の魔法に詳しいものや一定の騎士団なんかには魔素による防御がすごくてこの程度の攻撃なら防がれていたんだが。
今の技術が進化して、魔素に関する技術なんて個人ではあまり使われてないんだろうなぁ。
あ、こっちに気付いたな。
宙賊が何か言う前に、魔素による攻撃で黙ることになった。
多分、誰だ?か、何処から入ってきたかだろう。
武器も持っているし、体力の落ちた一般人なんて気にしていないのか二十人程の宙賊は処理して外に放り出す。
ちょうど作業し続けていた生存者の一人に声をかける。
「どうも、イナトです。 えっと、誰か代表者いませんかね?」
「あ、あぁ。 俺だが、宙賊じゃ、無いのか?」
「えぇ、違いますね。 ちょうどこのエリアにはあなた達が集まって作業していたので楽でした。 あいつらが食べていた物にはなりますが、何か食べて下さい」
助かると思っていなかったと涙ぐむ者もいれば、もっと早く来てくれたらと行き場のない怒りを隠すものもいた。
子供達が危険を顧みずに、ここを教えてくれたから助けに来れた事を伝える。
ここに新しい危険は無い事を伝え、待機しておくように言う。
もう一箇所ある宙賊の作業場と施設を解放する必要がある為だと言うと逃げたいと申し出るものもいれば一緒に戦うと言う者もいた。
ここから動かない事が一番助かると宥める。
不安だろうが、仕方ない。 ポウカの母親はこの場にいないと言う事は向こうにいるのかもしれない。
見たと言う話も聞けた為、外に出ると漂流物を足掛かりにして進んで行く事にしよう。
初めまして。
色々挑戦したく投稿しました。
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