トラブルに殴り込みに行く
「船長、おはようございます」
ハクバに起こされ、目が覚める。
何年経ったなんて事もなく、2時間程度の睡眠だったようでまだ寝足りない気もするが、しゃんとしないと。
子供達の目が覚めたらしい。
シャワー中に買い物で取り寄せた服を着て今は部屋で待っているのだとか。 元々着ていた服は汚かったので処分した。うん、あんなの着てたら不衛生すぎる。
それじゃあ、会いにいきますか。
……。
部屋に入ると、六人が土下座していた。
土下座なんて、よく知ってるな? 誰から習ったんだよ。
ハクバへ確認するが、強要などしておらず子供達が勝手にした事だそうだ。
はぁ、とついたため息で此方を怒らせたかと思ったのかビクリと身体が動く六人。
いつまでもこの状態では話にならない。
ベッドや椅子に座る様に促すと初めは動かなかったが、恐る恐ると言った様子で各々が座る。
「よし! これで話が出来るな。 言葉は、通じているんだよな?」
「はい、ちゃんと分かります」
よし、一番上の子かな? 彼女を中心にして話を進められそうだ。
改めて自己紹介からだ。 自分は名前を名乗っていたが、改めて名乗る。
一人熱心に自分の事を見つめて来る子がいるが、何をそんなに熱心に見ているのだろう。
ハクバに自分の顔に何か付いているか確認するが、何も無いですよと言われた。
まぁ、いいか。
男子三人は、人間でリクロウ、カイト、コーク。
女子三人は、ドワーフのノラ、エルフのリィン、獣人狐氏族のポウカ。
みんなそれぞれ、血は繋がっておらずそれぞれ家族毎で宙賊に誘拐され、とある場所で家族とは別々に労働されていたのだそうだ。
彼等以外にも子供はいるが、栄養失調や過酷な環境で命を落としたり売られていったりしたそうである。
親を亡くした子も多いらしい。
そんな中で、漂流してくる船を解体する一方で運良く機能の一部が残っていた船をドワーフで手先が器用なノラがバレないように最低限の修理を行い、脱出する方向やタイミングは狐氏族のポウカが占い、精霊の導きを信じて航路を決めたリィンがいたお陰で、自分に出会えたと。
男三人は、力仕事をしたり宙賊の気を逸らしたりと荒事もしていたようだ。
自分達が死んだとしても、この計画を遂げようとした心意気は大したもんだ。
一歩間違えば、死んだかそのまままた転移門に引っ張られて元いた場所に戻っていた可能性もあれば、宙賊にもっと早くに発見されていた可能性もあっただろう。
やはり、話を聞く限りハクバが解析した転移門事故によって封鎖された開拓惑星付近だと確定した。
然るべきところへ、通報してもいいがどうしたものか。
勇者教の力を借りたいが、どうもアレクセイⅠの方で幻獣対策で出るとか最新のニュースで出ていたな。
こっちの巡視船は全滅だろうし。
どの程度の規模の宙賊だろうか。
「まだ、生きている家族はいるのか?」
「もしかすると、ウチの母様が生きているかもしれません」
獣人狐氏族のポウカが、オズオズと言った様子で手を挙げる。
それに釣られるようにして皆も口々に教えてくれた。
「私は、誰も」
「俺たちも、誘拐された時に親や大人は殺されちまった」
よし、宙賊は皆殺しで構わんだろう。
生存者がどうなっているか分からんが、時間的にまだ大丈夫だと思いたい。
こっちを見つけた宙賊は、誰一人生かしてはいない。
まだ、向こうにバレてないと考えて迅速に動かねば。
「ハクバ!」
「はい、船長」
「船は?」
「いつでも出れます」
トラブルは向こうからやってくるって言うなら、こっちから出向いてやろうじゃないか。
「君達六人には、学習装置で必要な勉強をしておいてもらいたい。 ハクバ頼む」
「分かりました、この部屋であれば全員に一気にさせることが出来ます」
「装置足りるか?」
「はい、六人の保護が決まった時点で必要になると思い、先ほど搬入が完了しています」
優秀過ぎるな、それならば全員にちゃんと勉強しておくように言うと艦橋へと向かう。
「管制室、ハクバ出るぞ」
「管制室より、ハクバへ。 出航申請が出てないが」
「今送った、確認してくれ」
「手続き受理した。 良い船旅を」
エンジンが始動し、船が動き出す。
さぁ、ちょっとやってみましょうか!!
初めまして。
色々挑戦したく投稿しました。
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