あれが、勇者の作り出した?
艦のDCから出ていたエラーは、ほんの数時間で解決した。
どうも、修復された事が理解出来ないAIの処理を一旦終了させて再起動し、船自体の問題は無いかと精査させたらしい。 こんなところで再起動なんてありなのか?
AIからの提案だったらしいし、やってみるもんなんだなぁ。
結果としては問題無し。 損傷を受けた記録が無いのだから問題なんて無い、いいね?
爆発するとか乗員の生命維持にも影響は無いとなった。
いよいよ、予定の航路に戻るらしい。
本来は、ステーションから見える転移門へと向かう予定があったらしい。 その航路をへと戻るのだそうだ。 転移門は、有人惑星及び開拓中惑星等を中心に長大な航路を一瞬で移動する優れものである。
巨大な魔法陣を幾層にも重ね合わせ、巨大な船が何隻も同時に各々への目的地へと向かうことが出来る技術。
それも、勇者の功績なのだとか。
そう言えば、あの頃も遠くにいる嫁に会いに行く為にひとっ飛びして行ければなぁとか笑って言ってたもんなぁ。
やっぱり、すげー奴だよ。 本当に、死んだのか?
ひょっこり現れても驚かんぞ。
しかし、宇宙ってのは広いねぇ。 そもそも、この星を飛び出てそこから同じ様な人類種を見つけて交流して、しっかり主権を取り今もなお惑星開拓まで進めていると。
勇者って凄いんだなぁ。
船の中だとみんながみんな功績を讃えていますなんて声掛けてくるものだからちょっと一人になりたくて外に出ているが、勇者も当時はこんな風に持て囃されていたんだろう。
それに慣れないのは、元々引きこもって好きな事だけしていたからだよな。 多分、きっとそう。
慣れてこれば、いつかは嫁の1人や2人は……。 想像出来ないな。 待てよ、自分の好みって、どうだったっけ?
うーん、まぁ、その辺は追々でいいか。うん。
勇者の事だから、封印処置終わった後にも増えてそうだな。 いい奴だったもんな。
今更だが、こうして一人で考え事する事が出来たのって今初めてじゃないか?
イーリアスとアサにはスーツの無線で何かあれば声掛けてくれとも言ってあるからもう暫くは一人の時間を過ごさせてもらおう。
しかし、幻獣ってなんなんだろうなぁ。
魔素を体内に保有しているのは間違い無い。
個々の意思みたいなものが感じられないんだよなぁ。
まるで、人類に対して「攻撃」もしくは、人類種の「根絶」を目的としている?
活動を継続困難にさせる損傷を与えると後も残さず消え去るのも意味が分からない。
まるで、作業をしているかの様な印象を受けた。
相手を見つけたから、攻撃する。 反撃を受けたから、対処すると言うような流れとでも言おうか。
お偉いさんや、頭脳明晰な学者さんにAIがその辺は考えているんだろう。
また、幻獣と遭遇する事があったら自分でも接触してみるのもありかもしれんなぁ。
「イナトさん、今宜しいでしょうか?」
考え事している時の悪い癖だ。 何度か呼ばれていた様で、気が付けばアサがそばへ来ていた。
「先程は、ありがとうございます。 イナト様、彼方をご覧下さい」
アサが指し示す方へと目を向ける。
デカい、圧倒的なデカさだった。 巨大な円形状の建造物が浮いている。 浮くと言う表現もどうかなと自分で思ってしまったが、そうとしか言えない。
「あれが、この星系唯一の転移門である【アレクセイゲート】です」
き、気になる。 あれだけ大きな魔法陣を組んでいると言うことはどれだけの層になっているんだろうか。
見ることは出来るのかな? まだ距離はあるらしいが、それでも大きい。
直径がどうだとかの問題じゃないんだ。
ワクワクするものがある。
「イナト様には、最初にお断りしておきましょう。 今現在の各転移門のコントロール及び機関部へは限られた者しか入れないのです」
勇者教の聖女でさえも同じ条件なのだとか。
残念、入れないなら外から見れば良いか。
もうすでにワクワクしている気持ちを抑えられないのだ。
初めまして。
色々挑戦したく投稿しました。
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