幻獣とは言っても、倒せるんでしょう? なら、なんとかなる
生体ミサイルなんていう小型の幻獣が幾つも飛来してくるが、それを片っ端から落としていく。
相手にぶつかると、自爆してダメージを与えてくるのだそうだ。 厄介な事この上ない。 まぁ、最小の魔素消費で当てれば勝手に爆発してくれるんだろうが。
巡洋艦【イーリアス】も負けじと撃ち返している様子である。
さて、ちょっと手が空いた今のうちに、生体ミサイルを飛ばしてくる厄介なのを片付けておくか。
宇宙に上がってすぐこんな戦闘に巻き込まれるなんて、厄介な事この上無いなぁ。
魔素レーダー! ……見つけた! 魚群の様に浮かぶ幻獣の群れの中腹辺りに、中型級に分類される個体が数体浮かんでいる。
クジラ、と呼ばれた海洋生物みたいな形に似ている。
腹部らしき辺りから生体ミサイルが吐き出されているのが確認出来る。
さっきのお返しとばかりに、魔素を鋭く尖らせる様にすると、一気に飛ばす。
ミサイルと呼ばれる武装を真似してみた。
「ちっ!!」
ある程度の知能はある分、庇うかの様にして別の幻獣が立ちはだかる。
どの程度でいけるかと思って、魔素の量は多めにしておいたおかげで、それぞれ生体ミサイルの母体になる幻獣ごと吹き飛ばしてやった。
本当に、活動不能に陥るか、主要器官あたりを損傷させる事が出来たら消えていくんだな。 これで撃退したという事らしいが。
あのさらにデカいのも、やっておきたいが。
なんだ? 幻獣の身体が蜃気楼みたいに揺らいで行く。
なるほどなるほど、これが奴らの撤退か。
うわー、確かに厄介だな。 全滅させられるのを避けているのか。 ある意味、知性体なのか?
自爆してくる生体ミサイルを見る限り、指揮系統がありそう。
ふむふむ、その辺も確信は無いが研究はされていると。
「アサさん! 怪我は無いかい?」
船内に戻れず、船の遮蔽物に身を隠すようにさせていたアサを呼ぶ。
チラリと視線を送ると、此方を唖然とした顔をして見ている彼女と目が合う。
いや、違うな? 恐怖というよりも顔が赤い。
羨望の眼差し?とでも言うのか。
よーし、おじさん? 頑張っちゃうぞー。
昔は魔王なんて勝手に呼ばれてましたが、それは勝手に呼ばれていただけですからね。
ただ、そう呼ばれた一端をお見せいたしましょう。
この群れを統率しているのは、間違いなくあの大型種だろう。
「アサさん、アレってまだ撃破した事がないクラスの幻獣ですよね?」
「そっ、そうです。 アレが出る時点で、私たち人類はアレ以外を如何に減らして撤退させるかどうかでした」
遠くに見える大型の幻獣を見るアサの目にも、怯えが浮かんでいる。
「ふむ、分かりました。 イーリアスさん、聞こえますか?」
「はい! 聞こえております。 イナト様のお陰で時間が稼げましたので、一度ステーション側へ後退します。 ステーションが持つ武装全てぶつけて撤退させようと思います。 ですが……」
ステーションは、先の宙賊との戦闘でかなりのダメージがあったらしい。
船と違って、動きに悪いステーションとぶつかれば被害が出てもなんとかなると踏んだらしい。
「あのデカいのを何とかすれば、いいんだろう?」
「巡洋艦の武装では、中型を仕留めるので精一杯です」
「まぁ、見ててよ。 伊達に魔王って呼ばれてないからさ」
どの程度まで魔素を集めればいいのかな。
とりあえず、この危機を脱しなければいけないからな。
幻獣が出現すると、一定の宙域が封鎖された様になるという話があるらしい。
逸れた攻撃が霧散する話があったらしいし、一度かなりの魔素当ててみるか。
巡洋艦から撃たれる主砲をイメージする。
より、圧縮して貫通力が出るようにして、と。
「イナト様? そちらにまだおられますか??」
「いるよー。 あ、もしかして見えにくい?」
「スーツの信号が捉えられなくなりました」
側に隠れているアサに手を振る。 問題無いことを伝えると、安堵したようだ。
射線上には、誰もいないな?
幻獣の方も何かを感じたのか、中型種が盾になるように動き出している。
おっ? 逃げようとしているな?
残念、遅すぎたな。
「発射!!」
巡洋艦の光学センサーを一瞬ダウンさせた膨大な魔素を含んだ光線が射線上にあった幻獣を全て飲み込んでいく。
大型種へ吸い込まれて、一瞬戦場が止まった。
ボコボコと沸騰する様に身体を泡立てて、今まで誰も倒す事の出来なかった大型種である幻獣が消滅するのだった。
「幻獣群、消滅しました。 被害、ありません」
おっ船のロックも解除されたようだ。 戻ろうか。
腰を抜かしたアサを抱き抱えると、開いたエアロックを通って船内に戻るのだった。
初めまして。
色々挑戦したく投稿しました。
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