目覚めたら、知らない空でした
地面に倒れたまま、空を見上げてため息が出る。
身体を起こすのも億劫である。
誰にも邪魔されずに気持ち良く寝ていたところを叩き起こされた気分だった。
胸に刺さっていた折れた剣を抜く。
懐かしい気配が刀身からするが、なんだか見ていると寂しい。
空間をちょっと開いてそこへ収納する。 色々便利だよね、これ。
見渡す限り、木々は吹き飛び薙ぎ倒されたようだ。
だいぶ遠く地平線の彼方にまた森が見える。
「あー、なるほど?? よいしょっと」
立ち上がって、身体を動かしてみる。
うん、寝過ぎて訛っているようだが支障は今の所無さそうだ。
さて、と空を見上げると頭上を流れていくのは、大小様々な炎の塊である。
あの中の一つが、運悪くここに落ちて吹き飛ばしたんだろうなぁ。
余暇を過ごしていたのに、とんだ邪魔が入ってしまった。
いつかは封印も解けると聞いていたし、それならと集めておいていた趣味のものも全部吹き飛んでるじゃないか。
大きな穴にした原因は、どいつだ?
「魔素レーダー!」
何も叫ぶ必要な無いのだが、周りに誰もおらず一人だ。
なんだか、無性に声を出したくなるのも仕方あるまい。
うんと空の上、ドラゴンよりも遥か高くにいる存在を感知する。
人類は、とうとう勇者が話していたあの空の向こう側へと飛び立ったんだなぁ。
いかんいかん、感傷的になってしまった。
空を流れる炎の塊は、途中で燃え尽きるのもあった。
その中には、全てでは無いが生命の輝きがあり一緒くたになって燃えて消えてしまう。
勇者が考え抜いた結果がこれかなぁ。
嘆いても仕方ない。
レーダーで確認出来る状況を見ると、やはりこの原因を作ったあの三隻の船が原因だな。
周囲を見渡し、散ってしまった魔素に干渉する。
久しぶりなので、使い方が雑なのは許してほしい。
何処か遠くで、アイツらが笑った気がした。
とりあえず、小さい方二つからだな。
どの程度の強度かはわからない。 魔素を使ったシールドで全体を覆っている様だし、折角やり返したのに通用しなかったら恥ずかしいわな。
練って練って、お願いする。 イメージは魔素の塊を船にぶつける。
シールドなんか関係無い。 勇者に教えてもらったあの方法だ。
確か、装甲を破壊して中にエネルギーを打ち込むだったかな?
二つの球体が左右に浮かび上がった。
側から見たら、遠くを見た時に見える蜃気楼みたいに揺らいでいるだろう。
かなり距離もあるから、遅いと避けられるか迎撃されるかもなぁ。
よし、かなり速くして当てよう。
「発射!!」
ちょっとカッコつけるのも忘れない。
いいじゃないか、だって誰も見ていないんだから。
ファイアと言っても、炎の魔法じゃない。
そんな属性なんて、自分は持ってないんでね。 ただ魔素を固めて打ち出しただけ。
色んな形にできて面白いんだよなぁ。
二つの魔素で出来た球体が飛んでいく。
おっ? 気付いたのか。 どうやって気付いたんだろう。
あの船自体に、そういう観測する機械でもあるんだろうな。
あの、一隻だけは残しておけば色々今を知れるしどうせ悪いやつらなんだろう?
さっき死んでいった奴らの意識を読み取ったら宙賊って言ってたもんな。
まぁ、何か理由があるのかもしれんが寝ていた自分の事を起こしたお前らが悪いんだわ。
この辺は、友人からの色々贈り物とか起きた時に寂しくないように準備してたんだよ。
ぜーんぶ無くなったんだから、やり返されても文句言えないよな。
「あっ」
魔素の球体は間違いなく直撃したらしい。
ただ、力を込めすぎた様だ。 慌てて回避したのか、二隻残った大型の船側へ舵を切ったらしくそれを追いかけた魔素の球体、めんどくさいな。
魔素ボールの爆発と船の爆発に巻き込まれて、膨大なエネルギーが落ち着いた後は何も残っていない様子だった。
「やっちまったなぁ。 まぁ、仕方無い。 どっか、近くに街でもあったかなぁ」
樹海の奥地に引き篭っていたし、難儀しそうだ。
頭の中にある地図を思い出しても、今は色々変わっているみたいだ。
のんびり、いくかぁ。
自分の体を見る。 とりあえず、何か隠すものがあれば良いんだけれどなぁ。
あぁ、お腹空いた。
初めまして。
色々挑戦したく投稿しました。
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