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再会

それから数日間は特に何事も無く過ぎていった。


1週間が過ぎたある日、いつも通り学校に行くと心なしかクラス中、特に男子達が騒がしいことに気づいた。


「聞いたか?隣のクラスの春宮さんが昨日から学校休んでるって。あのお方ずっと皆勤賞で微熱くらいだったら学校来たらしいのに。」


「事故にでも遭ってないといいけどな。春宮さんの姿見れないだけでこんなにも辛いのか…」


「あんたはストーカーか?春宮さんは学年中でかなり有名な美少女だから好きになるのも分かるけど。」


クラスメイトの話題は春宮さんのことで持ちきりだった。


春宮さん、春宮桜(はるみやさくら)はどちらかと言うと可愛い系で身長も女子の平均より少し小さいらしい。


僕は女子には全くと言っていいほど興味が無いので情報源は殆ど聞こえてきた話なのだが。

そういえばいつも成績が高くてずっと上位5番にいるってことだけは知っていました。


その日はこの話題で一日中盛り上がっていた。


放課後、僕は時間限定の特売品を買いに近くのスーパーに向かった。

「今日は、卵と豆腐、カレーのルーと牛肉が安いんだったな。」

優希は慣れた手つきで買い物を済ます。


もう一人暮らしを始めて1年は過ぎたのだから当たり前と言えば当たり前のことではあるのだが。


今にも雨が降りそうな雲の下優希はスーパーを出て帰路に着いた。


家の近くの公園を通り抜けようとした時に優希はベンチに座っているあの時の女の子を見つけた。


彼女は優希の方を見ると傘を持って走ってきて

「この前はありがとうございました。傘お返ししますね。」

と言って傘を返してきた。


「大丈夫ですよ。風邪引いてないようで良かったです。なんであの時外にいたのかは聞かないけど、身体には気をつけてね。」


流石になにか事情があるのは分かっていたが、部外者の自分がわざわざ立ち入るところでもなかったので聞くのはやめておいた。


彼女は礼をするとそのまま公園の出口の方向に向かったが足元にあった石に躓いて足を捻って転んでしまった。


「痛った、足捻っちゃたかな。」


「大丈夫ですか?ちょうど氷だったら今持っているんでこれ使ってください。」

マイバッグの中から氷の入った袋を取り出して渡した。


「ごめんなさい迷惑ばかりお掛けしてしまって。」

少女は気まずそうに謝っている。


「ううん、気にしないで。そうだ家に帰れば湿布とかその他諸々揃ってるから取ってくるね。家あのマンションだからすぐだし。」


「それなら私も一緒に行きます。私もあのマンションに住んでいるので。」


ということで優希は女の子に肩を貸しながら家に戻った。


「ちょっと悪いけど玄関で待っててもらっていい?部屋汚くて…空き部屋があるからそこに座れるように準備するから。」


とりあえず最低限部屋までの動線を確保して安全に通れるようにしておく。

「お待たせしてごめんね。メインの部屋は汚いけどこの部屋は使ってなくて綺麗だから安心して。」


女の子を椅子に座らせ足に湿布を貼り、軽めの処置もしておいた。

「これでしばらくしたら痛みは引くと思うよ。何日か用の湿布は渡しておくし、使ってね。」


「何から何まで本当にありがとうございます。ただ…メインの部屋汚くないですか?このままだと何かしらの病気になりますよ?」


「わかっているんだけど面倒くさくて…」


「だったら分かりました。とても助けてもらいましたし、今度の土日で綺麗にしましょう私も手伝うので。」


「もしも断ったら…?」


「拒否権は無いので強制的に掃除しますよ?流石にこの部屋の有様を見て放っておく訳には行かないので。」


「もう諦めて掃除するしかないのか…」

優希は仕方なく提案を受け入れた。


「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は高校2年の春宮桜です。あなたの制服を見るに同じ学校ですね。あなたは?」


「僕は夏目優希です。同じく高校2年生で…ってえ?春宮さん?」


「私のこと知ってるの?」


「知ってるも何も昨日今日学校休んだって学年中で大騒ぎでしたよ?…(見た目的にまさか同い年とは思えなかったけど)」


「そうなんですか、私は騒がれても困りますけど。でもとりあえず今日のこの出来事は内緒でお願いします。ばらしたらただではおきませんよ?」


身の毛がよだつとはこういうことなのかということを実際に体験するくらい彼女の言葉は怖かった。

「僕には話す相手なんてほぼ居ないんで大丈夫ですよ、そもそも。」


「それはお気の毒に。それは置いておいて今日は本当にありがとうございました。」

そう言うと桜は帰って行った。

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