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06.マウンテンホテルで……



緑の流星が落下したとされるタイン・マウンテンまでは、相当な距離がある。


それに、本格的に振り出した雪も一向に止む気配はなかった。


そこで、タイン・マウンテンに登るのは明日にして、途中でミーマの恋人であるトスティと合流した私たちは、タイン・マウンテンの麓にある「マウンテンホテル」で一泊することにした。



◆◇◆◇



夕食を食べながら、明日の山登りの打合せを簡単に行った後、私はレイトとホテルの一階にあるラウンジで座っていた。


少し離れた席では、ミーマとトスティがイチャイチャしている。


……ちょっと、うらやましいかも……


ラウンジから見える窓の外は、室内の明かりに反射して細かい雪が舞っていた。どうやら、これ以上は積もらないようだ。


「……ねえレイト、タイムマシンは今、持ってるの?」


私は大好きなココヒーを飲みながら尋ねた。


ココヒーとはコーヒーとココアを混ぜた飲み物である。ミーマも大好物だ。


「ああ、師匠が作ったこの装置や」


レイトは、腕時計を差し出した。


「これが、タイムマシン……!」


「はは、小さいやろ」


びっくりした私にレイトは、周囲についているボタンをいくつか触りながら、説明してくれた。


……うーん、見た目は時計そのものなんだけど……


「これで目標の時間を表示させ、あるエネルギーを与えると時間移動ができるんや。

ただし、移動できるのは一人だけやし、一回使うと、時空の歪みの関係で一ヶ月は使ったらあかん言うとったけどな」


「時間移動するためのエネルギーって特殊なエネルギー?」


私が聞くと、レイトは肩をすくめて答えてくれた。


「いいや、そんな珍しいものやあらへん。けど、手に入れるのは結構難しいけどな」


「それは秘密?」


「別に秘密じゃない。教えたってもいいけど、手に入れるのは一苦労やで――なんせ、これは太陽のコロナをエネルギーとして取りこむんやさかい」


「た、太陽?」


「そうや、ただし、普通のコロナはだめやで。大規模なコロナやないとあかん。

まあ、俺のいた未来では太陽自体が巨大化しとったから、ポコポコそれぐらいのエネルギーを持ったコロナは発生しとったけどな。

おそらく今の時代の太陽やと、それだけエネルギーを持ったコロナは、数年に一回ぐらいしか発生しないはずや」


「じゃあ、スター・リピートの秘密を手に入れたとして、元の時代に戻るときはどうするの?」


「それは、そうなったら考える。実際プランはあるけど、上手くいくかどうか分からへん部分はあるし、なによりまずスター・リピートの秘密を手に入れるのが先決やし……」


そう言うとレイトは、寂しそうに笑った。


「それにな、いざ戻ってみても、元の時間軸につながっているかどうかは分からへんしな。

もしスター・リピートが防げんかったら、同じ未来に行きつくんやろけど、上手く防げた場合は未来も変わってることになる。

そうすると、違う時間軸への移動が成功するのかどうか……こればっかりはやってみんとわからん。師匠もその点は心配しとった」


私は言葉を失ってしまった。そう言えば、さっき同じような話を聞いたのを思い出した。


「……じゃあ、スター・リピートを上手く防げたら戻れないし、戻れるときはスター・リピートが防げなかったときなの?それじゃあ……」


しかし、レイトは平然としていた。


「ああ、それは最初からわかっとるからええねん。それに、そう決まったわけやあらへんし、時間移動そのものが相当危険なことやったんやから、成功しただけ儲けもんかもしれん」


「時間移動って、そんなに危険なことなんだ」


「まあな。時間移動にはいくつか危険が伴うんやけど、最もリスクが高いのは移動したあとや。物理学の世界では、同じ空間に二つの物質が同時に存在することは、三次元では許されんとされとる。

ほやから、移動した先に、空気のような密度の薄い流動物はええねんけど、人や家など密度の高い物体があったら、あとから移動してきた方がはじかれてしまう」


「はじかれるとどうなるの?」


「違う時空間に跳ばされるらしい。らしいっていうのは、誰も経験者がおらんからな。ほやから、事実としてわかったわけやないが、理論上はそうなっとると師匠が言うっとった」


「ふうーん、レイト、変な言葉使いだけど、見た目以上に勇気あるんだね」


「変な言葉使いは余計やが……まあ、さっき話したとおり、どうしても守りたいものがあるしな」


「守りたいものって」


「…………」


レイトは、私の問いに答えなかった。


そして横を向き、黙って外を眺めていたレイトは、思い出したかのように話しかけてきた。


「そういえば、ミーマ、トスティに俺が未来から来たってこと、本当に内緒にしといてくれたかやろか……」


「ああ、それなら大丈夫だと思うよ」


私はあっさりと返事をした。


「あの子は約束は絶対守るから。少し天然入っているけどね。それに……」


「それに……?」


レイトが首を傾げる。


「トスティって、完全に天然だから。万一、ボロッと言っても大丈夫だよ、きっと。ああ未来からきて大変ですね、って言って終わり。彼の場合」


レイトが軽く笑った。



次話は、明日の夕方、投稿します。




「07.私に伝えるように言われたのは……」

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