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33.エピローグ



冬休みも残りわずかだ。


私たちは今、アース・シティからタイン・シティへ戻るエア・トレインの中にいる。


あの時、陽石と転移装置を使って生み出されたブラック・ホールは、『緑の杖』が持つ力を上回った。


たぶんだけど、ブラックホールは太陽から生み出される。


いわば太陽の進化系のようなものだ。


『緑の杖』は時空を操れたのかもしれないが、ブラック・ホールは、ゴーリーが言っていたように私たちに認識できない高次元の力を操つり、それが『緑の杖』を倒してくれたのではないだろうか?


本当のことは三次元でしか生きれない私たちには永遠に分からないかもしれない。


ただ一つ確かなのは、スターリピートが防げたということ、そして歴史が変えられた、ということである。


『緑の杖』が消えた後には、ミーマとナックが倒れた姿があった。


無事に二人は戻ってきた。


そう言えば、トスティのことは残念だった。


ミーマも相当落ち込んでいるだろうが、きっとナックがいれば大丈夫だろう。


そしてレイトだが……未来への帰還は何も口にせず、微笑んで「スター・リピートの一つは確かに防げたけど、これで終わりと決まったわけやない。それに……まだ、お前を守らなあかんしな」と言ってくれた。


その微笑には哀しみの影は見えなかった……



「ねえ、レイト、一つだけ聞いていい?」


「なんや?」


明日からは学校がはじまる。


長かったようで、短かった冒険の旅も、ようやく終わりだ。


エア・トレインの中で、ナックとミーマが食事で席を外したときに、私は前からずーっと聞きたかったことをレイトに尋ねることにした。


「ゴーリーって、レイトの師匠だったんでしょ?」


「ああ」


「なんの師匠だったの?」


そう、ゴーリー、つまり私は何をレイトに教えていたのだろうか。


技術か(勉強は得意じゃないけど……)、予知能力か(本当にあるのか疑問だけど……)、格闘術か(スポーツは好きだしパルス・ガンは得意だけど……)、何だったのか?


「あれ、言っとらんかったっけ?」


不思議そうな顔で、私を見ているレイト。


「うん、前から気になってたんだけど……」


「ああ、ゴーリーは、古典芸能マンザイの師匠やったんや」



…………


…………


……な、なにぃ??



思わず、ずっこける私。


……そ、それは想像してなかった……


「お!そのリアクション上手やな。ラン、きっと素質あるからマンザイ教えたろか」


「い、いらないよ!」

「遠慮せんかて、ええんやで。これからは俺が師匠や。ええか、マンザイとはな――」


いきなり、講義をはじめるレイト。


「ちょ、ちょっと待って……」


あせる私を、優しい微笑のレイトが、そっと包んでくれていた。



読んでいただいた方、ありがとうございました。


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