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30.メビウスの輪



このままでは、スター・リピートが発動してしまう!


では、何もしないでいたらどうなのか?『緑の杖』がこのまま消え去るとはとても思えない。


その力を考えても違う何かが始まるだけだろう。それにミーマとナックを救うには『緑の杖』を倒すしかないのだ。



同時に、あることが閃いて殴られたようなショックを受けた。



もしかすると、この日輪で攻撃することが私に与えられた役目だったのではないだろうか?


『緑の杖』も言っていたではないか。


『時の牢獄につながれし少女よ。全てを始めるのが汝の役目だ』と。


この日輪は小型の太陽にも見える。クラーケンや妖虫を倒した円盤状のパルスは空間を歪ませていた。それよりも強力なこの日輪のパルスは、空間だけではなく時間へも影響を与えるのではないだろうか?


この時空への影響が、本当のスター・リピートの始まりなのではないだろうか?



なぜ、私が選ばれたのか?


そして、なぜ三匹の怪獣たちを、私たちが倒す必要があったのか?



私が偶然、選ばれたわけではない。


最初から、いや繰り返される時の中では、永遠に私の役割なのだろう。


三匹の怪獣たちをどうしても倒す必要があったのでもない。


私とレイトの絆を深め、この場に私がレイトといるために、三匹の妖獣が存在したのではないだろうか?



全ては必然だったのだ。



メビウスの輪の捻れを作るために私がいたのだ。


星の回帰を始めるきっかけのために……


このまま、スター・リピートを発動させてしまうということは……レイトを……



……いやだ!


……レイトを死なせたくない!


……でも、どうすれば……



そして私はあることに気がついた。



そう、歴史は繰り返す。



私は『緑の杖』と戦い、敗れ、スター・リピートにより生じたエネルギーを受けて、未来へと旅立っていったのだ。


そしてその歴史が繰り返されているのだ。



では、私が未来への旅立ちを拒否すればどうなるのか?



今までと違った歴史が発生する。つまりは繰り返されるはずの「時」が、その形を変えざるを得なくなるだろう。


では、どうやって未来への旅立ちを拒否すれば良いのか……?



心は決まった。



私は、レイトを見つめた。


そして、そっと肩に置かれたレイトの手を外す。


「タイン・マウンテンで最初の『緑の杖』に会ったとき、思い出せない大切な何かを見た、って言ったことあるよね。覚えてる?」


不思議そうな表情のレイト。


「ああ。それが……」


「今、何を見たのかようやく思い出せた。私、未来を見たんだ」


不思議と心は穏やかだった。


「その未来でも、私はこの日輪のパルスを作った。でもね、この日輪のパルスじゃダメ……『緑の杖』は倒せない」


「何を言ってるんや、ラン?」


「……私はスター・リピートを防げなかった」


私は、じっとレイトを見つめる。


「きっと、私の存在がスター・リピートを呼んでるんだと思う。だからね、私が歴史を変える……!」


「ラン??」


私は、レイトから一歩、二歩離れた。


「ありがと。そして……さよなら」


「あかん、ラン!!」


おそらく感のいいレイトのことだ。私の行動を察したのだろう。


とっさに私に手を伸ばそうとする。



しかし、それより早く……



私は、右手に生じている日輪を、左手で握りしめた――




次話は、明日の投稿予定です。



白い日輪を握りしめたランの中で、ゴーリーが目覚める。

ゴーリーの最後のことを胸に、ランはレイトと共に最後の戦いへと向かうーー


次回 「31.ゴーリー」 です。

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