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26.緑のフラッシュ




羊牧状の同じ形をした『杖』。


鮮やかな緑色が炎に映えている。


何度見ても、その姿は無機質で非人間的で、禍禍しさを纏っていた。



やがて、三本の『杖』は融合をし始めた。



鮮やかな緑色が漆黒を交わらせる。


そして……私たちの前には、一本の巨大な『杖』へと変貌を遂げた『緑の杖』がいた。


ふと気がつくと、周囲の炎は消えていた。


束の間の静寂が訪れ、夜の闇が重いベールを垂らしたかのように辺りを包む。


空を飛び交っていたエア・カーも、今は見当たらない。


私たちは、『緑の杖』と対峙を続ける。


汗が頬を伝う。


『緑の杖』が放つ瘴気に精神が蝕まれていくように感じる。


その瘴気にこらえきれなくなったのか、ナックが「ウォオオーッ」と叫びながらエア・ガンを撃った。


ミーマもつられたかのように引き金を絞る。


『緑の杖』が嘲笑を放った。


エア・ガンの圧縮された空気の弾は、『緑の杖』に吸収されるように消え去った。


さらに、わずかに『緑の杖』が身動きをしたと思った瞬間、ミーマとナックの姿が消えうせた。



……!!??



何の予兆もなく、また何かの攻撃を受けたとも思えない。


「ミーマ、ナック!」


私は絶叫を上げた。



『選ばれし民でない者は必要ない』


淡々と告げる『緑の杖』。


「二人をどうしたんや!」


レイトの声も震えている。


『選ばれし民でなき者たちは時の狭間に落ちた』


「二人を返して!」


目が潤んでくる。


『我を倒せば、狭間から解放されるであろう』


「ラン、やるで!」


「うん」


すばやくイオン・チェリーの発射準備に入ったレイトの声を聞くと、私は涙を拭って、パルス・ガンを弾いた。


『緑の杖』は、ただ私たちを見つめている。


レイトの左拳を縦の光が貫き「今や!」という叫びで、私はパルス・ガンを発射した。


同時にレイトもイオンの矢を撃つ。イオンとパルスが合体して生まれたスピアが突き進む。


だが光のスピアは『緑の杖』の身じろぎと共に、音も立てずにかき消えてしまった。


絶句する私とレイト。


『そのような力では我を封じることはできぬ』


無機質な声は、明らかな嘲笑を含んでいた。


『緑の杖』が呪を紡ぐ。


『星の回帰を今こそ始めん』


そして……大気が緑色にフラッシュをし始めた。



……これは……


……そう、思い出した!あの時、夢で見たのと同じフラッシュ!



さらに大地が小刻みに震え始めた。



……ま、まさか……もしかして……


「レイト!スター・リピートが始まる予兆かも!」


「なんだって!」


驚いたレイトは、『緑の杖』に向かって叫んだ。


「お前いったい何なんや?スター・リピートとは?!」


その問いに『杖』が答える。


『我は緑の杖。スター・リピートとは、星を回帰させる呪なり』


そうか、スター・リピートは、こいつが唱える呪文みたいなものなんだ……


「星の回帰とはなんや」


『星は消滅と誕生を繰り返す』


「消滅と誕生?」


『時は繰り返す。星も繰り返す。有は無に向かい、無は有に向かう』


そして、いきなり大きな波動が押し寄せてきた。



次の瞬間、私とレイトは、壮大な宇宙のパノラマの中に浮いていた。




次話は、明日の投稿予定です。



『緑の杖』が見せたスター・リピートの映像が、ランに星の回帰の意味を悟らせる。

そして、大いなる波動に包まれたランが見たのは、宇宙船の中の光景だった。

そこに現われたシルエットは――


次回 「27.シルエット」 です。

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