表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/34

14.笑う『緑の杖』



「何?」


「わらかん!油断するな!」


私の問いに、周囲に警戒の目を向けながらレイトが鋭く叫ぶ。


警報音は止まらない。


「まさか――『緑の杖』?」


「少なくとも何か近くにいるで!」


私たちは背中合わせになって四方を見渡した。


隣にいるミーマの肩が震えているのが分かる。


だが、視界には木々が時折揺れるだけで、何も入ってこない。



次の瞬間、突然、警報音が鳴り止んだ。


いきなりの静寂が訪れる。だが、先ほどのまでの警報音が耳に余韻を残している。


「今のは何だったの?」


ミーマの震える声に、誰も答えられない。


やがて、皆の緊張感が、解けるのを感じたとき――それを待っていたかのように、再び警報音がけたたましく鳴り出した。


緩みかけた心が、ドキッと跳ね上がる。


そして、頭上から瘴気が降ってきた!


「上や!」


レイトが叫び、私は頭上を見た。


……こ、これは……『緑の杖』!!



そう、まさしくそれは『杖』だった。




先端が軽く円を描いたような牧羊で使う杖の形。


長さは1メートルぐらいか。


どこにでもありそうな『杖』。しかし、それは禍々しさと乾いた恐怖を纏っていた。


頭が痺れ、身体が動かない。それが放つ恐怖から目を逸らしたいのに逸らせない。


目もなく口もないのに、『杖』が明らかに私たちを――いや、私だけを見ているのが理解できた。



そして『杖』が笑った!



その笑いに私は絶叫する。


大気が揺れ、世界が動転し、私の意識は闇の中に吸い込まれていった……




◆◇◆◇




正面には、『巨大な緑』の杖が浮かんでいた。


私は、右手をまっすぐに上げ、ゆっくりと何度も弾いて十重のパルスを作る。


パープルのパルスが巨大な円盤を指の間に形どった。


それを確認した私は、左手を右手の下に添える。


すると、パルスは装置の影響を受け、収縮し、次の瞬間はじけた。


そして、私の指の間には、白く小さなコロナを巻き上げる日輪が現れた。


それは、まさしく小さな太陽だった!


『緑の杖』の足元を暗黒が蝕みつつある。


「ラン!」


レイトの、私の肩を握る力が強くなった。


『緑の杖』が持つ無機質な雰囲気が、よりその密度を濃くする。


思わず、その雰囲気がパルスを弾こうとしていた私の手を一瞬、止める。


しかし、意を決した私は次の瞬間、パルスを弾いていた。


日輪は球状に形を変え、まさしく太陽となって『緑の杖』に向かった。


『緑の杖』は、暗黒の穴に今まさに落ちようとしていた。その姿を、日輪が包み込み――


『緑の杖』は日輪を纏ったまま暗黒の穴にその姿を没していった。


「やったか!」


レイトが叫ぶ!


息が止まる一瞬……大気中に煌く緑のフラッシュがひときわ大きく輝き、暗黒の穴から虹色の光が拡散する。


無機質な声が頭の中に響いた。



『スター・リピート』



次の瞬間、無音のまま足元の大地が裂けた。


「!!」


悲鳴すら上げられない。


そして……地球はまばゆい光の中で四散した。


私は、時流の狭間に落ちて行くのを自覚した。


「レイト!!」


しかし、すでに周りは光しかない……


もう一度私は叫んだ。


「レイト!!」


激しく渦巻く時流の中で意識が暗転した……



次話は、明日投稿予定です。



ランが気が付いたとき、緑の杖は姿を消していた。

そしてトスティも――


次回 「15.気が付くと……」 です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ