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13.警報



休憩を終え、再び歩き出した私たちは、約一時間程で、樹海に入ることができた。まだ太陽は中空まで来ていない。


上から見たときは濃い常緑樹に遮られて見えなかったが、樹海の森には、獣道と思われる細い道がいくつも通っていた。


ただ、陽光が十分に届かないため、森の中は薄暗い。


樹海に入るとすぐに、レイトが磁場探索装置を取り出し、道の分岐に来るたびに方向を確認しながら、「こっちや」と皆を案内してくれた。


磁場探索装置のことは、ミーマとトスティに説明していないのだが、二人は何の疑問も抱いていないように見える。


さっき、龍に襲われたことも、もう気にしていないようだ。


それどころか、仲良く話をしながら楽しそうについてきている。もしかすると、「ちょっと危険なピクニック」とでも考えているのかもしれない。


まあ、それが二人の良いところでもあるのだが……天然カップル恐るべし!


森の中は、時折、鳥の声が聞こえてくるくらいで、怪しい気配は今のところなかったが、さっきの龍のこともあり、私は、いつでもパルス・ガンが撃てるように心づもりしていた。




それから、どれくらい歩いただろうか。途中で簡単な昼食を取っただけで、私たちは歩き続けた。


それほど広くはない樹海のはずなのに、一向に道は突き当たらない。


レイトが装置を見ながら、少しでも反応が強くなるところを目指して、分岐を曲がり続けた。


しかし、反応が強くなったと思うとすぐに弱まったりで、「なんでやろ?」とレイトも首を傾げ、私たちは目的地を探しあぐねていた。


救いは、道がさほど荒れてはおらず歩きやすかったことだろうか。



◆◇◆◇



休憩を挟んで数時間歩き続けた私たちは、かなりくたびれていた。


それでも弱音を吐かずについて来てくれているミーマとトスティには、感謝しなければならないだろう。


万一、樹海の中で迷うことがあっても、救難発信装置を持ってきており、いざとなればシティ・ポリスが助けには来てくれるので、さほど心配はしていなかったが、日が暮れるまでの時間もあるため、多少の焦りがあった。


「それにしても暑いわね」


ミーマが呟くのが聞こえた。


そう。樹海に入ると、気温が明らかに上昇していた。


今は、全員が上着を脱いで、軽装になっている。


……もちろんトスティは最初から軽装だけど


「ああ、たぶん『緑の杖』のせいやろ」


先頭を歩いていたレイトが、振り返らずにあっさりと答えた。


「み、『緑の杖』のせい?」


私はビックリして思わず立ち止まってしまった。ミーマも驚いたのだろう、後ろからエッ?という声。


「ああ。さっき、『緑の杖』がスター・リピートで生じる磁場に近い、という話はしたやろ」


レイトも足を止めて振り返る。


「うん」私は頷く。


ミーマとトスティはその話を聞いていなかったが、二人とも天然パワーで理解してくれるに違いない。


「実はな、このスター・リピートの磁場に近いものは、もう一つあるんや」


「それって……?」


「太陽のコロナや」


「た、太陽?」


後ろで聞いていたミーマと私の声がはもる。


「太陽のエネルギーは、連続した核融合によるものや。『杖』と太陽の核融合、そしてスター・リピートによる生じる磁場のベクトルが似てるんや。

それと『杖』が現れた場所は何故か気温が上がることもわかってる」


だから暑くなっているんだ、と思ったとき、突然トスティが口を挟んできた。


「じゃあ、『緑の杖』って太陽から生まれたのか?」


私とミーマは硬直してしまった。


「と、トスティ、どうしたの?」


「熱ない?大丈夫?」


私とミーマの驚きに心外そうな表情をするトスティ。


でも、気の向くまま行動している天然夏男トスティが、何か考えていたなんて……



その時――



ピピピピピピピ!



突然、甲高い警報音が鳴り響く。


警報音の元に視線を向けると、それは赤いランプが激しく明滅している磁場探索装置だった!




次話は、明日投稿予定です。



突如、出現した『緑の杖』が笑う時、ランは絶叫した。

そして、ランが、そこで見たものは――


次回 「14.笑う『緑の杖』」 です。

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