11.龍の襲撃
「キャーーーッ!」
ミーマの悲鳴を打ち消すかのように「ドカーーーーン!!」という爆発音が耳を痺れさせる。
倒れた私の上に、細かい石がいくつか当たる。
……痛ッ!
突然の衝撃にすぐには立ちあがれず、倒れながら目を開けると、先ほどまで私とレイトがいた地面が深く抉れ、細かい砂塵が舞っていた。
何とか体を起こすと、すぐ側にレイトが立って、拳を握ったまま両腕を広げていた。
……何??
だが、逡巡している暇はない。私は立ち膝のまま、右手のパルス・ガンを起動させた。
今回は、念のため、自分で作った中で最も強力な電磁紐を右手に巻いていた。
水星にいるママから、太陽のコロナが偶然に冷えて固まった隕石を貰ったので、それを砕いて作った電磁紐だ。
私が持っている電磁紐の中では、桁が三つぐらい違う威力を持っていた。
一応、念のため左手には、いつもの電磁紐も巻いているが……
今回使うのは、もちろん強力な方だ。
通常のパルス・ガンなら白色に発光するパルスが発生するが、この特別製のパルス・ガンは、パープル色に発光するパルスが発生する。
しかも弾く回数を重ねていくと、普通なら線状の形を取るはずのパルスが円盤状へと変貌する。
もちろん、こんな強力なパルス・ガンを競技会で使うわけにはいかない。
下手をすれば会場そのものを吹っ飛ばしかねないからだ。だから今まで使ったことは無い。
フィールドで使用するのは、今回が始めての経験だ。祈るしかない。(お願い……)
電磁紐と雷石の間に、幾重ものパルスの紐がパープル色に絡み合いながら出現する。
龍は今、ミーマたちの方を向いている。
ちらりと横を見ると、ミーマとトスティが抱き合いながらへたり込んでいた。
……まずい!
慌ててパルス・ガンを龍に向け、発射させる。
だが、三半規管がまだ回復しきっていないのか、体がぐらつき、パルスの矢は、龍を逸れて虚空へと吸い込まれていった。
……平衡感覚が戻っていない!
龍が開けた口に、再び光芒が生まれる。
「ミーマ!逃げて!」
叫びながら冷やりとした感覚が背筋を襲ったとき、レイトが叫んだ。
「任せろ!」
隣にいるレイトを見上げると、広げた両手の間に光りが生まれていた。
突き出した左手を縦に走る光と、引いた右手との間に生まれている光りの矢。
それは、光りで出来たアーチェリーのような形状だった。
右手の握りを解き放つと、空気を切り裂く音と共に、光りの矢が飛んだ。
まさに今、光芒を放とうとしていた龍の首の辺りに矢が突き刺さり、同時に龍を吹き飛ばす。
ギギギャヤヤヤーーーーッ!
光りの矢に首を串刺しにされた龍は苦しげな声を上げると、生み出した光芒を頭上に放ち、空中でのたうち回る。
「もう一発や!」
少しの間のあと、再度、レイトが光りの矢を放った。
狙いはたがわず、龍の体の中央付近を串刺しにした。
ギギャヤヤーーーッ!
龍は、光りの矢が刺さった首と胴体から、何やら気味悪い緑の液体を撒き散らしながら、数度身もだえし、空中で一瞬、静止したあとに霧の海へと沈んでいった。
グォオオオーーーーッ
断末魔とも聞こえる咆哮が、少しずつ小さくなる。
私は茫然とそれを見ていた……
次話は、明日の投稿予定です。
しばしの休憩のとき。
杖がもたらした、星々への破壊の話をレイトから聞いたラン。
寂しげなレイトの表情に、胸がざわつく――
次回 「12.崖の道の途中で」 です。




