【全知】の【スキル】3
転生者の末裔に召喚されたクラスメイトが世界を破滅させるので暗殺します 作者:高山京一
(*^-^*)『ベッド』と『ふとん』どっちが好き?
【全知】の【スキル】3
殺してやる…この国は、魔王軍に滅ぼされるかゼウスに滅ぼされるかだ。
例えば今、この屋敷で殺した場合。
行方不明扱いになるだろうが、行方をくらませる理由がない。
俺とフローラが原因だと思われる可能性がある。
あのクズ野郎に『国防』という大義名分とこの優遇された環境がある以上、なにか説得力のある理由を新たに作らなければ…
死体がその場に残るなら、ギルドの受付嬢たちに両側から胸で顔を挟ませて、窒息死したことにする計画もよかったんだけどな…
「うらやましいぜ、この~!」
とか言ってシバけば、相手は即死だ。
もう一人のほうは、ハンタースクールとか言ってたな。
「なあ、フローラ」
「なんですか?」
二人とも眠れる雰囲気ではなく、並んでベッドに座っている。
「冒険者ギルドとハンタースクールって、どんなところなんだ?」
「冒険者ギルドは、魔法使いや剣士などに仕事を紹介する場所です。魔物によっては、国から勲章や賞金が出るので、名誉が欲しい貴族から、お金が欲しい荒くれ者までいろいろな人が登録しています。」
「誰でも冒険者になれるものなのか?」
「はい、その代わり自己責任で命の保証はありません。それに国軍と違って、死亡しても遺族にお金が支払われることもないのです。」
「厳しい世界なんだな。」
「ハンタースクールは、そんな冒険者が少しでも多く生き残るために作られた学校です。国軍より厳しくなく、授業料は卒業してからゆっくり返すことができます。」
「冒険者が死んだら、授業料を回収できないんじゃないか?」
「そうならないために、先生たちも本物の魔物を使って必死に教えるんですよ。」
「本物の魔物を使う?」
「ええ、定期的に魔物を捕獲して生徒に倒し方を教えるんです。」
「つまりハンタースクールには魔物がいるということだな?」
「はい…」
ニヤニヤ笑う俺は、完全に不審者だった。
チュンチュン…
窓の外から鳥の鳴き声がする。
俺はフローラの厚意に甘え、ベッドで寝ていた。
フローラはベッドに座ったまま、ウトウトしている。
「ごめんなフローラ、今日は俺がゼウスを連れ出すからゆっくり寝てくれ。」
「ハイ…サトル様…。」
そう言うとゴソゴソとベッドにもぐりこみ、そのまま寝てしまった。
「ゼウス~ぅ、昨日会った黒髪美人に会いに行こうぜ!」
「なんだいきなり」
「お前って本当にモテるよな、メイドも幼馴染もかわいいし。」
「まあな~!」
ゼウスは前髪をファッサーとなびかせると自慢気に言った。
「彼女を俺のハーレムに加えてやってもいいかな。」
「ソウダヨナー、メチャクチャヨロコンデタモンナー。」
「よーし、そうと決まれば出発だ!」
「おー…」
「ここがハンタースクールか」
ゼウスがそう言った瞬間だった。
「ゼウス様ぁぁぁぁぁ~~!」
尻を揉まれていた黒髪ショートの女性が、大声で叫びながら走ってきた。
本当にすごい現象だな、なんて名前を付ければいいのか分からないけど。
「学校を案内してください!」
「君を連れ去りに来たよ・せ・ん・せ・い・?」
「あぁ~~~ん…」
「ゼウス、あのスタジアムみたいなところに行ってみようぜ。可愛い生徒がいるかも…」
「そうだな、可愛い生徒がいるかもしれないな。」
あー、早く帰りたい。
先生の案内で、スタジアムのような場所に来た。
魔物がいるなら、壁に囲まれた屋外だと思ったのだが正解だった。
「魔物と闘う訓練をしているんです~~。」
先生はゼウスの腕に胸を押し当てながら言った。
「あれが魔物…」
魔物を見たのは初めての俺たちだったが、大きなトカゲのような生き物だった。
「ゲームで見たことあるような奴だな!」
相変わらず前髪をファッサーしないと話せないのか、こいつは。
「そうだな」
「あの子かわいいな、奥にいる子もかわいい。いや、あっちにいる子も…まとめて俺のものにしてやるか、仕方ないな。」
なにが仕方ないだ、クズ野郎!
俺は隣の席で中指を立てた。
すると、指から指輪がスゥーッと消えたのだ。
「先生、女の子の名前を教えてください。」
ゼウスを挟んで反対側にいる先生にそう言うと、先生はゼウスの腕を話した。
今だ!
【お読みくださりありがとうございます!】
本作品を読み進めていく上で気に入ってくれたら、
・ブックマーク追加
・下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価
この2つを行ってくれると、大きな励みになります。
評価してくださってありがとうございました!