【全知】の【スキル】1
転生者の末裔に召喚されたクラスメイトが世界を破滅させるので暗殺します 作者:高山京一
(*^-^*)『山』と『海』どっちが好き?
【全知】の【スキル】1
「俺の【全知】は発動させると死ぬほど頭が痛くなるんだ。」
「【スキル】って、副作用があるんだ?」
「そこで『幼馴染』の登場だ!」
そう言うと、ゼウスは隣にはべらせていた一人の女の子を引き寄せた。
「いやいや、昨日召喚された奴に『幼馴染』はできないだろう。」
なに言ってんだこいつ。
そんな俺を無視したままゼウスはその女の子と
ぶっちゅーー!
…キスをしたのだ。
「え?」
「こうすると、頭痛がなくなるんだぜっ!」
前髪ファッサーからのドヤ顔ウインクに、俺は固まった。
「そして【全知】発動!」
ゼウスの頭上に、光の輪のようなものが浮かんだ。
「お姫様の攻略方法を教えてくれ……うっ、頭が!」
光の輪が消えると、再び謎の『幼馴染』とぶっちゅーー!
「んっ…んっ…」
何を見せられているんだ、俺は。
隣を見ると、フローラが完全に『無』の状態でそれを見ていた。
「はぁ…まだ、頭痛い?」
「うん」
ちゅっちゅっ…
「ハハハハ…」
俺は思わず失笑してしまった。
「なんだよ!?」
「いや、なんかすごい(バカみたいな)【スキル】だと思ってさ。今ので、何かわかったのか?」
ゼウスは顔を真っ赤にして言った。
「てめえ、バカにしてんのか!?」
「してないよ、姫の攻略法…オレモシリタイナー。」
「そうだった。俺とデートしようぜ、お・ひ・め・さ・ま・?」
パキューーン☆という効果音が聞こえてきそうな指差しウインクをかますゼウス。
「サトル様と一緒ならいいですよ?」
「私もいっしょに行きたいな~?」
「もちろん『幼馴染』も一緒だぜ?」
だから、誰だよそれ。
「サトル様、他のご学友に会うためにもここで装備を整えましょう。」
「そうだね。」
そういえば、俺の【スキル】って副作用の前に効果もわからないな。
『【暗殺】の【スキル】は封印の指輪を外した手で触れると対象が即死するというもので、副作用はありません。』
『【偽装情報】の【スキル】は事実を隠ぺいし、偽の情報を信じさせる【スキル】で副作用はありません。』
またいきなり説明するのか。
ん?…封印の指輪?
『左右の中指にはまっている指輪です。』
たしかに俺の両手には、明るい銅色の指輪がはまっている。
「今気づいた…」
「サトル様、どうしました?」
「いや、何でもない。」
前を歩くゼウスを見ながら、俺は考えた。
素手で触れると即死するのに、自分が犯人だと疑われない方法は…
「ゼウス様ぁぁぁぁぁ~!」
とつぜん、ゼウスの両側に同じ格好の女の子が二人現れた。
「ギルドの担当受付は、私ですよね~?」
そういいながらゼウスに胸を押し付ける。
「違うわ、私よね~?」
といいながらゼウスに胸を押し付ける。
「私が指名されるんだから!」
「いいえ、私よ!」
…キャバクラかな?
行ったことはないけど、知識はあるぞ。
もみもみもみ…
「あぁん…」
「ゼウス様ぁ…」
なんと、ゼウスが二人の胸を揉んでいる。
セクハラ親父のように背中から腕を回し、自分の方へ引き寄せながらモミモミと。
お前なにやってんの!?
「あれ?どうして周りにいる人たちは、誰も気にしないんだろう。」
まさか、公衆の面前で胸を揉むのはこの世界の常識なのか?
「サトル様、あれは『召喚されし者』が周囲に与える影響です。」
「どういうこと?」
「周囲の反応が、異常なものになるのです。」
たしかに異常だが。
「そのうち冒険者ギルドにも、登録してやるよ。」
気がすむまで揉んだのか、ゼウスは前髪をファッサーとさせてギルドの受付嬢と別れた。
「ゼウス君…いや、ゼウス様!」
今度は黒皮のパンツをはいた、大人の女性が現れた。
「この国のハンタースクールに入学してくれないか?教師としてでもいい!」
生徒でも教師でもいいって、どういう勧誘だよ。
「そうだなぁ~」
「あっ…んっ…」
今度は女性の尻を揉んでいる。
本当に、なにやってんだあいつ。
おそるおそるフローラを見ると、女性に同情した悲しそうな顔をしていた。
どうやら『召喚されし者』が周囲に与える影響というのは、俺とフローラには効果がないらしい。
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