旅立ち
転生者の末裔に召喚されたクラスメイトが世界を破滅させるので暗殺します 作者:高山京一
(*^-^*)『夏』と『冬』どっちが好き?
旅立ち
翌朝、クラスメイトはいなくなっていた。
「え…?」
フローラが言うには、いろんな国から『スカウト』が来たらしい。
「サトルさんは、どうしますか?」
名前、憶えていてくれたんだ…うれしいな。
「えっと、スローライフでもしようかな。」
「私も連れて行ってください!」
「どうして?」
「このままだと、好きでもない人と結婚させられてしまいます。」
「お姫様が城から逃げ出したらまずいんじゃない?」
クラスメイトを【暗殺】しようとしている俺としてもまずい。
「私の【召喚】の【スキル】は何度も使えません。役目はもう終わったのです。」
たしかに日替わりで召喚されたら大変だ。
「誘拐したと思われたら困るので…」
「そんなぁ~~!」
俺は笑顔で、部屋のドアを閉めた。
「王様から支度金をもらったし、とりあえずクラスメイトを探しに行こう。」
「サトル様~~!」
「ええっ、フローラさん?」
「ちゃんと許可を取ったので、私もいっしょに行きます!」
どうやら『役目が終わったので俺の妻になる』という書置きを残してきたらしい。
本当に大丈夫なんだろうか…
それより、これだとクラスメイトを暗殺しにくいぞ。
「私、魔法が得意なのでお役に立てるはずです!」
「ありがとうございます」
召喚した本人が協力してくれるとは思えない…
「そうだ、フローラさんはクラスメイトがどこにいるか知りませんか?」
「フローラとお呼びください、私たちは夫婦なのですから。」
「それならサトル様って呼ぶのもやめてもらえますか?」
「……ほら!私がサトル様と呼んでいれば、トワイライトの姫だとわからないでしょう?」
フローラは、ピンクのひざ丈のスカートに長い杖を持っている。
姫には見えないが、この世界の魔法使いはこういう服装なのだろうか…。
「とりあえず、クラスメイトがどこにいるか知りませんか?」
「ひどい!…そういえば、この国に一人いらっしゃいますよ。たしか【全知】の【スキル】…」
「【全知】って、何でも知っているあの全知ですか?」
「そうです、城の近くに屋敷を与えられているので案内しますね。」
「結構近いんですね。」
まずいな、その【スキル】で『自分の敵になる者』について知っていたら暗殺できないぞ。
クラスメイト全員が【スキル】を持っているなら『自分と敵対するクラスメイト』がいると考えてもおかしくない。
「…もう、サトル様?!」
「え、なに?」
「丁寧な言葉はやめてくださいと言っているんです。」
「フローラさん…フローラこそ、姫だとばれたくないなら気さくに話したほうがいいんじゃないか?」
「そうですね、気を付けます。…できるかしら?」
姫としてお城で育ったのなら、難しいかもしれないな。
さて、【全知】の【スキル】を持っているのは誰だ?
『映像を再生します』
いつもいきなりだな。
【全知】と表示された生徒の顔を見る。
「ゼウスか…」
「ゼウス?」
「あ、【全知】の【スキル】を持っている奴の名前だよ。」
「サトル様、ここです。」
案内された屋敷は、とても大きくて立派だった。
「でっか!」
カランカラン♪
呼び鈴を鳴らすと、中からメイドが出てきた。
「ゼウス様【スキル】をお持ちの方が、いらっしゃいましたわ!」
あ、フローラの【スキル】のほうか。
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ。」
俺たちはすぐに中に通された。
そこには、女の子をはべらせたゼウスの姿があった。
「お姫様、もう俺に…会いたくなっちゃった?」
キザなセリフとウインクで迎えてくれたゼウスは、瘦せ型にうっとうしい前髪の日本男児だ。
「いいえ、サトル様のつきそいです。」
「は?無能なサトルがなんでここにいるんだよ。」
「ゼウスがすごい【スキル】を持っているって聞いたから会いに来たんだ。」
「?」
フローラが不思議そうに俺の顔を見たが、俺は笑顔で返した。
「まあな、無能なお前と違って俺の【スキル】は【全知】という素晴らしいものだからな。」
「スゴイナー、どんなことが分かるんだ?」
あれ?こいつって、こんなに性格悪かったっけ?
しゃべり方も、こんなに気持ち悪くなかったはずだけど…
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