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TSでうおおおおおお!!


俺、歩幸越棚! 街を救うも死んでしまったの! 幼女にはまたお世話になるだろうな。そう思い目を開ける。するとやはり、あの青空が広々と存在している。これ以上、今さら何を述べようか。体を起こし幼女と対面する。


「あぁ、はい、そうでしたか。それは僥倖でしたね。はい、私にとっても喜ばしいことです。はい、はい、ええもちろんですとも。はい。今から業務に戻りますので。はい、お疲れ様です」


電話を終え、深々と息を吐く幼女。彼女も大変なようだ。俺がそれを増幅させているのなら、とても心苦しい。死ななければいい話なのだけれど、それができたら今頃ここにはいない。


「お邪魔でしたか」俺は一言聞いてみる。


「邪魔だとも。まぁた死におって。一回から先は数えてないぞ」


改めてこちらに向き直り、頬杖をつく幼女。お互いこれから行為には慣れっこなので、また何か応答をしても意味がないのではとも思う。数瞬の沈黙。彼女は何を考えているのか。俺には解らないが、彼女の声を待つことはできる。


「お主、今までとは違った人生を楽しみたくはないか?」


「はぁ、違った人生ですか」


今までとは違う人生。確かに、今までは冒険者になったりして名をあげ上に昇ろうとしていた。そればっかりだった。現代にいた頃はそんなこと当然できないので、異世界でその鬱憤を晴らしていのだと思う。とすると、名声を手にしない人生を選ぶことになるのだろうか。


「お主が何を考えているかはだいたい判る。じゃが、そのような人生にはならんと断言しよう。変わるのは、せいぜいフレーバー程度じゃよ」


「フレーバー、ですか」


「左様。ま、それは転生してから知ればよい」


いつもの如く穴に落ちていく。体の異変を感じつつ、俺は薄れ行く意識に身を任せた。




目覚めると、知らない天井だった。正確には、天蓋、というのだろうか。どうも相当良いベッドで寝ていたと見える。今まで転生後は土の上というのが普通だったから、こんな人工物で目蓋を開くのは初めてだ。


起き上がると、いきなり違和感が脳髄を叩く。胸がやけに重い。あと、これまでとは見える景色が低いというか、まるで身長が縮まったかのようだ。疑問の目を下に向けると、おっぱいがあった。巨乳だ。いやほんとに胸だ。これは一体どういうことだろう。


部屋の扉がノックする音が耳に入る。我に返って見渡せば美しい調度品やら小綺麗な机、高級な木材を使ったであろう扉があった。


「オチタナ様、入りますよ」


「あ、はい」


と、何も考えず返事をして、自身の声に驚愕した。ソプラノのような高く美しい声。まさかと思い股ぐらに触れる。ない、あるはずの我が友がいない。十年来の大親友が消えた。


その瞬間、激しい頭痛に呻くことになった。夢か妄想か判別できない過去の記憶。体験したことのないそれら全てがフラッシュバックする。痛い、痛いと小声で呟くが、それが俺の耳に入ることはない。


この肉体の娘の名はフーコウ=オチターナ。俺の過去とほぼ変わらない名前。あだ名はオチタナ。これも変わらない。生まれはフクロウ王国の貴族で三女。昔から勝ち気で男勝りなところがあり、悪戯もよくしていたようだ。しかし決して甘やかされずに育ち礼節はわきまえている。そして一人称は俺。公務などでは私。


あれ? 性別以外ほとんど前の俺と変わってなくね?


「オチタナ様、オチタナ様。大丈夫ですか?」


メイドに声をかけられて、ハッと現実に立ち返る。現在は朝。太陽が立ち上がろうとしている時間帯。まずは朝食をいただかねば。


まずは服を整える。ここで鏡と面を向かわせる。目の前には黒髪ショート、綺麗な漆黒の目と麗しい肌。整った鼻筋。一言で表せば美少女だ。服に関しては、体が覚えていたので大変助かった。化粧も、やらなくても充分なくらいなので少なめに済ませられる。でも男と違ってこういうことを朝からしないといけないというのは、とても忙しいことだ。


ようやく部屋から出る。メイドに連れられ廊下を歩く。中世ヨーロッパ風と言いたいところだが、正確には近世フランス辺りのお屋敷といったところか。絨毯が引かれ窓があり花が活けられている。これだけで緊張してしまうが顔にはださない。


食堂に到着。既に兄弟姉妹は揃っていて俺が最後だった。「お待たせしました」と一言。俺の席に座り内容を見る。ポタージュなどの汁物、パン。これだけ。しかし味は最高級だ。それにこれで終わりではなく、厨房では次のメニューを作っている。これは前菜なのだ。


心の中はガチガチに震えていたが、それを表に出さなかったのは褒めてほしい。家族との簡単な会話も忘れずに返し、誰にも違和感を持たせることなく朝食は終わった。まさか、娘の一人の中身が男だなんて夢にも思わないだろう。


「オチタナ。貴方は今日ノボールに会うことになっていること、忘れてたいませんね?」


母親からピシッと問われる。「忘れていませんよ、お母様」と俺は毅然として答えた。実際忘れてはいない。昨日ノボールから手紙が来て、是非会食したいと書かれていたのだ。ノボールは王族でイケメン。貴族の親として、この機会を逃す筈がないだろう。今の俺も、ノボールがどんな人間なのか気になるところだ。


「今日はやけに素直ね、オチタナ」


母親が背後から俺に言った。一瞬ヒヤリとしたが、微笑みで返答した。女の勘は怖いという。バレなければいいが。


執事に馬車を呼ばせ、乗る。黒と赤のいかにもな風情を漂わせている馬車。屋敷の庭から出てノボールの邸宅へと向かう。傍らには専属の騎士達が全身を甲冑に包み、これまた鎧を着せた馬に乗って警護してくれている。前世だったら、俺は警護役か、馬車を襲う賊を討つ名も知れぬ男だったろう。それが今はお姫様。この体で何ができよう。


俺はこの先どうすればいいのだろうか。これまで通り、戦で功を手にすることはできそうもない。そもそも、記憶を辿ってみると冒険者ギルドの存在もない。女騎士として目立とうとしても、そもそも戦争も外敵も今のところ存在しない。あるのは陰険な政治闘争だけだ。そして俺はその闘争の尖兵。指示に従うだけしかできない無能である。


ノボールの邸宅には夕方頃に着いた。我が家よりも庭は広く、屋敷自体もとても大きい。流石は王族といえる。ノボールがいつ俺を気に入ったか、記憶を頼りにしても判らない。ともかく彼のお眼鏡に叶えば我が家はより繁栄することになる。だけど今の俺には、歩幸越棚にとってはそんなことすこぶるどうでもいい。どうでもいいが、なにもできない。


馬車から降りると、わざわざノボールが出迎えてきた。金髪に金色の瞳。背は高く体はよく締まっている。まさに美青年。この俺とて見惚れないワケがなかった。


「よく来てくれたね、オチターナ。君を迎えるのを楽しみにしていたんだ」


「ありがとうございますノボール様」心にもないことをいう。あぁ好き勝手暴れたいな。


「さぁ、おいで。ここまで疲れただろう。一緒に疲れを癒そうじゃないか」


彼の笑顔に微笑で返す。彼の手を取り着いていく。俺は男の娘で滾ったことはあるが男でいきり立つことはない。例え体が乙女だとしても。こいつに屈することはないだろう。


着いていく内に違和感に気づく。使用人が誰一人随伴していない。危機感が募る。このまま手を払って逃げ出すかこの男に一発かましてやりたいが、鍛えてない体でそんなことをしても一切の無駄だろう。どうにか弁舌で抜けるしかないか。


廊下を過ぎある一室に通される。俺は警戒を全身にみなぎらせ一歩踏みいる。彼に肩を掴まれる。ここからどうするか。下手に抵抗すれば何をされるか。気に入らないことを口走れば危険の海に溺れることは間違いない。


「緊張しているんだね。それに仮面をつけている。よくないなぁ。ボクには判るよ?」


「なにを言っているのです?」


「君はもっとハツラツとした性格だってのは調べてある。そんなおしとやかじゃない」


「ノボール様ったら、もう」


俺は彼の手で振り向かされ壁に追いやられる。もう逃げ場はない。どうやらこれがこの男の本性らしい。せめてもの抵抗としてキッと睨み付ける。すると、彼は嬉しそうに笑いだした。


「そうそう、君はそういう娘だ。もっと見せてよ。ボクは君に一目惚れしてるのだから」


「いい加減にしてもらおうか王子様。お前が本性を現すなら俺も本性を見せてやる」


こいつはもっと嬉しそうに笑いだした。俺を抱きしめ、耳元で囁く。


「ようやく見せてくれたね。そんな君をボクは愛してる」


「勝手にしろ。そう簡単には落ちねぇよ」


「落としてみせる。絶対に。君はボクだけのものだ」


その後、結局のところ正式にお付き合いすることになり、なんだかんだ俺もノボールのことを気に入ってしまって仲良くなってしまった。


そして、初夜。ノボールは実にテクニシャンで、俺は初めてだというのに何度も絶頂し、意識を何度も失い、ついには意識を失ってショックで死んでしまった。

TSもので落ちる過程を書かないクズ。死んでどうぞ


グエー死んだンゴ

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― 新着の感想 ―
[良い点] テクノブレイク? どっちにしろ、まともじゃないのは草
2020/07/24 22:19 退会済み
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