エターナルでうおおおおおお!!
俺、歩幸越棚! 勇者ぶっ殺したら自爆されて死んじゃったの! あれ隕石と同じ威力があったのではないか。最後っ屁が強すぎる。
「うーむ、うーむ」
悩みの呻きを聞きながら起きる。幼女は腕を組み目を閉じ悩んでいた。待つか待たせるかの選択肢が俺に出た。俺は彼女の悩みを中断させることとした。
「あのう、今いいですか」
「よくないなぁ」
「そうですか。一応言っておくと、転生がしたいのですが」
「それがのう」
「どうかしましたか」
「ネタ切れじゃ」
「は?」何を言っているのか。
「じゃから、ネタ切れじゃ」
「何のネタがないんですか」
「次の異世界がないというか、もう何をさせるかということがないというか」
「え、もう異世界ないんですか」
「いや無数にあるけども」
「じゃあ行けるじゃないですか」
「でも、ネタが被るのじゃ」
「そんなんスキルとギフトの回も被ってたじゃないですか。気にしなくてもいいでしょう」
「それを言われたら痛いのじゃけど、しかしこのまま続けていくとマンネリしてしまうし」
「マンネリですか。長期連載ではよくあることなんですから構わないでしょう」
「いやいや、竜頭蛇尾は避けたい」
「もうこの会話文の連続が蛇尾なんですが」
「うーむ」
それっきり彼女は悩んで黙る。この状況の打破を試みているようだから、俺も助け船を出すことにしよう。
「じゃあ、魔物のテイムとかどうです?」
「それスローライフで似たようなことやったじゃろう」
「いや、実際にスライムを使役して、ほら、あるあるっぽいでしょ」
「でも魔物軍団は前回やったからのう」
「そこ気にしますか」
「気にする」
「うーむ」
今度は俺が悩む番になった。他にやっていない展開といったら、何だろう。幼馴染み? お母さん転生? ハーレムはやったし、人外は他にもできそうだ。
悩んでいると、幼女が口を開いた。
「もうエタるか。同じネタやってもつまらんしな」
「え、エタりますか」
「実を言うと丁度この辺りで終わろうかとも思っていたのじゃ。二十部ぐらいで区切りがいいし。エターナルとは言いつつ打ちきりではないしな。エタネタってことで」
「はぁ。じゃあこのあとどうします? ネタ切れなんでしょう?」
「これまでの世界のその後を振り返るとしようか」
「いいですね。気になっていたところです」
「まずは最初じゃな」
「Sランク冒険者になった話ですね。それからどうなりました?」
「冒険者が暴れだして世紀末になったの」
「次のハーレムは?」
「誰がお主の正妻かで揉めて血まみれといったところじゃな。お主を掘った男の娘は殺されたぞ」
「うわぁ。ステータスは?」
「ヒロインが泣いた程度かの。特に何もない」
「それはそれで安心ですね。成り上がりは?」
「後継者争いで分解し、それぞれ山賊に成り下がったの」
「成り上がれてないじゃないですか。全くあの野郎共め。で、SIDEは?」
「お主が街の英雄の一人に数えられたり勇者が四天王倒したり。そんなものじゃ」
「勇者なんていたんですか。知らなかった。じゃあ女になったのは?」
「ノボールが傷心の内に自殺して、フーコウ家は責任を求められて没落したのう」
「えぇ。まさに不幸な話だ。蛇生は?」
「村の神として今でも祀られているな。潔く死んだ者と武士からは慕われておるな」
「聞いてて楽しいことだ。それでスキルは?」
「家族は悲しんだが次の子を産んだの。じゃが特別なスキルはないようじゃ」
「今度は暗い。スローライフは?」
「影の支配者を失ったせいで大混乱。内紛が絶えない末世じゃな」
「また暗い。ギフトは?」
「金蔓が消えたせいで一気に落ち目。お主を殺した奴は散々苦しめられて奴隷になった。しかし何とか立て直そうとしてるな」
「嬉しいようなないような。で、賢者は?」
「悪堕ちした賢者を嘆き、文明復興を続けておるな。お主は英雄か悪党かで意見が割れとる」
「ふーん。学園は?」
「いやお主がビックバン起こしたせいで滅んどるわ。一応星はできとるが生命はまだ存在してない」
「やっちまったなぁ。それでクラス転移は?」
「現代では突然三十人が失踪して、異世界では生贄によって災厄が討たれた」
「色々失敗したか。現代みたいな異世界は?」
「テロが頻発してるの。別にお主の影響はない」
「一番成り上がれてないなぁ。追放は?」
「勇者が無能と証明され、お主が真の勇者として崇められておる」
「やっと良いニュースだ。乙女ゲーは?」
「カート君がぶちギレてわしを殺し、お主の死体を剥製にして楽しんどるな。いや良かった」
「良くないですよ。それより最強は?」
「また戦争が始まって乱世乱世。相変わらず傭兵が跋扈しておるな」
「唯一老衰で死ねたからいいか。次は?」
「内政じゃな。後継者が無能なせいで反乱が起きてしもうた。フコウ家は失敗を責められてこれまた没落じゃ」
「貴族に転生したら没落させる能力でも持ってるんですかね俺は。最後は?」
「無事魔物が天下を握ったが、次期魔王が決まらず内紛寸前じゃ」
「後継者決めなかったのがダメだったかぁ。それで、今ここにいると」
「そうじゃ。おいお主、情景描写を忘れておるぞ」
「いやいつもの青空じゃないですか」
「もっと、ほら、雲がどうとか、あるじゃろ」
「晴天ですね」
「そこをもっと掘り下げて」
「何でですか。そんなことして意味あるんですか」
「文字数稼ぎじゃ。三千文字ないと書き終えれん」
「え、そうだったのですか。これまでずっと三千文字縛りしてたんですか」
「そら最初からじゃ。三千文字は超えないと終われないようにしたのじゃ」
「でも八百とか行ってますが」
「そうなんじゃよなぁ。正直ネタが豊かな時に四千文字未満は辛い」
「三千以上四千未満ですか。何でまたそんな縛りを」
「だってそのぐらいが読まれやすいって聞いたんだもん」
「で、ホントのところは?」
「五千文字書きたい」
「そうですか」
「それで、これからどうしようかの」
俺達は沈黙した。どっちが作者だとかメタ発言まみれで寒いとかツッコミたくはなったが文字数稼ぎにしかならないのでやめた。露骨過ぎるのは好めない。
しかし、そうなると俺の転生の旅は終わりか。長かったな。合計で何十年になるだろうか。三十まで生きたこともあったから百歳は超えてそうだ。
それにしても途中から流れが全く変わらなかったな。最初は途中で死んだりと異端の道を行ってたが中盤からは、行動して、成果が出て、それで繁栄して、最後唐突に死ぬ。テンプレート を風刺したと書けば立派だが実際はそれ以上のことができなかっただけだ。
気まずい空気を吸いながらこれからのことを考える。もう転生できないとするならば、俺は地獄か天国に逝くことになる。おそらくは地獄に落ちる。これまでの悪行は善行を上回る。どの宗教感に照らしても俺は罪人で間違いない。
ならば、どの地獄に落ちるか。西洋関係の地獄であれば悪魔になれるかもしれない。しかし仏教とかだと厳しい。獄卒になれたら大したもんだが。黄泉に落ちるのも嫌だな。いやそもそもあの世に逝くのが嫌だ。
「あ、そうじゃ」
突如幼女は声を出す。何事かと思案をやめ彼女と目を合わせる。幼女の微笑みは邪悪さを隠せていなかった。
「何か思いつきましたか」
「無論。しかし、それを行うには一度死んでもらわねばな」
俺はすぐに後ろに跳んだ。先までの場所に穴が空いた。長年の転生経験のお陰で転生を回避できたとはなんたる皮肉。
「転生するんですか?」
「似たようなもんじゃ。ともあれ一度死ね」
なんだ転生と同じことか。そう確認ができれば悩むことはない。少し嫌な予感がするが彼女に従おう。俺は座して死を待った。
俺の真下に穴が空き、落ちていく。これが最後の落下になるだろう。俺は意識を閉じ、浮遊に身を任せた。
もうちっとだけ続くんじゃ




