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追放でうおおおおおお!!


俺、歩幸越棚! テロにあって殺されたの! 現代にも異世界ってあるんだな。銃撃つのは新鮮な体験だった。


青空。テクノポップの響きを耳にし起きる。幼女がラジオで音楽を聴きながら目を閉じていた。


「お主か。今回は流石に災難じゃったな」


寝てはいないようだ。しかし聞いたことのないような曲調だ。懐かしいような新しいような。


伏線ではない。


「何度と聞いたことですが、転生ってします? もう現代に帰れるのは解りましたけど」


「次は異世界にしようかの。現代続きでは楽しくない」


「貴方がですか?」


「然り。わしが楽しまんとな」


ポッカリ空いた穴へ落ちる。あの曲はまだ鳴っている。




目が覚めると、椅子に座ってテーブルに突っ伏していたのが身に判った。今度は途中覚醒パターンか。俺は成り立ての冒険者。寝床さえ確保できない財布なのでギルドで寝ていたようだ。


立ち上がり、掲示板に行く。ランクをととっと上げるために受けれる最大難度の依頼を受注する。モンスターウルフの群れの討伐。武器は片手剣一本。防具は革鎧。これまでの経験で乗り切るしかあるまい。


依頼の申請を終えて森へ向かう。街から離れ人俗より脱する。自然が俺を蝕もうと目を光らせる。


森を進むと日の差す広場へ出た。そこにはモンスターウルフが五匹。剣を抜き、依頼の目標を見定める。


モンスターウルフは普通の狼より賢い。人語は理解するため号令を聞かれて裏を搔かれることも多いそう。俺は一人だから問題ない。あるとしたら、その一人の部分だが。


奴らに囲まれる前に先手を打つ。落ちている石をリーダー格に投げ牽制する。一瞬指示が遅れそれを狙い突進。即座に散開されるが近い奴を斬る。


背後から殺気。振り向き凪ぐ。口を斬り怯ませる。すかさず目を突く。刺したまま体へ滑らせ出血させる。それに怯えたか、ウルフ達は退こうとした。


「おい、逃げるのか? 大したことないな。ネズミのほうが苦労するさ」


そう言い嗤ってやる。それに怒り引き返してくる。一匹は震えてそのまま動かず、つまり三匹の相手をする。


手下格の二匹が同時に飛びかかる。転がって腹の下へ行き下から腹を刺した。一匹は片付いたが挟まれる。リーダーには剣を投げ片方は頭を掴み地に伏せさせる。


剣は深く刺さりリーダーのウルフは絶命する。最後の一匹の目を指で突いて激痛を走らせる。悶えているあいだ、剣を抜きウルフにとどめを刺した。


これで依頼は達成だ。あとは倒した証しを持って行けばいい。


そう思っていると、ドシンドシンと足音にしては大きい地響きが腹に伝わる。音の方向を見るとトロールがいた。俺のランクでは普通相手にしない化け物だ。それに、本来ならここに出現しない。


しかし、これも昇級のためだ。奴にはあの世へ旅立ってもらう。


剣についた血を払い、猛然と突撃した。




「これはトロールの牙! あの森では現れないはずです! どうやって」


「実際に現れて、討伐したのさ。報酬は加算しなくていい。金のためにやったワケではないからな」


俺は受付嬢に驚かれながら答えた。この話は多くの人に伝わったのか、ランクも上がり、俺に一目置く奴が増えた。このままいつも通り成り上がるか。


そう考えていたら、見知らぬ女に声をかけられた。燃えるように赤い髪に勝ち気ある目。そして装備からして、ただ者ではない。


「ねぇ貴方、たった一人でトロールを破ったんだってね。その腕を見込んで話があるんだけど」


「何かな?」


「私、実は勇者パーティの一人なの。あともう一人人材が欲しくてね。貴方なら、私達に見合うんじゃないかなって思って」


「ふーむ、いいけど、所詮低ランクの冒険者だぞ?」


「将来性を加味しているのよ」


あれよあれよという内に勇者一行の拠点の宿に連れて行かれた。別に加わることに文句はないが、少しは話を聞いてほしい。


「ほう、お前が噂の新人か」


勇者、ゾスダが俺をギンミする。パーティは全部で三人。勇者、赤い髪、銀髪の女。装備からして差が酷い。彼は月で俺はスッポンどころか砂粒だ。あの輝いている鎧を着けたらさぞ安心だろう。


「まぁいい。使えなかったら放り出すまでだ。しばらく着いてきてもいいぞ」


だいぶ上からで尊大な態度。だが勇者パーティに加わったというだけで俺は充分な名誉を得たのだ。しばらくはお世話になろう。


次の日から、魔族の巣くうダンジョンに足を踏み入れた。彼らと一緒に。俺は腕を見ると言われて、装備の更新さえさせてくれぬまま前に出された。リザードマンやらオークやらの強敵を殺し、武器を奪いさらに屍を増やす。


最深部までほとんど俺一人で戦った。銀髪の少女が弓で援護してくれる程度。そしてついにボスの魔族と出会う。


「ホッホッホッ! 人ながら見事。勇者は返り血一つなく、雑兵は血塗れ。さしもの勇者一行もこの程度。さぁ参るぞよ!」


魔族は天高く跳び上段に構え振り下ろす。勇者は驚いたのか何の構えもしなかった。慌てて俺が間に入り奴の剣を受ける。重い。受け流し首を狙うが後ろへ下がられた。


俺は追撃を続けた。しかし人外の身体能力には舌を巻くばかり。そこであえて隙を晒した。


「ホッ! 笑止!」


隙を逃さず突きが来る。寸でまで近づけ、皮一枚で避け腕を斬り落とす。奴から剣は離れ、その剣を拾い二刀流で圧倒する。


「雑兵がここまで、我が目に間違いが」


狼狽えたその刹那、足を蹴り体勢を崩し、剣を踊らせる。血が舞い、抵抗さえ出来ずに魔族は死んだ。


「よ、よくやったオチタナ。俺が見込んだ通りだ」


何もしなかった勇者に褒められても嬉しくない。銀髪の少女は無言で称えてくれた。赤髪は何が面白いのか笑っていた。


その後、勇者パーティの成果と言ったらほとんど俺のお陰だ。前線には常に俺だけが立ち、三人は後ろで援護か見守るだけ。たまに気まぐれに赤髪が加勢してくれる程度。その加勢も俺がもう一人いるぐらいのもので、いたら嬉しいがいなくてもいいレベル。


しかしそれらの功績は全部勇者に持っていかれる。怒りも不満もある。だが告発は今じゃない。時を待って、いずれ訴えてやろう。


俺は、そう俺達じゃなく、俺は四天王の一人、メンドーサを倒した。勇者は己の実力が為だと吹聴したが、そろそろ民衆も気づき始めていて、実際は越棚が頑張ったのだと噂されるようになった。


そして、案の定と言うべきか、勇者に呼び出された。


「お前は自分の嘘の名声を得るために民に偽り事を流した。断じて許さない! お前は追放だ!」


俺はついぞ勇者パーティの一員という肩書きを剥奪された。赤髪は諦めたかのような表情で旅立つ俺を見送った。銀髪の少女はいなかった。


仕方ないので冒険者業務に戻る。もとより四天王の一人を倒した俺に敵なぞいない。ランクは最大まで上がり、給料も弾んだ。だが四天王討伐は冒険者に許されない。それは勇者の特権なのだ。歯噛みしながら仕事を続けた。


ある日、赤髪の女が倒れたと聞いた。まさか彼女かと心配し駆けつける。途中勇者に止められたが銀髪の少女に遮られた。


彼女はベッドで横になっていた。腹が真っ赤に染まり、包帯は元の色を失くしていた。


「あぁ、オチタナね。ごめんねぇ」


彼女はいつもの調子で答えた。だが感情に震えた声だった。


「ゾスダは私の幼馴染みでね。勇者だ、って持ち上げられてからは武芸をサボって、今じゃマトモに剣も振れない。それを私が支えて、途中貴方が支えてくれて」


そういうことだったのか。俺は納得した。つまり、今の勇者一行は赤髪が一人奮闘していたということ。俺を連れて来たのは、もう限界を感じていたのだろう。


「これからは俺が何とかする」


「ほんと? 私は死ぬんじゃないんだし、無理しなくても」


「そうだ! お前は必要ない!」


勇者が後ろから叫ぶ。もうどうにもならない。諦めておめおめと引き下がった。


帰っていくと、背後に銀髪の少女が着いてきたのが判った。


「なぜ着いてきた?」


「あそこはもう、ダメだから」


「そうか」


勇者パーティは解散のようだ。しかしゾスダは勇者の名を手放さないだろう。俺が密かに魔王軍を撃つしかない。少女はこれに賛成した。


俺達は秘密裏に四天王を討伐していった。誰にも知られず、黙々と。各地では四天王が死んだと伝えられたが、誰が倒したかは皆知らない。名声も得ず金も得ず、時には何をしているのかと自虐していたが、そばにはいつも少女がいた。寡黙ながら、その無言が俺を支えてくれた。


そうしてついに、魔王城へたどり着いた。ここが本懐を果たす場。たった二人で幾百もの軍勢と立ち向かう。


「行けるか?」


答えは無言の肯定だった。俺達は前へ血路を開き、死体を後塵に魔王の眼前へと立った。


「こ、ここまで来たのか! 者共かかれ!」


意外にも魔王は小柄で太っていた。そして姿には覇気がない。雑魚を俺達に向けたが一刀で斬り捨てた。


「ひぃ、助けてくれぇ」


魔王は命乞いしながら俺に殺された。呆気のない最後だった。


「勝った、の?」


少女は実感のない言葉を呟く。それに答えようとすると、突然魔王の死体からの光線が彼女に走った。それから守るべく少女を突き飛ばし、俺は光線に貫かれ、死んだ。

最初の転生並みに雑な死に方恥ずかしくないの?


アイデアが枯渇し始めていてヤバイヤバイ

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