表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

第一幕―チェシャ猫、私を導いて!―


 ああもうっ!やっぱり離れすぎちゃったのかも…。いっくら走っても白兎なんて見つからない!


 私はひたすら走っていた。見ず知らずの土地を、一人で。

 正直なところ、私は内心かなり焦っていた。やっぱり知らない土地で一人なのは心細いし、怖い。


 無理言ってミシェルについてきてもらっとけばよかったかしら…。

 そもそも何で私、こんなに必死になって白兎を探してるの!?

 …チェシャ猫ミシェルが白兎を追いかけないの?とか言ったからだ…。


 そう思い至った私は、イラっとして叫んだ。


 「チェ〜シャ〜ねぇ〜こぉ〜」


 私の恨みがましい低い声が森の中に木霊する。




 「呼んだー?」




 期待なんてしてなかった。返事なんて全くもって予期していなかった私は心臓が飛び上がりそうになった。


 「うっへあぁあぁぁ!!?」


 「うっわー。面白い叫び」


 我ながら色気がないなと思ってますよ、ええ。

 それにしたってミシェルってば某読みすぎだと思うのよね。


 目の前に突然チェシャ猫が現れる。


 「お、おお驚かさないでよっ!てか何で居るの!?」


 「藍琉が呼んだからね」


 まさかずっと後をつけてたの…?もしかしてミシェルってストーカー?


 「あっ、今失礼な事考えたでしょ」


 若干・・・というより大分引き気味の目でミシェルを見ていると、シニカルな笑みを浮かべながらミシェルが言った。


 「酷いなー藍琉。君が不安になってたら可哀想だなと思って見に来てあげたのに」


 前言撤回。この猫神だわ。


 「不安だった不安だったよもうっ!わかってるなら最初から一緒に来てくれれば良かったじゃない!」


 ぁー…どうしよ。安心したら涙が出そうに…。どーでもいいけど私ってホント可愛げのない言い方しかできないのね。ちょっと自分に失望。


 「ダメだよ藍琉。俺がずっと君と一緒にいたら、この世界の他の住人が嫉妬するからね」


 「…はぃ?」


 何だかイマイチ話が見えないんですけど?

 私がそんなにも皆から嫉妬されちゃうくらいミシェルって人気者なの?まあ確かにすんごい美形だけどさ。


 「藍琉は人気者だからねー。君がこの世界に来たコト、住人はみんな知ってる」


 「え…?」


 でも私チェシャ猫以外誰とも会ってない…。それに人気者はミシェルなんじゃないの?


 私の頭の上には?マークがさぞ沢山あったのだろう。

 ミシェルは面白そうににやにや笑いを浮かべて私の様子を伺っていたが、やがて再び口を開く。


 「藍琉―異世界の存在がこの世界に遣ってくれば、住人はすぐにその事に気づく。なんていうかさ、わかるんだよ。あ、誰かきたーって」


 チェシャ猫の言い方からすると、異世界人はちょこちょこやってくるのかしら?

 ん?ちょっと待って。私のこと異世界の存在って言った?てことは何?やっぱここ実は異世界でしたとかそんなありきたりな感じ?


 「ありきたりでごめんねー」


 「うはあっ!だから心読むのやめようよ!!」


 びっくりするじゃん!


 「あははー。藍琉、ここは君が生きてきた世界じゃない。君が今立っているこの場所は、不思議の国の“チェシャ猫の森”」


 「森…?」


 「そ。さっきまで薔薇とかあったケド、ここは歴とした森さ。そんでもって俺の生息地?」


 疑問系?

 まあ話が逸れてしまいそうだしあえてつっこまないでおこう。

 代わりに、聞かなきゃいけないことを今のうちに訊ねてしまわなくちゃ!


 「この森…一体何があるの?森を出たらどうなってるの?」


 「さあね。どうなってると思う?」


 ミシェルはイラッとくるくらいにやにや笑っている。どうやらまともに答えてくれる気は無いみたい…。


 「森の外って言ったって、何処に出るかで何があるか変わるでしょ?俺それらをいちいち説明すんの面倒くさいし、それにキリがないじゃん」


 まあごもっとも。

 愚問だったって訳ね。じゃあちょっと質問の範囲を狭めてみようじゃないの。


 「言い方を変えるわ。私は何処へ行くべきなの?」


 「うーん。藍琉、君は何処に行きたい?」


 聞き返されても困るって!わからないから聞いてるんじゃない。全く。


 「えー?だって君が何処に行きたいかによって俺の答えも変わってくるし」


 「じゃあ白兎とやらは何処へ行ったの!?」


 ひねくれてるわねミシェル…

 流石の私もちょっとご機嫌ナナメよ?


 すると今度の問いかけは彼のお気に召したのか、ミシェルは嬉しそうな顔でポン、と手を叩いた。


 「ああ、白兎ならトランプの城にいるさ。きっと」


 「!じゃあトランプの城へ連れてって!」


 ミシェルはこくりと肯く。


 「分かった。おいで、藍琉」


 ミシェルは私の前に手を差し出し、満足げに笑いながら私の手を取って歩きだした。
































 
















 



こんばんは、朱音です♪

更新しようとふと時計を見たら、あと5分で日付を跨ぐところでしたヾ(・ω・`;)ノびっくりです!

今回は結構早く更新できましたよ☆

チェシャ猫と藍琉の掛け合いは、書いててとても楽しいです♪

携帯で書いてる下書きでは既に他のキャラも出てきているのですが、ミシェルが実は一番動かしやすいです。気ままなところとかがたまに自分と似ていたりするからかな?((笑


さて、次回は新キャラ登場ですっ☆

みんなが知ってるあの子です!

一体誰が登場するのか、予想しながらお待ち下さい♪


それでは皆様、次話でまたお会いしましょう^^ノシ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ