7話 マウンは剣術使い≪模擬試験⑺≫
ぜひ最後まで見てってくださあああああああああいい!!!
「勝者、ベル!!」
わっ!と声が上がった。ベルは少々傷を負いながらも、ドヤ顔をしながら腕を組んで杖を持っているのに、ココは口を押さえて笑っていた。雷魔法使いのヴィアンテはおそらくというより絶対に黒魔術を受けており、今回は魔法を吸収して二倍にして返すという魔法を使ったわけではなく触った相手の魔法が24時間以内に使用したものならばどれでも使える、という結構高難易度の魔法を使って見せたのだ。だが魔力消費が激しく、たまに外して自分が受けることもあったので苦戦していたが、最後の一発で倒していた。気品のある顔には汗が浮かばせ、口を大きく開いてゼーッ、ゼーッ、と息を吸っており、ツヤのある青みがかかったグレーの髪の毛は雷をかすって、逆立てていた。雷魔法使いのヴィアンテは試合会場の床に、顔を埋め込まされていた。ちなみに、最後の一発というのは通称「雷パンチ」だ。グーパンで思いっきり頭を殴ったらしい。
少しするとベルが帰ってきた。服が汚れており、汚れを何度か払っていた。だが席に座らずに二人を見下ろしたような感じで試合場の外の法を指して言った。
「対戦表、見に行こう。」
対戦表の前まで行くと何か人だかりができていた。その中心となる人物の声が先生だったことから何か大事なことでも話しているのではないかと思い、中を見ようとするが、皆平均的に身長が小さいため、その人ごみの中がよく見ることができない。すると後ろの方から背中を軽く叩かれる。驚いて後ろを見るとそこには赤い目に黒い髪、高身長が特徴の貴族、ザウティスがいた。目をまん丸にしてタロウが驚いているとザウティスが口を開いた。
「よう、試合が気になって見に来たぜ。どうだ、勝ち進んでるか?」
そうザウティスが笑顔で言うと取り巻きたちが一瞬でその周りを囲んだ。同時にタロウを突き飛ばして、ニヤリと笑っていたのが見えた。
「んもう、ザウティスさぁ〜んってば気ィ抜きですよお〜。あんなタロウごときに手加減しすぎて負けるだなんて、冗談はほどほどにしてくださいよォ〜。」
手をさすり、ザウティスに向かって猫を撫でている時のような声で話しかけると、ザウティスは困った顔をした。家柄の関係上、下手に手を出せば貴族の位が下がる、そのこととタロウのことを天秤にかけながらにぎりこぶしに力を入れているとその取り巻きを殴った奴がいた。
誰だと思うか?ザウティス?それともベル?まさかのココ?それか反抗を抱いた取り巻きか?いや違う、まさかの本人、タロウ自身が殴った。
タロウはもう故郷も無く、家柄もなければ居場所もない。世界最大のボッチでありながら世界で唯一、貴族社会を恐れない者だった。家族が廃業?知るか、もう村ごとなくなったよ。お前が白い目で見られるぞ?ああ、今まさにみんなからそういう目で見られてるよ。いつか恨まれて殺されるぞ?やりたきゃやればいいじゃん、それをできないお前らが簡単に殺すとか言うなよ。
今まで気が弱くておどおどしていた奴が自分たちを殴り出したのに相当の恐怖心が生まれたのか、足を震わせながらタロウを見ていた。その時、ちょうどシェイドの黒い靄がいい感じにタロウを包んでいたこともあって、コイツはやべえと判断され、取り巻きたちは殴られた取り巻きAは引きづりながらその場を去っていった。
「タロウ!!お前ありがとうな!!俺が手を出したらいけないってことを気づいてくれてたなんて!!本当にすごいな!!」
(え、エーー、私欲で殴ったんすけど)
ザウティスに大きく喜ばれたが実際はそんなことを微塵も思っていなく、ヘコヘコと頭を下げたまま自分の悪口を言われたのがイラついたから殴ったのだが、いつもは怖くて殴ることができないけれど今日はなぜか自信がついて殴ることができた。そして先ほど先生の話が終わったようだが、なんだか皆列を作っている。なんで作っているのか聞いて見たいところだったが、世界最強のボッチ様は当然そんなことができるはずも無く、ただただその列を見ていた。ザウティスあたりにでも聞いてみようかと思ったが、コイツはただ僕に謝りたかっただけで友達でも仲間でもなんでもない、と少しマイナス思考で考えているとそのザウティスがタロウに聞いた。
「タロウ、これ知ってるか?あんまわかんないけど、タロウなら知ってそうかな、と思ったんだけど………。俺ホントの友達少ないし、お前も俺の"友達"だから聞いて見たんだけどサ。」
友達ッ、友達ッ……、友達ッ……………、友達ッ………………………______________。その言葉、エコーするように聞こえたよ。
僕、友達できたのか?できたよね?できたよ?泣いていいかな?だってボッチ代表の座から降りたんだよ?どこかのアイドルグループみたいに「卒業します!!」って言って泣いていいのかな?
「あッ、……ゴメーン、チョットワカンナイヤ。」
白くなり果てたタロウの目にはたくさんの涙が溢れており、口をキュッと締めていた。
どうやら敗者復活戦というものをするということだったのだが(ベル達に聞いた。)、模擬戦で決めるのでは無くくじだと言っていた。いや結局運まかせかーい、と突っ込みを入れつつも勝者である(人生敗者である)タロウはその列をまじまじと見ていた。赤い線で丸を書かれた木の棒が一本入っているらしく、皆それを引いて爆砕しているところを何度も見届けている。ついにここが引く時がきた。可愛い顔をしながら目をかっ開かせてゆっくりと棒を引いている姿に気を感じる。
『アイツ、犬娘って強いか?』
いきなりシェイドが聞いてきた。どうやら犬娘ってのはココのことらしい。
「あんまり直接攻撃とかしなかったからよく分かんないけど、魔法の発動時間は周りの人と比べて極端に少なかったよ。」
犬娘ことココの方を見るとどうやら外れたらしくベルに泣きついていた。シェイドが組んでいた足を逆にし、そのままここを見ながら「ふーん」と答えた。
決まったのは剣術使いのマウンだった。ちなみにザウティスの取り巻きだ。しかもタロウと当たる。苦笑いをしつつもマウンの方を見るとなんだかニヤニヤと笑ってた。
すぐに潰してやるとかどす黒い気持ちを隠さずに目線を向けるとザウティスがその目をなぜか隠した。ザウティスも苦笑いをしていた。
「次は昼食時間だ。ゆっくり休もう。」
ザウティスの言葉にタロウは地面を跳ねた。その目には「食」という文字が浮かんでいた。
最後までみてくださってありがとうございまあああああああああすううううう!!!!!!!!よかったら感想、ブクマお願いしまアアアアアアすうううう!!!!良ければ評価も………………、高望みですね………はい。次回もよろしくお願いします!!