表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽器吹きは元最強竜騎兵の体に転生する〜以外と僕の顔は有名じゃないらしい〜  作者: ポン酢って美味しいよね
1章 マクウル学園1年生<春>
5/10

5話 ココは人懐っこい≪模擬試験⑸≫

ぜひ最後まで見てくださいなあ………。



二回戦が始まった。トーナメント式の対戦表の一番下から赤ペンで勝ったもの名前に丸がつけられ、上に伸びる線をなぞっていった。ここのクラスはちょうどぴったり合計20人で、二回戦で半数が落ち10人になる。3回戦で5人まで落とされ、シード枠を作るために敗者復活戦を行い、見事に勝った人はその3回戦で戦い、3人になってから4回戦まで行くと3人とも総当たりで勝敗を決め、見事に勝利したものは優勝だ。他のクラスは最初の方にシード枠を決めていたらしいがこのクラスは人数により3回戦までシードなしだということだった。まさか自分ことタロウがシード枠に行かせないように3回戦までシードなしにしたとするならば本人は黙っていないだろうと思っている。

対戦表を見ると次の相手はココというものらしい。他の人の対戦表も気になって見ていると後ろの方から尖った高い猫のような声とワンワンと吠える甘酸っぱい小型犬のような声が聞こえた。



「……次は炎魔法使いのイオね、相性的にはいけるわ。」


「またベルは相性とか言って〜。相性も大事だけど運とか、相手の性格とかも大切だよ!まあ私は魔法使いじゃなくて多分、将来は竜騎兵になると思うタロウくんだし……、弾当たらないように頑張らなくちゃ!」



ベルとベルの友達だ。ベルの友達の言葉にタロウはギクリと胸を鳴らす。きっと周りからは「ディスディース家の御曹司を銃で売った極悪犯罪者、タロウ!」として認識されているだろうな、と苦笑いしていると周りにいる男子生徒や女子生徒に何かひそひそ言われているのが耳に入り、今度は笑うことすらも出来なかった。なんとも言えない表情になっているとベルとベルの友達がタロウに気づいたのか「あ」と声をあげてタロウを見ていた。立ち位置としてはタロウ後ろ、ベル達前、という感じだったので振り返ればすぐに気づいた形だった。……まあ少なくとも気持ち悪がられているタロウの周りには人があまりよってこないのだが。



「タロウくん?タロウくんだね!次はよろしくね〜!」


「え、あ、ああ、よろしくです……、えっと……。」



両手をがっしりと握られ、とても可愛らしい笑顔でタロウを見つめた。可愛いと思う。顔も可愛いし、人懐っこそうな性格だし、何より胸がでk………、まあその他もろもろ含めてかわいいなあと思いながら返答するとベルがギラギラした目でタロウを見てきた。目線を一瞬でずらし、名前が出てこないので言葉を詰まらせていると、


「ココよ、ココ。次の対戦相手のココ。」


「あ、ココさん、よろしくです……。」


学園に来てからあまり元気話したことがなかったので幼少期の元気さを取り戻すのは時間がかかりそうだが、自分に話しかけてきてくれる人がいるということで少しずつ元気さが戻ってきた。ベルがジトーっとした目をしながらタロウを見てるとココがタロウを見て何か疑問に思ったらしく首を傾げてワンと吠えた。


「あれ?武器はどこ行っちゃったの?」


「………うあ!!!?」


タロウはそう言われると試合場の恥に置いておいた楽器ケースのことを思い出す。確かさっと解体してケースに入れたはず、と思い出しながら顎を撫でていると急に不安がタロウ心を塞いだ。こうしてはいられないと焦りながら試合場へと走って行った。


ケースを閉めた?リードは外した?リガチャーは外れてない?キャップは落としてないか?いろいろな不安がタロウの足についていき、だんだんと走るスピードを上げていると試合場につき、飛びつくように楽器ケースを見つけ、中身を見た。ケースは閉めてある、リードは………ついてる、リガチャーはついてる、キャップは落としてない、リードだけ問題だったがまあよしとして楽器の手入れを行った。まず菅の中の聖なる水(要するに唾)をスワブという薄いタオルのようなものに先端に重りのついた紐みたいなものが合成しているもので通して中を吹き、汚れや傷ついている場所がないか確認し、キー(ボタンみたいなもの)の動きは悪くないか動かして確認を行い、楽器の表面を磨いたりして全体的にクラリネットを見渡し、コルクが外れてないかと確認すると再びクラリネットを組み立てた。


組み立て終えると既に十八番と呼んでいいあの曲を吹いた。すると遠くの方から再びアサヒがやってくる。キュー、キューと鳴きながらタロウに近づき、横に座ると撫でて、撫でて、と頬を擦り付けていた。よしよしと撫でているとジャックの声が聞こえる。


"タロウ、しばらくの間留守にしててごめんな。お前に話しかけられる機会がなかったんだ。"


顔の見えないジャックにタロウは、


"大丈夫だよ。ちゃんと戻ってきてくれたんだし。"


明るめの口調で答えるとジャックはどこか笑ったような印象を残し、そして声色に悲しそうな印象で言った。


"でも俺が前に出ることはもうできなくなったから、危ない時でも一人で頑張れよ。"


"え?ジャック、それってどういう意味……"


タロウが言い終える前にジャックがいなくなってしまった。不安と疑問を残してジャックは一旦いなくなったが、どう意味なのだろうと考えながら模擬戦のために準備を重ねていった。



「二回戦、一番タロウ対ココ。」


教師がそう言うと左サイドから黒髪青目のタロウが出てきた。左手にはクラリネットを持っている。試合場の中央近くに立ち止まると右サイドから栗髪桃目のココが出てきた。右手には鉄製のものか、杖を持っていた。すると男子のところから「頑張れココちゃ〜ん♡」と歓声が来た。チラッと見ると目にハートを浮かべている男子生徒達が何人もいる。それを見て女子生徒達が爪を噛んでいる。隅っこでベルが頑張れ〜、という声が聞こえた。……あ、なるほど〜、とタロウは心で笑った。なぜならベルが先ほどの対戦であれほど罵倒されていたのはココの友達だから、と気づき瞬間的に察した。


「初めッ!」


そう言うと先ほどのアサヒに教えたことをした。ここで先手を打たれてアサヒに乗れなかったら魔法を打たれてそれで終わりだ。短いフレーズでアサヒが飛んでくるようにするため、出会った的に奏でた曲の一番印象に残るであろう場所を吹いて見せた。ココもそれに気づいたのか魔法を速攻で発動しようと杖を構える。



『ハンド・ステッキ・アイス・ランス』


氷の槍でも飛んでくるのかと思ったが違った。ステッキそのもに氷の槍ができた。タロウとの間合いを少しずつ狭めていき、もう一発打とうとしたがタロウはその1フレーズをみごとに吹き終わり、アサヒが来るのを待つ。その間にもココが魔法を打ってきた。


『ハンド・ステッキ・アイス・ランス・レイン』


氷の槍を手で回すとそこから尖った小さな氷の塊が数十個か現れ、槍がタロウに向くとその方向にめがけて飛んで行った。だが間一髪というところだろう、アサヒがちょうど現れ、タロウを綺麗に乗せて行った。空中戦になれば勝ちだ、とクラリネットを持つ手に力を入れる。が、変形はしなかった。それに驚くとココがもう一発、同じ魔法をアサヒに向けて打った。アサヒは華麗にそれを避けるが、混乱していたタロウの左足に氷の塊が被弾する。一気に血がそこに集中して行くのに気付き、余った手で当たった左足を抑える。まさか、飛距離がここまで届くとは思っていなかったので混乱に混乱を重ねると息が荒くなっていることを感じた。まずは深呼吸をして、避けるのはアサヒに任せて、自分は手にゆっくり、何か巡らせているものを手に集中させるように力を入れ、ふーっと息を吐きながら目を瞑ると見事クラリネットは中距離の銃になった。だが問題は銃弾だ。ザウティスみたいにまた当ててしまって今度は死人が出てしまったら元も子もないので、入っていた銃弾を一応抜いた。だが抜いてしまっては打てない。どうしようかと迷っていると昔、ジャックの言っていたことを思い出した。



"知らないだろうけど、お前の体って魔法が使えるんだぜ。"


"え?そうなの?"


"ああ、しかも特殊で珍しくてとっても面白い魔法をな!術式は…………"



そうだ。ジャックはこの時をわかっててこの魔法を教えてくれたんだな、と今、実感し、中距離の銃を持った手で強く握りしめ、ココを狙う。するとそのココも打たれると思って動揺したのか身構える。そして打たれる前にせめてもの守りとして氷の盾を作っている。そしてタロウは撃った。


『ハンド・ライフル・ゴースト・バレット』


バンッと大きい音がなり、それに合わせてココが氷の盾で自分の体半分を隠すとその氷の盾が壊れた痕跡もなしにココがいきなり体を動かせるのをやめた。ピタリと止まったので皆が驚いていると、まるで氷に全身覆われたかのように体を一ミリも動かさずにぱたりと仰向けに倒れた。もちろん、どでかいマシュマロも揺れることなく。ココが倒れたから数秒したときに教師がココに近づき、3、2、1、と指で示した後、首にぶら下げていた笛で大きな音を鳴らした。


「勝者、タロウ!」


教師がそう言うと皆がえー!!!と叫んだ。タロウは失礼な、と思いながらアサヒに降下してくれと頼み、ゆっくり地面に降りた。試合場で目を開きっぱなしにして倒れているココを心配しながらタロウに叫ぶように問いただした。


「タロウ!貴方ココに何したの!?」


怒っているベルに刺激しないよう丁寧に説明した。


「いやあ、あの僕はですね、珍しい精霊魔法、幽霊魔法が使えるらしいです。それで昔ある人にこの魔法は弾として使えるよ、って教えられて、使いました。多分、あと数分で起きると思います。」


タロウが両手を上げながら私は何もしませんとでも言うように表しながら言うとベルは猫が威嚇するようにふんぎゃー!と鳴く。


「多分って何よ!!」


タロウはその言葉を聞いて冷や汗を垂らした。






幽霊魔法って、ネーミングセンスのかけらもないですね。やばいですね。はい。感想3件ありがとうです。それでも面白かったら感想オネシャスオネシャスですー。よければブクマもです。あわよくば評価………、高望みをしすぎですね、はい。次回もよろしくよろしくですー。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ