第5章 ホリ快から見る「ながら」の今後
快速「ムーンライトながら」の廃止説について、ホリデー快速の運用から検証します。
中央本線E257系の東海道本線転属に伴い、現在185系が受け持っている運用がどうなるのか注目されている。この章では、185系置き換えの動きと併せて検証してみよう。
国鉄特急型車両が定期運用離脱後もずっと残ったように、185系も波動輸送用に残るものと思っていた。そうなれば、車両置き換えのタイミングで廃止が危惧される快速「ムーンライトながら」の存続も見えてくるからだ。ところが、先日発表された夏の増発列車の発表により、そうとも言えない情勢になってきた。
まず、廃止が心配される「ながら」は今夏も運行。ただし運行日数は昨シーズンと比べて微減。運転日減は残念だが、ひとまず安心である。
それよりも重要なのは、土休日に運行される快速「ホリデー快速鎌倉」である。こちらも、今夏は185系6両編成での運行となっており、それは通常と変わらない。ところが、同列車は秋からE257系500番台の5両編成で運行されるようなのである。この車両変更で1両の減車となることに加え、ちゃっかり全車指定席になるらしいので腹立たしいのだがそれはさておき、ここから「『ながら』廃止の可能性」が見えてきた。
E257系500番台への変更がワンシーズンのみであるとは考えられないため、今後はずっとE257系で運行されると思われる。鎌倉号は波動用の185系6R車で運行されているため、これの車両変更が示しているのは波動用編成の運用離脱である。私は、波動用として185系が何本か残ると見ていたが、この発表により波動用も含めた全編成廃車の可能性が高まった。最近、首都圏の臨時列車はE257系500番台で運行される動きが強まっており、500番台で対応できるのであれば無理に185系を残す必要はないことになる。
現在、185系で運行される臨時列車は「ムーンライトながら」「ホリデー快速鎌倉」「はまかいじ」である。鎌倉号は先述のとおり車両変更が決定、「はまかいじ」は今夏の増発列車に名前がなかったため、事実上の廃止となっている。このため、185系の昼間の臨時運用は消滅することになり、残りの臨時列車であればE257系500番台でじゅうぶんに代替可能である。500番台は幕張所属のままなので、185系波動用編成の直接的な後継ではないが、今後も臨時列車に活躍の幅を広げていくと見られる。
「ながら」は以前から廃止が噂されており、「踊り子」の置き換えによってその危機感は高まっている。私は波動用にいくらか残ると思っていたから、それが撤退するまでの向こう数年は安泰であると思っていた。しかし、波動用も含めた全廃が見えてくるとなると、まったく話が変わってくる。
本来関係ないはずの鎌倉号の車両変更は、「ながら」廃止説の根拠となってしまった。存続の可能性があるとすれば、それは「踊り子」用E257系が「ながら」運用に就くときであろうが、それも乗務員訓練が必要なことから望み薄である。
もともと夜間の乗務員・駅員配置による負担が大きいことが廃止説の根拠であり、車両変更ともなれば絶好のタイミングというわけだ。唯一の望みであった、波動用185系の残留も、ホリデー快速鎌倉の車両変更によって事実上否定された。
「ながら」が本当に廃止されるとすれば、運行は最速で今夏がラスト、遅くとも来春までだろう。冬の臨時列車プレスリリースに「ながら」の名があるかどうか注目される。