第4章 E257系 編成組み替えの展望
ここからは、E257系転用の発表後に執筆した部分となります。
2018年5月16日、JR東日本より、中央本線特急のE353系統一と、それに伴うE257系0番台の「踊り子」転属が公式に発表された。ここまで私が書いてきた置き換え予想はすべて無駄となったので、それらはすっかり忘れていただき、ここからは運用などについて予想していきたい。
第1章では、E257系転用に関して、編成組み替えが必須であることや、グリーン車が半室であることを理由に否定的な立場を取った。結果的にE257系転用が公式に発表され、おまけに中央本線特急はすべてE353系に統一されるとのことなので、私の予想は大外れだったわけなのだが、ともあれ、同車の転用で「踊り子」がどう変貌していくのかは、今後もっとも注目したいポイントである。ここでは、編成数やグリーン車などを中心に予想していく。
<編成数が185系時代と変わらない場合>
現在、「踊り子」の185系は10両編成が6本、7両編成が3本、5両編成が6本在籍している(2018年4月)。これ以外に波動用に8両編成1本、6両編成5本、4両編成2本が在籍している(同)が、ここでは波動用を除いた111両15本について考える。
これらの編成は、伊豆急下田行きが10連、修善寺行きが付属5連、臨時便などで7連が用いられ、それらを組み合わせて15両や12両で運行することもある。この項目では、下図の185系編成表をもとに、E257系0番台で同様の編成を組成すると仮定して考える。
第1章で示したとおり、0番台は9両編成+付属2両の11両編成であり、編成組み替えが必須だ。一部では500番台の転用も予想されていたが、今回のプレスリリースでは言及されていないため、0番台だけで組成するものと考えられる。
10両編成に組み替えるには、付属の2両のどちらかを抜いて、基本編成に編入すればよい―――それだけに思えるが、実際にはそうもいかない。
付属編成はいずれも運転台を持った制御車であり、これらを中間車として組み込むと編成中に運転台が多すぎてしまう。いちおう、松本寄りのクモハE257は簡易運転台のみで一見 中間車にしか見えないため、これを中間車扱いして基本編成9両に組み込むことも不可能ではないだろうが、E257系0番台は比較的本数に余裕があることから、他の編成から持ってきた中間車を組み込むものと思われる。
下図のとおり、編成ⅠとⅡを例に考えていく。
まず、方向転換によって11号車が伊豆急下田・修善寺(以下:熱海)方とする。次に、編成Ⅰの10号車のモハE256を編成Ⅱの6号車と7号車の間に組み込む。このとき、編成ⅠⅡとも付属編成2両は外しておく。
これで編成Ⅱは10両編成となり、早くも10R車が完成した。
続いて、モハを1両抜き取られた編成Ⅰから、5R車を組成する。
8両となった編成Ⅰは、9号車のモハE257、8号車のサロハE257、6号車のモハE257の3両を抜くことで、5R車を組成することができる。
まとめると、2本の基本編成を組み替えることで10R車と5R車を1本ずつ作ることができるというわけだ。
185系は10R車・5R車がそれぞれ6本ずつあるので、これの置き換えのためにE257系を12本使った。E257系自体は16本あるため、まだ4本が丸々残っている。今度は、これを使って7R車を組成する。
今度は簡単で、付属編成2両と7号車サハE257、6号車モハE257の計4両を外すことで完成である。185系の7R車は3本なので、E257系3編成を使って組成すればよい。
これで、現在 通常運用に就いている185系を置き換えるための編成が完成した。この組み替えで付属編成の全5本と大量のモハ、そして丸々手をつけていない編成が1本残った。手つかずの1本はともかく、それ以外はパンタグラフ付きの電動車と制御車ばかりで信じられないほど使いにくいので、廃車の可能性もあるし、一部を電装解除した上で波動用の編成に回す可能性もある。
さらなる編成組み替えの余地としては、先頭車が挙げられる。「踊り子」転用に合わせて先頭車を非貫通タイプに統一するのだとしたら、東京方のクハE257(貫通タイプ)を付属編成のクハE257(非貫通タイプ)とトレードすることになるはずだ。
なお、これはあくまで素人が機械的に組み替えたものなので、本当にこうなるかは なんとも言えない。
<減車される場合>
そうは言っても、この組み替えはかなり大がかりなので、いっそのこと減車される可能性もある。第3章で示したとおり、伊豆方面は高級化が加速しているため、相反する「踊り子」にそれほど力を入れられるだろうか。
減車されるとしたら、基本編成はいじらなくても済むよう9両、下手すればさらに短くなるかもしれない。付属編成の5両は修善寺行き専用であるため、これに関しては修善寺行きの存続がポイントだ。もし修善寺行きが廃止された場合は、そもそも付属5両が不要となってしまう。さらに7R車は、基本編成が減車されればそれほど需要はなくなるため、これも基本編成で代用される可能性がある。
と、減車されると、上記の編成組み替えと比べて圧倒的にアッサリ終わってしまう。私の意見としては、編成組み替えよりもあり得そうだと思う。
<グリーン車>
E257系転用に立ちはだかる最大の壁は、グリーン車の問題だろう。E257系0番台はグリーン車が半室構造であるため、最大で2両丸々連結されている185系の後継としては合致しないところがある。
伊豆は古くからの観光地であり、かつては普通電車にもグリーン車が連結されていたほどなので、廃止される可能性は低そうだ。しかしながら、同時期に全車グリーン車の特急が走るとなれば、話は別である。
新規投入されるE261系が全車グリーン車をウリにしている以上、比較的 大衆的な存在の「踊り子」はグリーン車が縮小ないしは廃止される可能性がある。
縮小される場合は、種車どおり半室グリーン車のままで転用、廃止の場合はサロハE257が廃車となるだろう。半室グリーン車を全室に改造する可能性に関しては、私は否定的である。というのも、明らかに窓割りがズレてしまうため、景色のよいところを走る列車としては決定的な欠陥だからである。第3章ではグリーン車のみの新規製造にも言及したが、これも20年というビミョーな車齢から言って、可能性は低い。
私は、半室構造のまま運用されるのではないかと予想している。
追記:2018年5月27日、軽微な誤字修正を行いました