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特急「踊り子」185系の後継車検証と今後  作者: 飛べない豚
後継車予想編
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第1章 E257系転用説

 言わずもがな、最もメジャーな説である。

 インターネットで「踊り子」の185系置き換えについて調べると、ほとんどこの情報しか出てこない。公式発表こそないものの、一部メディアでは早くも報道されており、もっとも可能性の高い説だといえる。

 E257系には、中央本線で使用される0番台と、千葉地区で使用される500番台があるが、多くの人は0番台が中央本線から東海道線に転属し、編成組み替えの後に「踊り子」に運用される、としている。また一部では、多くの余剰車よじょうしゃが発生している500番台で185系の付属編成を置き換える、という説もあるようだ。この章では、E257系転用説について、主にこの2つに注目して検証していきたい。


 まず、E257系の中央本線撤退の根拠となるのは、同線の新型特急「E353系」の登場である。E353系は2017年12月に特急「スーパーあずさ」としてデビューし、翌2018年3月には従来車をすべて置き換えた。公式には、同車を今後増備する計画は発表されていないが、一部報道ではE353系が今後E257系も置き換え、中央本線の特急を同車に統一する、というものがある。ここで押し出されたE257系が、改造されて「踊り子」運用に就くというのが、この説だ。E257系は製造から20年程度と比較的若く、構造もJR東日本の標準タイプ・汎用型なので、185系の後継にはぴったりに思える。

 この説の背景にあるのは、JR東日本が全体的に車両統一の動きを加速させていることだろう。確かに、東北新幹線はE5系に統一されてきているし、常磐線も2種類あった特急型車両を1種類の新型で統一した。

 しかし、常磐線特急の例と絶対的に違うのは、E353系が特殊な構造である点だ。E353系は、カーブの多い中央本線でも高速運転ができるように、車体傾斜装置しゃたいけいしゃそうちというものを搭載とうさいしている。E257系も走る区間は同じなのだから、それがどうしたと思うところだが、E351系のデビュー当時まで振り返ると、必ずしもこの説が正しいとは言い切れないのだ。

 E351系は、中央本線の特急の高速化が目的で開発されたが、特殊設計ゆえの高価な製造費などがわざわいし、中央本線の特急車両をすべて置き換えるには至らなかった。国鉄型の従来車はその後も残り続け、それらの定期運用離脱りだつは2000年代に入ってからとなった。しかも、後継車は振り子式装置をもたないE257系であり、結局E351系の生産は12両編成5本で終了している。これを現在のE353系に重ねてみると、必ずしもE353系で中央本線の特急を置き換えるとは限らない。もしE353系がE257系を置き換えなければ、「踊り子」に転用されるという前提が、そもそも覆ってしまう。


 E257系による置き換え説の反論は、これだけではない。

 同車の決定的な問題は、編成である。特急「踊り子」の185系が10両編成を基本としているのに対し、E257系0番台は9両基本編成+2両の付属編成という構造になっている。185系には5両の付属編成や、7両編成のものもあるが、いずれも0番台とは合致しない。0番台が「踊り子」に転用される場合、編成組み替えは必須である。

 もっとも、これは現状の10~15両編成での運行が続けられるという前提での話。車両置き換えに合わせて基本7両編成程度に減車される可能性も否定しきれないし、そうなれば、そもそもこの問題は発生しないことになる。

 ちなみに付属編成の後継として目されているのが、房総半島で活躍するE257系500番台である。500番台は、183系の後継として導入されたが、道路網の拡充かくじゅうに伴う特急衰退によって5本の余剰車が発生しており、うち4本の活用は未定とされている。500番台はすべて5両編成であり、「踊り子」の付属編成の後継には最適である。0番台とは正面デザインが異なるだけで、車内設備の相違そういは少ないので、0番台とともに転属するのであれば、ありえない話ではない。


 さらなる反論を挙げるとすれば、グリーン車の問題もある。現在「踊り子」に使用されている185系のグリーン車は、7両編成には1両、10両編成には2両連結されている。いっぽう、E257系0番台は半室グリーン車が1両あるのみである。500番台に関してはそもそもグリーン車が連結されていないため、編成組み替えで解決することも不可能。普通に考えて、E257系を転用するにはグリーン車化改造も必要となってくる。しかし、普通車をグリーン車に改造すると、窓割りが合わないといった問題も発生する。

 では、グリーン車1両を完全に新造するのはどうだろう。この場合、0番台の基本編成9両+新造1両で10両編成が組成できるが、今さらグリーン車を新造する可能性は低い。

 しかしこの問題も、グリーン車の縮小によって解決できる。「踊り子」のグリーン車を半室化ないしは廃止するとすれば、やはり問題は発生しない。


 多くの報道があるように、185系の後継がE257系となる可能性は高い。しかし、実際には編成数やグリーン車の処遇しょぐうがポイントとなりそうだ。

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