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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パーティーメンバーがみんなで一緒に・・・

作者: さゆき 諸星

(ユエ)さんという方が書いたエッセイが、ネタ元で一日で書いたハーレム物短編です。

どんなエッセイかはネタバレになるので、後書きにて。

「「「「おめでとうございます!」」」」

 何か良い事があったらしく、女の子達が手を取り合って、お互いに祝福しあっている。

 女の子達が、キャッキャッとはしゃいでいる姿は、華やかで良い。

 本当にうちのパーティーのみんなは、いつも一緒で仲が良い。



「ありがとう、みんなとはこれから別々になっちゃうけど、これからもずっと仲間だからね」

「お互いに使命を無事に果たして、家族にやっと良い報告ができるな」

「まだ気が早いですよ、おとうさまや本家の大旦那様に無事に顔を見せられるまで、油断は禁物です」

 あれ?なんでお別れの言葉を、っていうか実家に帰る話になってんの? まだまだ旅も半ばなのに。


「なんだかみんな嬉しそうだね、何か良いことあった?」

 さり気無く聞いたつもりだったけど、顔を見合わせて黙っちゃった、なんだコレ?



 僕たちは今、魔王を討伐する為に旅を続けている真っ最中だ。


 受験を目前に控えて、親や教師に進路をやいやい言われていたある日、俺はこの世界のクシノハ国に勇者として召喚された。

 そして王様と、何より綺麗で可愛い王女様に、

「勇者様!この世界を魔王軍の脅威からお救いください!」

 ってお願いされてしまった。


 その王女様が第四王女メーリールウ、僕 伊村昇吾の婚約者だ。

 途中までは、

「私達の勝手な都合で、イムラ様だけに苦難を押し付ける訳には参りません」

 って、魔法使いとして旅に同行していたんだけど、遭遇する魔物や魔族がどんどん強くなるので、本人は泣いて嫌がったけど王宮に帰らせた。


「大丈夫だよ、僕は勇者だからな!魔王を片付けて帰ってきたら、結婚式だ!」


 魔法はもちろん、剣術だって素人だったけど勇者補正って素晴らしい。

 学校の勉強は頭に入らなかったのに、魔法の習得は常人の数倍のスピードで習得したと、指導に当たってくれた老導師に絶賛された。

 普通の四大属性だけでなく、神官にも滅多にいない神聖魔法も使えたので驚かれた。

 この世界では魔法が使えない奴は、王族や貴族でいられないらしい。

 貴族の令嬢たちにはすっげえチヤホヤされた、男共には妬まれた。

 剣術も格闘技も乗馬もあっという間に習得して、王宮内の騎士でも僕に勝てる奴はいなくなった。


 パーティーの女の子達は外見も性格もみんな可愛い、元の世界で僕のことを『(いも)ラ』と呼んでた性格ブスで顔面並盛の一山いくらな連中とは大違いだ!


 ただ、僕のパーティーは女の子のメンバーが居着かない。

 レベル3〜5位の女の子が入れてくれって押しかけて来るし、元から居たメンバーとも仲良くしてくれて、僕から特に何もしなくても、とんとん拍子に常時四から六人でハーレムを形成していたんだけど。


 ある程度レベル上げをして、これならもう少し魔族領寄りに進路を進めてもいいかなって、思った頃に、

「「アタシ・わたくしでは足手まといです」だ」

 と、辞めて行ってしまう、パーティー全体の強化が振り出しに戻るので、正直言って凄く困るんだけど、同行の騎士やへーたん(••••)係の荷物持ち兵士は、危険な旅なので本人が無理だと言うなら、強要は出来ないと口を出してくる。


 残っている方の女の子が、実はイジメでもしているのかと疑った事もあるけど、次から次へとやって来て居る間は笑顔で仲良く、分かれる時も女の子同士で涙ながらに名残を惜しみながら送り出す。

 ただ、今度は全員で辞めると言い出した。


「君たちはもうレベル30を超えただろう?実力的には十分だ!何で辞めるなんて言うのさ?」

 旅の後半から参加したメンバーは元からベテラン(おばさん)だったのもあるけど、勇者パーティー補正の恩恵だ。

 この世界ではレベル30超えは一つの目安だ、騎士団にもギルドにもこんな人材は滅多にいない。

 ここまで育ててやるのに、僕がどれだけの時間と手間をかけたと思っているんだよ!


「ステラ、上級魔法も使えるようになったから、僕の力になってくれるって言ってたじゃないか」

 ステラ・ホッザム

 僕のメーリー王女と交代で派遣されてきた宮廷魔術師、子爵家の生まれらしいけど二十歳過ぎは行き遅れらしくて、家に居場所が無いって言うからパーティーに置いてやった。

「魔法職ならエルンストもいるでしょう、もう無理なの」


「キリア姐さん、姐さんがいないと前衛が支えられないよ」

 キリア(姓無し)

 冒険者ギルドで声をかけてきた、槍を得意とするベテラン女傭兵。

 並の男よりデカいマッチョな筋肉姐さん、男らしいけど色気は無い、でも未亡人。

「身体がもう無理がきかないんだ、負担が大き過ぎる」


「マリーナ、君がいないと誰が僕の傷を癒してくれるのさ」

 マリーナ(姓無し)

 田舎の小さな神殿から『どうしても』って、くっついて来た回復役。

 この間僕のおかげで僧侶から上位職の神官に昇職(クラスアップ)した。

「・・・・・・」

 俯いて答えてくれない、代わりにステラが、

「ダリアの薬があるでしょう」

 とか、庇う。


「君達もいなくなっちゃたら困るよ、鍛冶屋のテルマも弓兵(アーチャー)のライラも商人のサラもパーティーから抜けちゃったのに」

 ずんぐりむっくりのドワーフ娘も、食事にうるさい偏食(にくきらい)エルフも、獲物の解体から売却まで手際よくこなしてくれた狼の獣人娘も、旅の間は僕のパーティーに入れてもらって感謝しているって言うくせに、ある日突然手の平を返して辞めていく。


 三人が辞めたら、残るのは薬師で羊獣人のダリアだけになる。

 レベル8で錬金術師に昇職するのはまだまだ先で、戦闘力も全然イマイチ、家事位しか取り柄が無いけど、日本人の僕基準だとその料理も、これまたイマイチ。

 羊の角のせいで魔族呼ばわりされて、住んでた村の村長に奴隷に売られて、奴隷商にも買い手がつかないからって、鉱山送り寸前ギリギリに救ってあげた。

 だから、ダリアは裏切らないだろうけどね。


「ここで投げ出すなんて、魔王討伐の旅を何だと思っているんだよ!」

 みんな無責任だろ。


「何だと思っているんだ、は、こちらのセリフだ」

 キリア姐さんが低い声で言った、今怒っているのは僕の方だっての。

「「私たち、赤ちゃんができたの」」


 ・・・・・・え?


「妊婦に戦えるわけがないだろう、転んだだけで命にかかわるんだぞ」

「世界中で魔王軍に、どんどん人々が殺されているのよ、せっかく授かったこの子は大事にしたいわ」

「これから力になれなくてごめんなさい、でも、貴方の赤ちゃんを産みたいの」

 キリア姐さん、ステラ、マリーナが口々に言い募る。



 ・・・え?ええ??赤ちゃん?僕、まだ十代なのに父親?三人も?


「うそ、なんでそんなのができるの?」

 驚く過ぎてポロっとこぼれちゃった言葉に、三人の雰囲気が一変した。


「『何でできるのか?』だと?(おまえ)の行いの結果だろうが、私達を戦えない身体にしたのは、誰だと思っている?」

 いや、同意の上だよ?

「赤ちゃんを『そんなの』って言い方はあんまりです!」

「酷い!『嘘』だなんて!なぜ疑うんですか?」

 いや、身に覚えはあるけどさ、そんなの困るよ。


「魔法で予防出来るって言ってたじゃないか、そうだ、それこそ魔法で今からでも中止()められないの?」


「「「とめる、と言うのはどういう意味?」」だ?」

 槍や魔法の攻撃から、僕は一晩中逃げ回って、翌朝怒った彼女たちは、そのままいなくなった。


 ★ ★ ★ ★ ★



「あの勇者様、俺達も居るって分かっているのかね?

 俺達は勇者に勧誘された訳じゃなく、国から給料貰って随行しているわけだが」

 と、宮廷魔術師のエルンストがボヤく。


「視界には入っていないと思うっス、元はしがない歩兵の俺も今ではレベル50超えなんスけど」

 平民の荷運び役のベンですら、強弓に三本同時に矢をつがえて獲物を貫くような、非常識な芸当が可能になった。


 長い旅の間に、男性陣の面子はほとんど変わっていないので、本来ならば身分という厳然たる壁があるはずの彼らも、気安く話せるようになった。


「勇者様の八つ当たりの矛先が、こちらに向かって来ないだけましと言うものです」

 同行の男性神官オルタイドは達観したように、赤子の頭程もある宝珠の付いた、重たげな杖でデミゴブリンの頭部を淡々と叩き潰す。


「視界に入っていないのは確かだな、まあ彼女達がぬけたパーティー枠に入れてくれただけマシだ、成長速度とやらが確かに違う」

 騎士団から派遣され、かつては剣術の指導に当たっていたダン・カルテスも、勇者補正(おしえご)恩恵(チート)に預かるのにも、開き直った。

 今も勇者ショウゴは、単独で突出してオーガの群れに切り込んでいる。


「あ、今、切り飛ばした三体の真ん中、特殊個体じゃないっスか?」

「勇者の戦闘能力に関して(だけ)は本当に高いな」

 女の子がパーティーに参加する度に、勇者本人を別にすれば七人しかない枠から外されてしまうのだが、定員に空きが出来れば、又戻される。

 おかげで、強力な魔物と戦いながら周囲に目を配ることも、雑談しながら余裕で出来るようになった

「オーガクイーンだな、この群れの規模だとキングもいるな」

 オーガだけで百体以上、それにつき従うデミゴブリンその他、軽く絶望出来る光景だ。


 いつもは周辺住民の被害も気に止めず、『女の子達のぱわーれべりんぐ用にとっときたいから、手出ししちゃダメ』とか、寝言を言う勇者様もこの勢いなら、夕刻までには群の殲滅を終えるだろう。




 勇者ショウゴが、子守役(ベン)と夜の街にくり出すのを見送って、オルタイド達残りの面々は、一息付くことができた。

「ダン、貴殿の甥御殿はその後の様子は如何ですか?」

 女性三人を、この国の王都の転移門へ送り届ける際、クシノハ国へ報告を行い、代わりに家族の様子を知ることが出来た。

「ショウゴが王都にいた(レベル一桁の)頃の子ですから、どうなることやらと案じていましたが。

 僅か二歳で猟犬に負けない速さで走り回るので、乳母が苦労している様です」

 生まれた子は長兄の庶子とされて、ダンの妹は他家に嫁いでしまったので、無尽蔵な体力に任せて屋敷の敷地の外まで、実母(いもうと)の姿を探し歩いて大の男でも追いかけるのが大変らしい。


「マリーナ殿のお子にも、神聖魔法が授かるとよろしいですな」

 途中の国から参加した、(ひら)神官のマリーナが実はオルタイドの従姉妹なのを、勇者だけが知らない。

「マリーナの無事がまず第一ですが、彼女の苦労が報われるのを願うばかりです」


 この世界では、魔力の無い者は貴族でいられない、領地と領民を守る義務を負いきれないのだ。

 それなのに、騎士も魔法使いも神官も、勤めを果たす為の能力を持たずに生まれて来る子供が多くなった。

 だからステラ・ホッザムは女の身で、危険を(かえり)みず勇者一行を追ってきたのだ。


 勇者ショウゴは、知らない。

 勇者がクシノハ王宮に滞在していたころに、周囲にいた令嬢達の一人がダンの妹なのも、他にも何人も子供が生まれている事を。

 旅の途中まで同行した、第四王女の産んだ女児がそれよりももっと高い、誕生時点でとんでもない魔力値を記録したのも、その子が兄である王太子の愛妾の子として届出が出された事も。


 それを聞きつけた同盟国が、行く先々に若い女性を配置して待ち受けていることを。

「まさかドワーフやエルフにまで子供を授かるとは、いやはや勇者補正とは大したものだ」



「騎士キリア殿もやっと跡取りを腕に抱くことができますな」

 異世界人のショウゴは気がつかなかったが、キリアは傭兵などではない。

 傭兵は女でも男に負けず身なりに気を遣わず汚い、普通は着替えなどの余分な荷物を持ち歩けないのだから。

 彼女の入り婿の夫が、魔王軍との戦いで半身不随だ、産まれる子供は家の跡継ぎになるだろう。



「今回は三人同時に抜ける事になって焦りましたな、幸い勇者ショウゴは、ハーレム、ハーレムと、相変わらず浮かれていますが」

 今この時も、夜の街で用意された『新しい』女性相手に、『人助け』などしている事だろう。

「そもそも、彷徨(さまよ)後宮(ハーレム)なんて可笑しいでしょう」

 目的のある旅である以上、拠点などは構えようが無いが、勇者ショウゴは彼女たちを養うどころか、宿代食事代を負担した事も無い。

 むしろ彼女たちに、様々な物を貢がれている。


 勇者ショウゴに同行する者達も鍛えられるが、

「一番最初に生まれた子供も、まだ二歳ですが、

 これまでに生まれた子も、これから授かる子も、勇者の血筋ですから。

 さぞかし身体能力や、魔法の才能に溢れた子供ばかりになる事でしょう」





 みんなで一緒に仲良くしよう?

 宮廷魔導士の令嬢、魔法を使えることが貴族の存在価値。

 未亡人だと思っていたら、人妻だったでござる。

 そして誰もいなくなったハーレムww


テンプレハーレム物を書くのが、自分でもこんなにストレスになるとは(>_<)


上記のエッセイは(ユエ)さんの『ハーレム物が苦手な私にとってのハーレム定義とは』という作品です。

『ハーレム表現が嫌いな人も、読者の中にはいるんだから、避けたいからタグはちゃんと付けよう』と言う内容で、それに対して『そもそもなろうのハーレムは、正しいハーレムではないですよね?』と書き込んだ所から始まりました。


魔法を使えなければ、貴族に非ず、な世界なのに、魔法使いも騎士も必要なスキルや身体能力が、代を重ねるにつれて、どんどん劣化している、裏事情。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんなハーレムは嫌だ~。 でもリアルを追及したらありえそう。 そのうち勇者の血筋じゃないと貴族になれないとかって事になりそうですね。
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