第23話 謎の変死体
返ってきたのは予想外の驚いているような反応だった。
こんな反応を返されるとは思わなかった。
純粋に驚いている。
むしろ困惑しているようなそんな感じ。
もしかしたら、この学校の生徒はそう言った仲間意識が薄いのかもしれない。
そういえば結月さんが窮地に立っても助け舟を出そうとする者はいなかった。
むしろ批判の声を上げるものばかりで・・・。
さっきまで友達然として仲良さげにしていた李留でさえ、
自分の席で遠い視線を向けるだけ。
ただここまで忘れていたことではあるが、この学園の性質上当然と言えば当然だろう。
この目の前にいる真面目そうな少女も、結月も李留にしても。何らかの罪を犯してここにいるのだ。
人の事など気にも留めないのだろう。
むしろ今の俺のような行動をとる者の方がここでは異端なのではないだろうか。
こんなところで目立ちたくはなかった。
なるべく目立たずにこの学園を卒業することが最優先事項であった。
「セ、星加ちゃん・・・。ありがと~」
しかし、庇われた結月はすごく嬉しそうに俺の腕に体を摺り寄せてくる。
よほど、心細かったのかもしれない。
そして目の前にいる真面目な彼女もそんな俺たちの姿を見て
ややあきれたような表情を浮かべる
「もういいわ。これからは気をつけなさいよ」
彼女はその言葉だけを残して去って行った。
あの後、俺は結月から感謝の嵐を降らされた。
途中から天使や慈愛の女神など変なあだ名まで付けられる始末。
まじめな少女のおかげもあってか、声のトーンはほんの少しだけ下がりはしたものの、
テンションが高かったため、体感する音圧はさっき以上だった。
正直疲れた。
同時刻。
星加たちのいる教室の上では事件が起きていた。
「神座先生・・・。こ、これやばいですよね・・・。」
「ああ。誰の仕業かは知らんがこれはさすがにひどすぎるな。
日和先生、悪いがこの屋上に生徒が入ってこないようにしておいてくれ。」
日和先生と呼ばれた方の先生は今にも吐いてしまいそうに青ざめた顔ではあったが、
もしも今、目の前に広がっている光景を生徒たちが見るようなことになってしまえば、
自分が今感じている不快感を感じるだろうし、トラウマになってしまうだろう。
そう思い、神座先生の言う事に従い、重い足を引きずりながらドアへ近づき、手を当てた。
その瞬間、ドアに突如として文字が浮かび上がった。
「生徒の入室禁止」と。
日和澪 能力:施錠(手を当てた扉から任意の対象を入ってこれなくする)
「か、神座先生。で、できました。」
「そうか。それでは君はそこでゆっくりしておきなさい。検証を開始する」
神座先生の瞳の奥が光る。
神座幹人 能力:検証(その瞳で見たものの最期の瞬間から5分間の様子を見る)
目の前にある”物体”を見る神座先生
正確にはそれは人間ではあったが、既にそれは人間の形を成してなどいなかった。
大きなキューブ上の肉の塊。




