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3つのルール  作者: アキラ
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第1話 入学

ここ、天崎学園には3つのルールがあった。

1、自分自身でルールを3つ作ること

2、自分自身のルールを他人に適用してはいけない

3、自分自身のルールは10人までなら教えることができる。


単純に考えれば、何の理由があるのか全く分からないこのルールだが

「このルールを一つでも破ったものには、即座に殺す」または

「学園規則を改定もしくは無視しようとする者にも同様」

という厳しい罰則が付いている。

故にこの学園のことを外部の人間はこう呼ぶのだ。「3規則学園」と


普通の人間であれば、この学園に入学することはできない

なぜならこの学園は刑務所なのだから・・・

だからこそ、殺すことも刑の一環として許容されているのだ。


そして今日もまた新たな新入生がこの学園の門をくぐり、

命を懸けた自分ルールに縛られることになるのだった。


「おい。お前!!何ぶつかってんだよ!あ?」

入学初日、俺は目の前にいる不良に絡まれていた。

不良は”俺”にぶつかられたということを理由に、俺の首根っこを押さえつけてきた

だが、この理由が正しくないことを俺は知っている。

こいつはさっき入学式を終えてからずっと、俺の後をついてきていた。

そして、俺が少し探りを入れようと人の少ない方へと動いた時に

こいつが後ろからやや駆け足でぶつかってきたのだ。


そう、これはどう考えても計画的犯行だった。

大方、日頃のストレスを解消させるためにこんなことをしたのだろう。

もう少し賢くなればいいのに・・・。


俺がそんなことを考えながら、不良の言葉をことごとく無視していたからだろうか

不良はあからさまに顔を赤くしたかと思うと、腕を振り上げてきた。

「お前、無視こいてんじゃねぇぞ!!」

全く知性のかけらも感じ取れないようなことを言いながら、彼の拳は俺の眼前に迫ってきた。

(こんなところで騒ぎを大きくするのは得策ではないな。はぁ、めんどくさい)


「うっ!!」

呻き声が聞こえた。

だがもちろんこの声は俺の声ではない。

声の主は何が起きたのかさっぱり分からないようだったが、それを説明してあげる義理は俺にはなく

俺はその呻き声を上げながら倒れ込みそうになっている人物を肩で支えた。

そいつは当然、驚いたような表情を浮かべてきたので、俺は彼の耳の近くで囁いた。

「俺に関わるな。次は殺す」

あまりにも機械のような無機質な声でそれを言ったように聞こえたのだろう。

彼は恐怖を体感した時の表情になると、俺が支えていた体を俺から強引に離し、そのまま逃げていった


「ふぅ、やれやれ。あんな無知性な奴と初日から関わることになるとは、全くついていない」

俺はその言葉を誰にも聞こえないような声で呟くと、足早にその場を離れた。


「へぇ~、あの子、強いじゃん!不良ごときでは動じないってことね。それだけ大きな罪を犯したのかしら・・・」

一部始終を見ていたのだろう。少女は不良を撃退した少年の後姿を見入るように眺めながら、彼女の後ろに座る人物にそんなことを言っていた。

しかし、その人物からは何の反応もなく、少女はため息をついた。


「今日からはここが俺の教室か・・・。」

俺はひとまず明日からの学園生活に備えるために、教室へと足を運んでいた。

教室のドアは思っていたよりも新しくて、ドアを開けると教室内の設備も新しかった。

「わ~、君も明日から同じクラスなのぉ~?」

思わず俺は驚いてしまった。

それもそのはず、俺は教室に誰もいないと思っていたにもかかわらず、誰かが声をかけてきたのだ

そして俺は平静を取り戻すと、声の聞こえた方を見た。

すると、少女がにやにやしながら、こちらを見ていたことに気付いた。

彼女は童顔なのだろうか、どう見ても中学生にしか見えない。

まあ、そう考えるのにはもう一つ理由があり、彼女の来ている制服はおそらくSサイズであるにも関わらず、彼女の体はそれよりも小さいからか、ダボダボであたかもお姉さんの制服を着た年の離れた妹のように俺の目には映っていたのだ。

少女は、不思議そうな表情をしていた。

「ねぇねぇ~、君なんでだんまりなのぁ?クラスメイトになるんだからさ、話そうよぉ」

不審に思ったのか、少女はそんなことを言ってきて、

(ここでどこかに行けば絶対に明日他の生徒に言われてしまうことだろう。そうなれば、めんどくさいことが増えてしまうだろう。)

彼女に聞こえない程度のため息をそっとついて、彼女の問いかけに答えようと思った。

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