幼女の日常
「おんりゃぁ~~~。」
「とんりゃぁ~~~。」
ドタバタ、ドシンッ、ドスンッ。
どんどん俺の前に積み上がっていく魔物の死骸。
その魔物達の前には、一人の幼女が立っている。
「リリアナパイセン! 今日も凛々しいっす!!」
「....雑魚ばっか。」
幼女もとい、リリアナちゃんが、眠たそうに目をこすりながら、俺の腕の中へと駆け込み、眠りへとつく。
朝一から、ずっとこの調子で、もう、五時間は魔物を倒していたのだ。
そうとう疲れたのだろう。
「それにしても、やっぱり、何者なんだ?」
腕の中の幼女をみて、目の前の魔物の山を見る。
魔物達は、闘う力のほとんどないこの街を標的にして、どんどん突っ込んできたのが今朝の事。
それを、一人で片ずけたのがリリアナちゃん。
アイーシャさんは、朝にはめっぽう弱く、俺が起こしに行ったら、逆に魔物ではなく、寝ぼけたアイーシャさんに殺されそうになった。
何とかアイーシャさんから逃げ切ると、いつの間にかリリアナちゃんが魔物と応戦していたのだ。
その強い事強い事。
あっと言う間に魔物を片ずけるリリアナちゃんの凛々しい事。
「はぁ~、俺も寝るかぁ~。」
俺は、あくびをし、リリアナちゃんを抱き上げると、二度寝をするために、家えと歩きだしたのだった。
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「誰ですか?この人。」
「だあれ?」
起きたばかりのアィーシャさんと、まだ眠たそうなリリアナちゃんが尋ねる。
だが..........、
「俺にも分からない。」
と答えようがない。
目の前には、白いローブを纏った金髪美女がいる。
「はじめまして。私、細川 香 と言います。」
「えーと、向井 真一 です。」
金髪美女は細川 香さんと言うようだ。
実は、家に帰っているときに、偶々行き倒れているのを助けたのだが....。
「なんであんな所に倒れてたんですか?
あと、どうして金髪なのかも聞きたいんですが...。」
恐らく、名前から察するに勇者なのだろうが、今まで黒髪の勇者としか会ったことがなかったので、勇者は日本人だけだと思ってた。
「私も、日本人なんですけど、クウォーターで、金髪なんです。
それと、倒れていたのは私のスキルに少々、本の少し、ちょびっとだけ、問題があったからです。」
「スキルに問題? ちょっとスキルを見せてもらっても?」
「は、はい.....。」
そう言ってコマンドを開く。
『 ホソカワ・カオリ
スキル
:惑星落下
:隕石落とし
:終焉の始まり
:地球の漫画好きなもの読み放題
:一回だけくしゃみを我慢できる
』
思わず絶句する。
「...................。」
「...................。」
何だろう、控えめに言って言葉が見つかんない。
「おかしいですよね。 こんなスキル、魔王の方がよっぽどマシ。」
自分で自分にトドメさしたーー!?
これで俺にどうしろと!?
って言うか、最後の2つどう考えても魔王退治に必要なスキルじゃなくない!?
「ぷぷっ、よくこんなくだらないスキルばっか取りましたね。」
「いやいやいや、ここは空気読もアイーシャさん!?」
「変なスキルばっか.....。」
「まさかのリリアナちゃんまで!?」
どうフォローしたらいいのか全然分かんない。
しかも見方によってはスキル使っただけでこの世界滅ぶ気しかしないし。
名前的にヤバそうな雰囲気だけど、このスキルは絶対使えないよな。
「私、このスキルのせいで魔女って言われてお城を追い出されたんです。」
いやー、確かにこれだったら魔王の方がずっとマシに見えるのは仕方ないよね。
てゆうか、お城追い出されたんだ。
「ですから、その、これからの事とか分かんなくて.....、出来れば地球に帰りたいですけど、でも、私が召喚されたお城も魔王軍に滅ぼされましたし。
......はっ、いい気味。」
「いや今最後聞こえちゃいけない言葉が聞こえましたよ。」
とりあえず、何とか香さんを日本に返してあげたいけど、どうすれば......。