父からのSF指南
学生の頃ビデオレンタルで『ブレードランナー』を借りて観たのですが、不覚にも途中で眠ってしまいました。当時のビデオレンタルは一泊二日でしたので、観直す暇もなく、一緒に観ていた弟から内容を聞くだけで、泣く泣く返却いたしました。
何故『ブレードランナー』で眠るんだとお叱りを受けそうです。
映画好きな人の中で必ず眠くなると言われている作品に、タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』があります。観る勇気がございません。
父はSF好きです。子どもの頃、連れていってとせがんだ覚えがないのに観に連れていってくれた映画が何作かあります。『E.T.』とか、『サイボーグ009 超銀河伝説』とか、『さらば宇宙戦艦ヤマト』とか、『地球へ……』とか、インディアナ・ジョーンズ物の一作目の『失われた聖櫃』とか……。多分子どもを連れていた方が大人の男性一人よりも入場しやすい、また家族の手前、自分ばかりで遊びに行っていないの言い訳だったのではないかと思っています。しかし、わたしと弟はこうやって、中川勝彦が中川翔子に水木しげるや楳図かずおの漫画を買い与えたように、エンタメ映画の洗礼を受けたのでございます。
『スター・ウォーズ』一作目を、昭和五十年代の、日本初公開時にわたしも弟も観ました。『スター・ウォーズ』の一作目、今はエピソード4と呼ぶ部分ですが、わたしは小学生の低学年、弟は幼稚園、当時映画館で洋画は余程のお子さま向けでなければ吹き替え版無しの時代であり、字幕映画をよく大人しく鑑賞できたもんです。
わたしはSFは大好きでもないけれど、嫌いでもない程度ですが、エンタメ好きですし、辛気臭いゲージツ映画も好きです。
大学通学の為に実家に預けていた長男が『スター・ウォーズ』大好きになっていたのにはびっくりしました。多分これも父の薫陶よろしかった結果でしょう。この冬、早速『スター・ウォーズ』の新作を観に行っていました。
この前実家に帰った時に、父が録画していたテレビ番組を観てまたびっくり。N○KEテレの『100分de名著』です。父がなしてそだいな物をと思ったら、取り上げられているのが、レムの『ソラリスの陽のもとに』なのでした。
父のお陰で読んだことないけど題名とだいたいの粗筋を知っている傑作SFの何本かの一つであり、眠くなるらしい映画の原作かあ、と納得しました。
ソラリスという惑星に探索に行ったらそこで遭遇する不思議な出来事が、生命とは、実存(主義)とはと問い掛ける内容なんだそうです。
そりゃ死んだはずの恋人がいきなり現れたら誰だって驚くし、ほかに探査に来ている科学者たちも似たり寄ったりの体験をしておかしくなっているというのも肯けます。
あんまり哲学的な主題は好みじゃなかったのではと思いつつ、懇切丁寧に解説してくれるから観てみる気になったのだろうと勝手に解釈しております。
SFも悪くないよねと最近見直す気になっています。しかし、『ソラリス』は原作の小説を読むのがいいのか、タルコフスキーの映画がいいのか、その後のアメリカ映画がいいのか、今一つ解りません。




