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笑わぬ美女は魅力的か?

 さて、前話の続きっぽくなってしまいますが、映画『まぼろし』を観るはるか昔に良人とビデオレンタルで『地獄に堕ちた勇者ども』や『愛の嵐』を観ていました。

 昔すぎて良人は映画の内容や出演者を覚えておりませんでした。この二作の映画には若き日のシャーロット・ランプリングが出演しています。『まぼろし』は既に老いを見せる年齢になっていますから、見分けがつかなくても仕方がないのです。

 わたしはヴィスコンティ監督の映画の解説本や澁澤龍彦と巖谷國士の『裸婦の中の裸婦』(文藝春秋社)の写真を見せました。

「この女性があの映画の主人公の若い頃よ」

「う~ん、笑っていないと綺麗に見えなくてなあ」

 おまけに、体は斜め後ろを向いており顔だけこちらに向けてテーブルに腰かけている構図なので、折角のヌード写真なのに勿体無いと仰せでした。

 わたしはその頃気になることがあり、ついでにヴィスコンティの映画に出演していたほかの女優さんの写真も見てもらいました。シャーロット・ランプリング同様、冷たい美貌と言われていた女優さんです。

 やはり良人の答えはいくら顔立ちが整っていても愛想が悪いのは美人に見えないと言うのでした。

 これは良人個人の考えなのか、普通の男性の考えなのか、ちょっと迷います。

「笑顔が一番の化粧」とか、「笑わない女性は近寄りがたい」などと言われていますから、ある程度の真実なのだろうと思います。モテテクみたいに言われているものにも笑顔が大事とか書かれています。でも、誰にでも愛想良くしているのは、意中外の男性に好意を抱いていると誤解を呼ぶから注意とも言われます。また、笑顔そのものが文字通りの売笑行為を連想させるから顔見知り以外厳禁の文化圏もあるようです。

 安能務の『春秋戦国誌』(講談社文庫)だったかで、傾国の美女番付をしていました。周の褒姒や越の西施のように笑わぬ女性、眉を顰める表情が美しいと言われた憂い秘めた女性を上位に挙げていました。

 後宮に三千の美女を集められる王や皇帝となれば、にこにこと愛想がいいだけの女性なら十把一絡げ、珍しくもなんともないのでしょう。王に媚びず、愛想も売らず、笑わなくても充分美しく見えるのなら、目を留める価値がある美貌となるのでしょう。後宮ではご飯を作るのも身の周りの世話をするのも他に係の者がいますから、世話女房である必要もありません。

 それほどまでの美貌を保つために、庶民が口にするのがやっとであったはずの卵や蜂蜜、果物、油、動物や人間の乳、珍しい食物などをふんだんに肌や髪の美容に使用し、心映えや体のしなやかさを作るために詩文や歌舞音曲で鍛え、衣服や装飾品、香料に贅を尽くします。(黒髪が雲のように柔らかいだの、黒漆を塗った鏡のようだの形容されていると、どんだけ手入れに手間暇掛けてるんだろうと思います)

 この代償は元々税金、そして後宮の(あるじ)が許す出費です。だいたい後宮に女性やその下仕えの人員を揃え、その運営は国の主が責任持たなくてはならないのです。皇后なり、王妃なりトップを定めて管理させますが、男尊女卑だからこそ後宮が作れるのです。皇后に昇りつめても飽きられて、ほかの寵姫に男の子が生まれて、その子を跡継ぎにと主が決めたら廃され、幽閉、最悪殺されてしまいます。

 後宮で成功した女とは、主から寵を受けたら必ず男子を儲け、その子を跡継ぎにして、主を見送り、その子が位を襲い、国の母となれた場合のみを言います。(寵姫は幾らでも替えがききますが、母親はただ一人ですから)或いは寵愛を受けている絶頂期で亡くなることです。そのことで主が嘆き、偲んでくれる芸術作品を残してくれれば尚よし。

 そうでなければ国の主の目になんか留まらずにいて隅っこで暮らすか、ハナから後宮に入らず、愛想が良ければ可愛子ちゃんと言っていくれる庶民の男性と連れ添うのがいいのです。

 男性の方々は、笑わぬ美女とか後宮三千人とか憧れますか? こんな環境に暮らす女性たちのプライドの高さ、性格のきつさがあると思われますが、どうでしょう。

 それと顔立ちの良さは別ですから、脱線してしまいましたが、これはわたしにとって謎なのです。見た目は大事と言いますが、どこまで求めるものでしょう。

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