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わたしの知らなかった世界

 あなたは勤務先やお出掛け先で、異性用のトイレに入った経験はありますか。異性装をしていた、或いはトランスジェンダーである方はこの条件から除きます。

 幼稚園や小学校の低学年の頃、遠足や施設見学でトイレに行くと、女子側が必ず混み、時間が掛かるので、教諭が、「男の子の方を利用しなさい」と言い出しました。それに従う子もいましたし、絶対嫌だと女子トイレに並んでいる子もいました。

 わたしは幼稚園の頃に先生の言葉に従って、男子トイレの個室に行きましたら、男子からその日は囃されてしまいました。男子トイレを拒否した子から、同情よりも何やってんだかの顔で見られました。(男子トイレを使用した女児はほかにもいたんですけどね)

 女子トイレが混雑していて、定刻に間に合わないから個室を利用してもいいだろうと男子トイレに入っていいのか、これは、男性が混んでいるからと女子トイレに入ったら、痴漢だの変質者だの言われるのだから、差別だろう、変だろうと指摘されていることでもあります。

 まあ、清掃の担当者になったのなら別だけど、男子トイレには断じて入らないという方が大勢だと思います。

 乳幼児期に親に連れられてのお出掛けで異性用のトイレに入っても、恐らくは記憶にないでしょう。

 わたしが二十代の時、良人と子ども二人を連れて出掛けて、赤ん坊だった二男を連れてトイレに行くことになったのですが、長男も一緒に付いてきました。

 チビ助は女子トイレに入って、男子トイレとの違いに興味津々の様子で、「音姫」ボタンを押しました。

 水の流れる轟音が響き渡り、チビ助はすっかり驚き怯えていました。

 多分、本人はもう覚えていない出来事です。

 で、わたしの話ですが、わたしがお勤めしていた職場は転勤がありましたので、独立庁舎で仕事していた時も貸しビルで仕事をしていた時もありました。貸しビルでお仕事をしていた時期、そのビルでの出来事。職場では、そのビルの、仮にF階とG階を借りていたとしましょう。元々男性よりも女性の人数が多かったのです。そこに繁忙期が来て、派遣社員さんに書類の審査や集計、整理をお願いすることになりました。そしておいでくださった派遣社員さんもまた、女性が多かったのでした。貸しビルのトイレは男女同数で設計されておりました。必然的にトイレが混みます。特に昼休み。

 ビル管理者側から注意が来ました。借りている階のトイレを使用してください、そうでないと、その階を借りている事業所の勤務者や来客が迷惑します、特にF階の下のE階の利用は止めてくださいと。E階を借りている事業所から苦情が来ました。

 自然現象を我慢しなさいとは言えませんので、代替案として、こちらの職場の女性はF階に集中しているので、F階の男子トイレは女性が使用できるようにして、男子使用厳禁にします、男性はG階と、一階を使用してください、となりました。

 こうして、F階で仕事をしていた女性は、その階の男子トイレを使用できるようになりました。

 なあんだ、とがっかりなさいました?

 でも大人になってから、異性用のトイレに堂々と入れるって滅多にない体験でしたよ。

 そりゃまあ、男性の小用はまず別として、個室に入って、おお、音姫ボタンがない、洗浄機能付便座にビデボタンがない、と妙な感心をしたのでした。家庭用のトイレや女子トイレとは違う仕様になっているのだと、変な発見をしたのでした。

 それとはまた別のお話ですが、庶務課の頃、独立庁舎でしたので、事務所の戸締りをする前に誰か残っていないか見回りしなくちゃなりませんでした。その時はまだ独身の花の乙女でございましたが、どーしょうもなく、男子休憩室だけでなく、男子トイレも見回りしておりました。さいわい、その時に誰にも出くわしておりません。

 年齢のいった男性が同じように見回りして、お局様に質問していました。

「どうして女子トイレにロッカーが置いてあるの?」

 その男性はトボケた性格の方でしたので、真面目に疑問に感じたのかも知れません。当時まだ認知度が低かったセクハラめいた印象はなかったのですが、お局様は、「歯ブラシやら化粧品ポーチ、生理用品を入れているんです」と答えられず、曖昧に誤魔化していました。

 あなたの知らない世界はなんですか?

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