『ナビラとマララ』を読んで
課題図書の感想文の題名みたいですね。『ナビラとマララ』(宮田律著 講談社)、この本のサブタイトルは「「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女」です。
パキスタン出身で、父親が教育者で、自身も争い事を止めて、全ての子どもたちに教育をと主張している少女、そして対テロ戦争の中で負傷したと聞くと、誰の名前を思い浮かべるでしょう。
大抵はマララ・ユスフザイさんとお答えになるでしょう。
この本の題名は『ナビラとマララ』。ナビラさんとは何者でしょう。彼の女もパキスタン人で、お父さんは学校の校長先生、自身も教育を受ける権利を主張しています。マララ・ユスフザイさんはパキスタン・タリバン運動(TTP)からの銃撃で重傷を負いましたが、ナビラ・レフマンさんはアメリカ合衆国のCIAの操作する無人機ドローンから発射されたミサイルで負傷したのです。近くにいたナビラさんの祖母はその攻撃で死亡しました。ドローンは誤爆で、テロリストではなく、一般市民を攻撃したのです。
ナビラさんもマララさん同様アメリカ合衆国に行き、スピーチをしましたが、聴衆は五人だったそうです。
加害者が誰だったかで扱いが変わってしまったのです。戦争はどんな形にしろ、犯罪です。日本だって、大義名分を掲げていましたが、かつての戦争での蛮行愚行の犠牲者を出さなかったと証明できません。
この本は児童書です。しかし、NHKの「週刊こどもニュース」が大人も視聴していたように、この本は大人が読んでも為になります。中東やインド亜大陸の歴史、国境線を巡る諍い、民族や宗教の違いを易しく説明してくれています。
これからどう判断し、行動していくか、国際情勢を学びながら考えさせられる、良書です。
どうか、マララさんもナビラさんも無事に、そして学びたいものを存分に学んで欲しいと願います。




